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運動と循環

運動生理学マメ知識

運動と循環

心臓から送り出された血液(動脈)は全身に回り体のあちこちの細胞に酸素を渡します。細胞からは逆に二酸化炭素をもらい血液(静脈)は肺へ戻ってきます。

心臓が「ドックン・ドックン」と拍動していますが心臓が縮むことで心臓内にある血液を押し出して全身へ送ります。この心臓が縮んだ時を最高血圧(収縮期血圧)と言い、縮んだ後に心臓が緩んで広がった時を最低血圧(拡張期血圧)と言います。

だいたい1回のドックンで送り出される血液の量は約70ml程度で、1分間の心拍数(ドックン・ドックンの数)は60〜80回くらいです。ちなみにWHOの血圧分類では最高血圧139oHg以下、最低血圧89oHg以下を安静時血圧の正常値とされています。普段の安静時血圧より20〜30oHgほど高い時は運動を控えてくださいね。

心臓が縮むことで心臓内の血液は動脈へ押し出されます、この時に動脈へは一度に大量の血液が入ってくるので動脈が広がる(容積を増やす)ことで血液を通すことができます。一旦膨らんで血液が通ると動脈が縮むのですが、この縮む力が血液をさらに先へ送るための力として利用されます。これに対して静脈は血液を送る力が弱いので血管内に弁(逆流を防ぐ)があり、また筋肉の収縮・弛緩を利用(筋ポンプ作用)して心臓へ血液を戻します。

ふくらはぎの下腿三頭筋などは下肢の筋ポンプ作用の代表例で、この筋肉の収縮により下肢の血液や体液を重力に逆らって心臓へ送り返すことが可能になるのです。事務系の仕事や長時間の立ち仕事の人では午後〜夕方にかけて足のむくみが出やすくないですか?

このむくみの原因は細胞の間に存在する間質液です。間質液は静脈やリンパの働きにより輸送されなくてはいけないのですが、むくんでいる足では輸送されずに間質液が足に居座っているという状態です。

事務系の人は椅子に座っている時間が長く、下腿三頭筋の使用頻度(収縮と弛緩の繰り返し)が少ないことによる影響が強いでしょう。立ち仕事の人は長時間の立位姿勢により下腿三頭筋の持続収縮がみられます。筋肉の持続収縮(筋収縮により持続的に毛細血管は圧迫される)が問題であり、筋肉の緩む時間が少ないことで静脈の血流を阻害し、間質液の輸送を阻害していることも浮腫みの原因の一つになっています。

ちなみに、捻挫などの後に腫れるのは腫脹と言い間質液が溜まっているのは浮腫と言います。腫脹は腫れている部分を指でしばらく押してもすぐに元の形に戻りますが、浮腫は指で押した部分の凹みがなかなか元に戻らないのが特長です。

リンパは1日に約3リットルの間質液(静脈では17リットル)を血液中に輸送し心臓近くの大きな静脈まで戻さなくてはいけません。リンパとして輸送される間質液は量的には少ないのですがリンパの働きも非常に重要です!リンパ管には交感神経も分布しており、交感神経の活動亢進などでも輸送が促進されると考えられます。

実際に骨格筋の収縮や呼吸(呼吸筋の活動)でリンパ液としての間質液の輸送が促進されることからも、むくみの改善には筋肉の収縮・弛緩を繰り返すような運動が効果を出すと考えられますね。リンパマッサージなども間質液の輸送を促進するための方法の一つとして効果的ですが、一時的なもの(リンパ管内のリンパ液をマッサージの圧力で押し出すのですが、しばらく立っていると浮腫みは戻ってきます)としての効果が限界ですね。

安定的に浮腫みを減らすためには収縮と弛緩を繰り返す運動が基本的に重要なようですね。歩行をイメージしていただくと片方の足が地面に接地(ふくらはぎの筋肉は収縮してい)している時は他方の足は空中(ふくらはぎの筋肉は弛緩している)にあります。筋肉は収縮と弛緩の時期があるのでよい運動ですね。特別な運動ではなくウォーキングなどから初めてみてくださいね^-^

筋肉は筋線維の集まりですが筋線維の間には毛細血管が多数分布しています。持久力トレーニングを行っていると、筋線維間の毛細血管が増加することが知られています。毛細血管が増加するということは、筋細胞への酸素運搬が向上し運動時に疲労しにくい筋へと変化し耐久性が向上します。毛細血管の増加は間質液の除去にも影響しますので、普段の安定的な浮腫み軽減に作用すると考えられますね。

持久力は低負荷・高頻度が原則ですので、ウォーキングなどもなるべく長い時間歩くのが理想的でしょうね。ウォーキングやジョギングは持久力トレーニングですからほとんど筋肉は大きくなりません。女性の方から良く聞かれるのですが「ふくらはぎが大きくなったらいやだな?」という心配は無用ですよ^-^

※普段みられるむくみより症状が重度の浮腫として、乳癌や子宮癌の手術後に発症するリンパ浮腫などがあります。この場合はリンパ節の除去によるリンパの機能問題が影響します。リンパ浮腫を専門とする病院では、弾性ストッキング・リンパマッサージなどの対処療法が行われているようです。手術後数年〜十数年後に発症する方も多いようです。これらは私達に普段みられるむくみより重度な浮腫の症状としてご理解ください。


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