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急性腰痛症(ぎっくり腰)

疾患別の説明

急性腰痛症の痛み(腰を反ると痛い・腰を曲げると痛い・歩くと腰が痛い)

ぎっくり腰は外国では「魔女の一撃」などと言われるなど、強烈な腰痛により数日動くことが出来なくなることもある疾患です。ぎっくり腰(急性腰痛症)の医学的な分類というのは無いのですが、痛み症状・経過・動作時痛などの特徴などを元にぎっくり腰を観察すると、以下の2つに分けることで理解しやすいと思います。

「動作時に発生する激痛によりその後は動けなくなるぎっくり腰」
「徐々に腰痛が増して来て気付くぎっくり腰」

ぎっくり腰になった人はどちらのタイプかで一部の対応の違いが出てきますので、参考にしてください。

動作時に発生する激痛によりその後は動けなくなるぎっくり腰

激痛が発生した時の記憶がハッキリあり、痛み発生要因がハッキリしている?ぎっくり腰として典型的なイメージは以下の様なぎっくり腰ではないでしょうか。

床や机に置いてある重い荷物を持ち挙げる時に、「痛っ!」と鋭い痛みが瞬間的に腰に感じ、痛みで荷物を持っていられないので急ぎ荷物を降ろして、腰に手を当て「痛てててて・・・」と座り込むという状態。

または、瞬間的に鋭い痛みが発生(痛みでなく腰の違和感として感じる場合もある)したが痛みで荷物を持ち挙げる動作を中断しないといけないというまではなかったので、腰に痛みが発生した後も痛みは我慢し荷物を持ち挙げる動作を最後まで実施出来た。その後「痛てててて・・・」

映画やTVドラマなどでぎっくり腰を起こすシーンとしてよく見ますね。

2つの例は同じ動作を行っていますが、痛み発生後の動作は痛みの強さの違いにより多少の違いが見られます。痛みに注目すると瞬間的に発生した痛みの強さの違いはありますが、どういう姿勢や動作をしていてどの瞬間に痛みが発生したかは?ある程度は正確に把握できている人が多いので、痛み発生要因がハッキリしているという点ではこの2つのぎっくり腰は同じ分類と考えるのが自然です。

荷物を持ち挙げる時に痛みが出てぎっくり腰になるというのは典型的なイメージですが、皆さんはそれ以外にも日常生活内でぎっくり腰を発生する原因となり得る動作を沢山行っています。例えば炊事や洗濯などの作業中に、ダンスやエクササイズをしている時、スポーツで体を動かしている時、普段から繰り返している日常動作として歩く・立ち上がるなど、人は生活している以上は腰部に負担のかかる動作を自然と意識せずに行っています。

これらの日常生活で行う全ての動作を行っている時に瞬間的に腰に痛みが発生すれば、痛み発生要因がハッキリしているぎっくり腰であり、動作は違っても荷物を持って立ち上がるぎっくり腰と全く同じぎっくり腰ということです。

Aさんは荷物を持ち挙げる時に起きたぎっくり腰で、Bさんは運動中に起きたぎっくり腰だからAさんとBさんのぎっくり腰は違うということはありません。

ぎっくり腰は基本的に腰部の筋肉・靭帯(軟部組織)などの微細損傷に伴う痛みです。筋肉などは簡単に説明すると小さな糸の集まりの様な構造ですから、その一部の糸が切れた(壊れる)とイメージしていただくと理解しやすいと思います。

筋肉・靭帯(軟部組織)の一部(極小さな範囲)が壊れるのですから鋭い痛みが瞬間的に発生します。家の中を歩いていてゴツン!と足の指を柱にぶつけた瞬間に感じる痛み、グリッと足首が曲がり捻挫をした瞬間に感じる痛み、どの痛みもぎっくり腰で瞬間的に感じる第一波の鋭い痛みと同じ急性痛です。

ぎっくり腰の痛みの出た瞬間の痛みの質としては「ビリッ」「グツッ」「ズキン」「チクッ」など稲妻が走るような一瞬大きな鋭く強い痛みを感じた(感じ方は個人差がある)という人が多いです。痛みに合わせて音もしたという人も少ないですが一部いると思いますが、この音に関しては「パリン」とガラスが割れる様な高い音ではなく、机を握りこぶしでドンと叩く様な鈍い音に似ている傾向が多い様です。

例えば、スポーツをしている人の怪我として多いアキレス腱断裂や肉離れなどは筋肉・靭帯の線維が切れる(細胞が壊れる)範囲は大きいので、「バチン」「ブチッ」など怪我をした瞬間は患者様もしっかり痛みと音を自覚している人もいます。アキレス腱断裂や肉離れに比べれば、ぎっくり腰では筋肉・靭帯の一部の線維がすごく小さな範囲で壊れるので、音がしたと言う人でも鈍く小さな音として自覚していることが多く、音が小さい理由はぎっくり腰の痛みが強くてもスポーツ外傷で多い太ももの肉離れやアキレス腱断裂に比べるとぎっくり腰の実際の筋肉の損傷範囲は極めて小さいためです。

この瞬間的に生じる痛みが強く激痛の場合(激痛のぎっくり腰)は、痛みの出た瞬間に足の力が抜けるような感覚が出るので、一瞬ですが膝がガクッと折れて腰が落ちる様な動きが出る場合もあります。多くの人は激痛と膝折れ(一瞬膝の力が抜ける)で立っているのが難しい状態になったのを瞬時に感じ取り、急いで近くにある何かに掴まることでなんとか立位を保持(前傾姿勢でなんとか立っている)できる状態となります。立っていられない状態の人は「痛ててて・・・」と四つ這い姿勢や椅子に座り込んでしまいます。

動作中に最初に感じる鋭く強い痛み(急性痛)は、筋肉・靭帯の一部が壊れた状態ですから、第一波の痛み以後に腰(組織損傷部位)を動かす・腰に体重などの圧力が加わると、ぎっくり腰の第一波の激痛に近いレベルの強い痛みを繰り返し感じます。

荷物を持ち挙げている時に鋭く強い第一波の急性痛を感じた後には、「痛ててて・・・」と荷物を床に戻しながら座り込んでいく時も一定の角度で腰の急性痛が再び感じることもあるし、無事に荷物を置いても立ち上がろうとする時も一定の角度(腰に負担のかかる痛みの誘発される姿勢)で急性痛が出る、痛みが強く椅子に座り込む時も、ベッドに横になろうとする時も、どういう動作を行っても腰の一定角度(痛みの誘発される姿勢)では必ず鋭い強い腰痛が繰り返し誘発される様になります。

ぎっくり腰では基本的に腰部の筋肉・靭帯の一部(小さな範囲)が微細損傷を起こし微細炎症を生じています。

例として、多くの人が経験したことのある足首の捻挫や突き指を思い出してみてください。捻挫や突き指をすると局所は赤く腫れて熱を持ち痛みがあると思います。炎症の起きている足首や手指を動かすと、動かすたびに痛みが出ますし、捻挫した足首の痛みを無視し普通に歩こうとし捻挫した足首に体重を乗せる、突き指した指でスイッチなどを押すなど、炎症部位に荷重がかかることにより痛みが誘発された経験があると思います。

捻挫や突き指と同じで、ぎっくり腰の腰部筋の微細損傷による微細炎症(突き指・捻挫に比べると炎症が小さい)に対しては、動作時に感じる鋭く強い急性痛は炎症が一定レベル(発症から数日間でピークとなる)まで治まって行かないと軽減することはありません。捻挫や突き指も赤く腫れて熱を持っている状態が治まって来るまでは動かすと必ず痛みが出るのを経験します。多くの人は捻挫や突き指の痛みを少しでも早く改善しよう(数日が経過しないと治らないことを理解している)と焦ることはあまりありませんが、なぜかぎっくり腰の腰痛は仕事に支障が出る(歩く・椅子に座るが困難になる)からでしょうか?ぎっくり腰の痛みが早く治らないか(早く治したい)と焦る人が多いのです。

腰部筋の微細損傷による鋭い強い痛みは必ず動作時に発生します。胴体(腰)は屈伸・側屈(胴体を横に傾ける動き)・回旋(後ろを向く時など体を捻る動き)などの動きが出来るのですが、強い痛みのぎっくり腰では腰部筋の微細損傷(微細炎症)が発生して数日間(痛みが強い状態)は、胴体(腰部)の屈伸・回旋・側屈など全ての動きで急性痛が誘発される傾向にあります。

ぎっくり腰は腰部の筋肉の微細損傷ですが、ぎっくり腰で腰痛を訴えている全ての人が同じ腰の筋肉・同じ部位に損傷を起こすのではありません。ぎっくり腰と言っても、腰部筋の微細損傷部位や微細炎症範囲の大きさ(損傷の大きさ)の違いにより感じる痛みの強さにも個人差が出ると考えられますし、微細損傷部位の違いによっても腰の屈伸・回旋・側屈でも痛みの誘発される動きの大きさ(腰の痛みが出る角度)にも違いが出て来ると思います。

ぎっくり腰の第一波の激痛の後は、通常では痛みも無く腰を動かせていた範囲(屈伸・側屈・回旋などの最大限動かせる範囲)まで腰を動かしていくと、最大限動かせる範囲の手前の可動域で強い痛みが誘発される様になります。

腰部の微細炎症による痛みにより腰の屈伸・側屈・回旋の可動範囲が狭まり、痛みの出る範囲以上までは動かせないので、寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行など、私たちが普段より多く繰り返している動作の全てに腰痛が誘発される様になります。腰の屈伸・側屈・回旋の動作では動かし始めてすぐに痛みが出る(可動範囲が痛みにより狭い)人ほど、動作を痛みにより大きく阻害されるので、痛みにより歩けない・立てないなどの状態となり発症より数日間は動けない可能性もあります。

痛みの強烈なぎっくり腰では、寝返りなどで体をちょっと動かしただけでもすぐに激痛!という状態で、若い人でも発症から2〜3日は激痛によりほぼ動けなくて寝て過ごすことになる人もいます。

痛みにより腰の動かせる角度に限界が発生しますが、腰はこの角度だと痛みが発生し難い領域(車のギアでいうニュートラルのイメージですね)も存在します。ぎっくり腰が発生した後は誰しも痛みの少ない腰の角度を維持した姿勢で動くことが多いので、ぎっくり腰の人が立つ・歩く時の姿勢は腰で手を組んで歩いている老人の様な前傾姿勢に似た姿勢を取る人が多いというわけです。

第一波の激痛に近い強い痛みがある状態で体を動かす(動作)と、動作の度に強い痛みは繰り返し発生するので動作が大幅に行えなくなります。ぎっくり腰が発生した直後の人は以下の行動の流れになることが多いのではないでしょうか。

@ 激痛で動けなくなり立ったまましばらく固まる
A 立っていられないので急ぎ椅子に座り込み固まる
B 激痛で膝に力が入らずに四つ這い姿勢へ
C 痛みで立っても座ってもいられないためベッド(床)に臥床する。

@ 立ったまましばらく固まる

動作中にある姿勢(痛みの発生した腰の角度)で第一波の激痛が発生し、その直後より姿勢を変化させようと動くと激痛がすぐに再発されるため、痛みで身動きが取れない(腰が痛過ぎて動けない)という表現に近い状態となります。痛くて動こうにも姿勢をなかなか変えられない。

動作中に第一波の激痛が発生し、膝折れがわずかに発生し少し腰が落ちかけるのですが、姿勢の崩れを(座り込む方向への崩れ)すぐに立て直すためにとっさに近くにある壁や机などに掴まる(手で体を支えるなど)ことの出来る固定物に手を突いたり掴まったりして、姿勢の崩れをなんとか止めたまではいいのですが、その立位姿勢から動こうとすると第一波の激痛に近い痛みが繰り返し発生するので動けなくなる。

第三者から見ると、姿勢が崩れるのを止めた状態の姿勢(基本的には前傾姿勢でへっぴり腰の様な不格好な姿勢)でしばらく固まり同じ姿勢を続けているという感じに観察されます。

ぎっくり腰発生時の痛みによる立位で固まっている姿勢を例えて言うと、居酒屋さんの前などで壁に手を突き立ちながら吐いている酔っ払いのおじさんの姿勢に似ている感じ、胴体は前傾姿勢で壁に手をついてうつむき気味という感じでしょうか。

立位姿勢が崩れそうになったのを止めて、その後は立って固まっているとその姿勢(立っている状態での腰の位置)では瞬間的に感じる第一波の様な激痛を感じません。その姿勢は腰への負担(腰の屈伸角度も少ない)の少ない痛みの発生し難いニュートラルポジションということです。

しかし、そのニュートラルポジションから腰が動き出すと一定角度(腰の屈伸角度は微細損傷部位[微細炎症]・微細損傷規模[微細炎症の大きさ]により違いあり)で激痛が発生するので、立って固まっている人はある程度は前傾姿勢で固まっていますから、椅子に座るかベッドに横になるか回避行動を取るために、動くためにいつもの立位姿勢に立て直そうと考える人が多い、前傾姿勢から背中を伸ばし垂直方向へ胴体を起こしていくと、「痛い!」と激痛が発生し元の前傾姿勢に戻るという経験をされる人は多いのではないかと思います。

ずっと立っていられないので、立位姿勢を止められる椅子かベッドを目指し移動を開始するでしょう。椅子・ベッドが近くになければ壁やテーブルなど固定して動かないものを掴んだりして壁を伝って椅子・ベッドまで前傾姿勢のまま移動することが多いと思います。

痛みが強い人は両手を壁などにつかないと立っていられないため、壁にむかって立ち横歩きで目標に向かう、片手の支えで立位が大丈夫な人は進行方向に体を向けて壁に手をついて歩いて移動すると思います。

 

A 椅子に座り込む

椅子に座るために腰の痛みが出ない様に気を付けながら、腰の痛みの出難い前傾姿勢でじわじわ移動し、椅子へ座ろうと考えると思います。

通常は立位から椅子に座る移動の際は、椅子は背中側に位置し後ろへお尻から座って行く動作(反転しながらお尻を下して行く人も多い)を行う人が多いと思いますが、立位から座位への移動開始とともに腰への負荷が確実に増えて行きます。

お尻を座面に向けて落としていく時は膝を曲げて膝・股関節・腰などの筋力を利用し重力に逆らって移動速度(座り込んでいく速度)を調整しながら座り込んでいく(お尻を落としていく)のですから腰の筋肉にも力が入ります。このため手を使わずに通常の座り込みをすると、ぎっくり腰で腰部筋の微細損傷を起こしている部位にけっこうな筋活動を発性させるため腰の激痛が出ると思います。また立位から座り始めて椅子座面にお尻が着座する前までは椅子座面にお尻が近づくほど腰の動き(腰の屈伸角度の増大)が必要なため激痛が出やすくなると思います。

立位から座り込んでいく時は、人により背中を丸めて座る人、背中を反りながら背中を真っ直ぐにし座る人、個人差(動作の癖)はありますが座り込む際は立位で痛みを感じ難かったニュートラルポジションよりも腰の屈曲・伸展はどちらかに増加します。腰の筋肉に微細損傷があるのに腰を動かすのですから痛みの出る角度まで動くと?もちろん第一波に近い激痛が発生し、いつも通りの座り込む動きで椅子に座るのは激痛でとても無理となってしまいます。

どうやって座るか?

椅子の前に机があれば机に両手をつき体重を両手に乗せます。すると上肢の負担は増しますが腰への荷重は減りますし、腰・下肢の筋活動(力を入れる)は少なくて済むので筋肉に力を入れることで発生する痛みも軽減出来ます。

胴体は前傾しながら上肢に上半身の体重をしっかり乗せて手の力(上肢はきついのでプルプル震える感じ)で体重を支えながら、腰の屈曲・伸展が増加しない様に注意しじわりじわりと座り込んでいくことで痛みを極力少なくし椅子に座り込むことが可能です。

ただし、椅子に向かってお尻を落としていくと座面に近づくにつれて腰・下肢の負担は確実に増しますし、座面に近づくにつれて腰の屈曲・伸展は大きくなる可能性が高い(肘を伸ばし上肢を突っ張り踏ん張っても着座する手前では上肢の支えを減らさ(肘を曲げないと)ないと腰の反りが増加するため座れない)ので、座る直前に第一波に近い痛みが発生する可能性は高いです。このお尻が座面に着地する前の段階の痛みと、椅子に着地して体重が腰にかかる瞬間の痛みは避けようがありません。着座前と着座したすぐの2回の激痛は痛みを感じないで動くことは諦めて覚悟して座るしかないということです。

B 四つ這い姿勢へ

ぎっくり腰で第一波の痛みが激痛で、膝の力が抜ける感じ・膝の力が入らない感じ(膝折れ)と腰の痛みで、とても立っていられない状態の人は立位が保てないので崩れ落ちる感じで膝を床面につき四つ這い姿勢に向かうと思います。

立位から四つ這いへは崩れ落ちるという表現が近く、その崩れ落ちる間も腰の屈曲・伸展角度は変化するので激痛がありますが、崩れて行く動きを止めるだけの力はありません。なすがままにという感じで立位が厳しいので気付くと四つ這い姿勢になっていたという感じです。

立位から四つ這いへ崩れ落ちて行く場合は気を失い倒れるという様な一瞬の出来事までは早くなく、ぎっくり腰の激痛の出た後に急いで何かに掴まる、何かに手をかけながら体重を支えようとカバーするなど、四つ這い姿勢へ座り込んでいくのを止めようとしながらも姿勢の変化が進みます。

壁に手をつく、机や椅子などに掴まるなど、何かしらに掴まり体を支えようとしますが、体は前傾姿勢でしゃがみ込んでいくためこの動きを止めるのに手の力も利用します。しかし手の力を利用するということは、手を壁へ押し付ける、机に手をついて押し付けるという動作になるので、肘を伸ばして腕全体を突っ張らせてしまいます。

立位から座り込んでいくと両膝を設置しますが、この膝を床面についた時から腰を下ろし正座する姿勢になろうとすると体幹を前傾した位置から背中を真っ直ぐして行く動き(腰を反る)となるので前傾の姿勢は軽減していくことになります。

体幹の前傾が減ると腰は反る形となるので第一波に近い激痛が出やすく、四つ這いから正座は出来ない人が多いと思います。逆に背中を丸める形(猫背に近い)で立位から四つ這い姿勢に向かっても腰の屈曲が求められるので激痛が出る可能性はあります。

四つ這い姿勢は一見すると四肢で支えることで成り立つ姿勢のため、腰への負担も大きい様に見えますが、四つ這い(腰の屈伸角度が出過ぎない様に維持すれば)では床に接地している上下肢4点(4脚の椅子でイメージしてください)に体重の圧力が分散されるため、腰への負担は軽減されます。椅子座位では腰に上半身の体重がのしかかりますが、四つ這いでは腰への上半身の体重負荷は大幅に軽減されます。

このため、四つ這い姿勢は痛みの出難いニュートラルポジションの一つとなり、激痛が繰り返される可能性を大幅に減らせる場合があります。ぎっくり腰の発生から数日間の激痛がある中での移動手段としては立位よりも四つ這い姿勢の方が痛みも少なく移動しやすい場合もありますが・・・四つ這いでの歩行でも腰の屈伸・側屈などがあるので痛みは出やすく、長く行うと手首や膝が痛くなるので結局は四つ這い姿勢での移動は長くは持ちません。

C ベッドに横になる

※立位→ベッド座位
立位でベッドまで移動し臥床しようとすると、ベッドのマットレスに手をつくと思いますがベッドのマットレスが手にかかる体重の圧力で沈み込むと、一定の沈み込み位置で激痛(腰の屈伸角度が増加するため)が発生すると思います。

手の沈み込みで姿勢が崩れ始めるので姿勢を戻そうとしますが、手の力を利用し押し付ける動きを行うと(上肢の力に頼る場合)、マットレスはスプリングですから手の平の接地面はさらに沈み込みぐらつきます。強く押すほどぐらつきは大きくなりやすいので、ぐらつきを防止し姿勢を保持するために腰の筋肉(腹筋や背中の筋など)に力を入れて体を固定しようとします。腰部の微細損傷を起こしている筋肉に力を入れる(腰の屈伸角度が増えなくても)のですから当然痛みが誘発されます。

マットレスに手をついて座り込む、自分の足の力を主にベッドに向かって座り込ん(ベッドに背中を向けて後ろ向きに座り込む)でいく、何れも激痛が出るので困難です。
ベッドの硬いフレームなどを掴み、体を反転させながら座り込んでいくか、ベッドの横に椅子を置いて椅子の座面に手をついて体重を上肢に分散させながら座り込んでいくか、の座り方になることが多いと思います。

腰の痛みが弱い場合はベッドフレームを掴み、体を反転させながらベッドに腰を設置(座り込んでいく)させていく動きが可能ですが、腰部筋の微細損傷(微細炎症)が強く痛みが激痛の人ではこの動作は困難だと思います。

激痛が強い人はベッドの横に椅子を置いてベッドに背を向けた状態からの座り込みでないとお尻を落として行く途中で激痛がありとても座り込んでいけない(座り込むと痛いので立位に戻る)という状況になると思います。

ただし、ベッドに座る方法は2つ説明しましたが、どちらにしてもクッションにお尻を着地させた瞬間に座面の沈み込みが発生するので、座った瞬間(座面が沈み込むと)に腰に上半身の体重が一気に加わるためお尻がしっかり着地した瞬間に最低1回は体重による激痛が発生します。

接地し体重が腰にかかる瞬間の痛みは避けては通れないので諦めてください。我慢するしかありません。

立位では両足の裏で接地しているので体重は腰にもかかっていますが、床からの反発してくる力も主に足裏や足首などで受け止めています。座位では足は接地していますが上半身の体重は主にお尻や腰で受けます。お尻が主な接地であり足裏と同じ仕事をお尻がしています。お尻と腰(足首と同じ役割)辺りが上半身の体重を支え、座面からの反発してくる圧力にも抵抗し姿勢を維持するため、立位に比べると座位は腰にとって負担が大きいと考えられます。

座面が最大限に沈み込んだ瞬間にお尻・腰にかかる圧力は最大限になり、この圧力に耐えるため自然と腰の微細損傷を起こしている筋肉にも力が入るので[上半身の体重による負荷+腰の筋収縮により」激痛が出ます。

マットレスにお尻が沈み込むと最低一回は発生すると予想される激痛は[上半身の体重による負荷+腰の筋収縮により」による原因ですが、最大限にクッションが沈み込んだ激痛の後に、痛みが数回発生する人がいます。この理由は柔らかい座面の安定していないクッションの上に座るのですから、急いで痛くない姿勢にしようと痛みの回避行動として痛みの無い姿勢に急ぎ整えようとする努力と、柔らかい座面のため座った瞬間の揺れにより安定性が無く胴体のぐらつき(上半身の小さな揺れ)が発生し腰の屈伸・側屈・回旋などを微妙に行い(腰を軸にしている)座位姿勢を固定させるため、姿勢固定までの腰の動き(体幹の動き)でも痛みが出ているとも考えられます。

1:ベッドにお尻が接地し体重が腰に一気にかかる瞬間の痛み
2:1の激痛を急ぎ回避するために動くために生じる腰の痛み
3:座位姿勢の固定までの腰の動きによる痛み

1・2は座面が沈み込んだ瞬間からすぐに発生する痛み(約1〜2秒)で感じる痛み
3は1・2の痛みが出た後に痛くない座位姿勢へ整えていく時にある痛み

3の痛みが先に軽減していき、1・2の痛みが3よりも少し遅れて軽減する傾向が多いと思います。

マットレスに最大限沈み込んだ瞬間の[上半身の体重による負荷+腰の筋収縮」痛み、激痛から逃げるための姿勢変化による腰の動きが原因の痛み、この2つの痛みが出ている状況では激痛にとても耐えられないので、急ぎ両手を横に広げベッドの硬いフレームに手をつくか、前に接地している椅子の座面などに手をつく、とにかく上肢の力を利用して上半身の体重(腰への負担)を上肢に逃がすことが一番の痛み抑制姿勢となります。

ここまでは立位からベッドに座るまでの激痛の試練ですね。これからは座位から横になるまでの激痛の試練です。

※ベッド座位→臥位
痛みの無い時は、通常はベッドに座った姿勢からベッドに臥床する場合には、ベッドに座ってからは後ろ向きで背中からベッドに向かいます。後頭部・背中の背面からベッドに向かうので視線は天井を見ながら倒れ込んでいき仰向けになると思います。背中がベッドに近づくにつれて自然と足をベッドに挙げて行きベッドの向きに合わせて真っ直ぐ仰向けになると思います。(一旦は横向きになってから仰向けに転がる人もいます)

多くの人が行うことの多いベッドに横になる動作は、後ろ向きに動き始めた瞬間から背中を反る(腰の筋力を使う)姿勢が増していくので激痛が出て実施するには不可能に近い動きだと思います。また体は後ろ向きにある程度は落とせたとしても、足を挙げる時には上半身は浮いている、下肢は膝を曲げ始めており下肢も浮いている状態(多くの人は足を挙げようとした瞬間に激痛が発生するので脚を挙げることも出来ないと思います)で、この時はお尻・腰のみが接地しており動作の軸(てこの原理で言えば支点)になってしまい激痛の発生源である腰へ大きな負担がかかる姿勢となってしまいます。

この時の腰・お尻には座った時の[上半身の体重による負荷+腰の筋収縮により」以上の仕事が求められます。激痛の出る腰が浮いている上半身と下肢の重みを支えられる分けがありません。この理由で通常の座位からベッドまで臥床していく動きは激痛により困難となります。

ベッド座位で枕が右半身側にあり右向きに横に(右側臥位)なっていく動作で説明します。

ベッドのフレームを左手で掴み、マットレスに右手(右肘をついて前腕から手で支持する)をつき、ベッドのフレームを掴む左上肢を主に頑張り上半身の体重を支えます。胴体は少しうつ伏せ気味(腕立て伏せする様に床面に向いて)にしてマットレスの手はマットレスを押し付けながらじわじわと肘を曲げて行きマットレスに肘を付く姿勢の近くまで行きます。この時に胴体はなるべく曲げたり反ったりしない様に力を固定しておくことがポイントです。

肘をマットレスについてしまうと肘は沈み込むので、胴体は側屈(座位で胴体を横に倒す動き)が増すため腰が動き(側屈する動き)激痛が出やすくなります。体をベッドにじわじわ倒していき痛みの出ない限界の傾きまで持って行き、ここからはどうやっても激痛が発生するので諦めて一気に横になるしかありません。一気に上半身がベッドに近づく時に激痛を我慢しながら下肢も一気にベッドへ持ち挙げる形になります。

ぎっくり腰で激痛が発生した人は上記の説明の様に日常生活で行う全ての動作(寝返り・起き上がり・立ち上がり・座り込み・歩行など)と痛みがセットになってしまうので、痛みによって動くことが大変になります。激痛であればあるほど動くこと自体が恐怖にもなります。

激痛が発生した後に椅子に座る・ベッドに横になるなどの回避行動を誰でも取るため、まずこの回避行動中にも頻発する腰の痛みについて説明してきました。上記の動作と痛みの説明は痛みの非常に強い例で説明しており、最短でも発症から1〜2日は痛くてほぼ安静臥床で過ごすレベル、ベッド⇔トイレ(死に物狂いで移動)くらいの行動範囲に制限されるレベルの痛みの人を例にしています。

上記の立位から椅子座位・ベッド臥床までの移動では、その一部の動作では痛みはあったが痛みを感じない動作もあった、と違いがあると感じる人も多いと思いますが、痛みが弱い人(ぎっくり腰の軽い症例)は上記の同じ動作で軽い痛みが出る、一部の動作では痛みが出るなど、いくつかの共通性があると思います。

動作中に腰に激痛が生じたぎっくり腰の場合は、激痛が発生した後は動作を行うと強い痛みが繰り返される傾向にあります。痛みが強いので寝返り・起き上がり(臥床から座位までの動き)・立ち上がり・歩行など日常生活の動作は大幅に制限され、痛みの強い人は2〜3日ほどは寝たきり状態に近い動作制限(痛くて動けない)になることもあります。

ぎっくり腰の激痛が発生してからベッドに横になるまでの痛みの理由としては?
日常生活における動作の全てにおいて腰の動きが必要とされることが多い、腰の動きが出ていなくとも腰に体重がかかる(座位など)と体重による圧力が原因となる。大きく2つの原因で痛みが頻発します。

激痛を伴うぎっくり腰の人でも、ベッドに安静臥床していてもトイレに行く場合などは起き上がりトイレまで移動しなければなりません。ぎっくり腰の第一波の激痛発生から椅子に座る・ベッドへ臥床する時などに腰の動きが発生し痛みが頻発するのと同じ原理で、安静臥床からトイレに行くために動く場合にも当然ですが腰の動きや腰への負担が加わるので激痛が繰り返し発生します。

腰部筋の微細損傷の大きさや発生部位の違いにより痛みの強さの違い・痛みの出る腰の角度の違いなどがあり、同じぎっくり腰の人が同じ動作を行っても痛みの出やすい出難いという違いがあるのも当然です。多くの人は自分なりに工夫して痛みの少ない動きを探しながら、痛いけどこう動けば痛みが少しは楽に動けるという動作を自己学習し実行するようになります。

その人なりの工夫により痛みが比較的少なく済む動きというのを学習するので、発症すぐと比べると1〜2日経過した段階では、痛みの強さはあまり変化していなくとも(炎症の軽減はさほど進んでいない)動きがスムーズになる事はあり、一部の動作では痛みを少なくて済む動きが出来るなどの変化としてみられます。腰痛への不安や恐怖に負けずに早期より動き出す人では、痛みのある中での効率良い動きの学習による痛み軽減(微細損傷の修復はほぼ進んでいない状態)に繋がっている場合もあります。

ぎっくり腰を起こしてその後の動作で激痛があり動けない、発症から数日は激痛で動けないために安静臥床で仕事・学校などを休み過ごさないといけない人は、腰の筋肉の微細損傷による炎症が主体の痛み原因となっています。

微細炎症が主体の痛みのため薬剤でのコントロール(注射・鎮痛薬)でないと痛み軽減(一時的なわずかな効果の鎮痛)はできません。このため、必ず初診は医療機関の受診をお勧めします。腰の筋肉の微細損傷部位に炎症があるので、民間療法などで微細炎症部位をむやみに触ると炎症を増加させてしまうので、さらに痛みが増加する可能性が非常に高いのです。

微細炎症が主体の腰痛であり焦って早く治したいと考えても微細炎症がある程度は鎮静化しない限り痛みは軽減されません。微細炎症が主体だから発症から数日間は動作時の腰の動きや腰への負担増加で容易に痛みが頻発するのもぎっくり腰の原因から考えると当たり前と理解してください。

 

徐々に腰痛が増して来て気付くぎっくり腰(朝起きたら痛くて起きれないなど)

朝目が覚めると「・・・?腰が痛い・動き難い」という腰痛が発生するぎっくり腰を考えて行きましょう。

前文では動作時に激痛が発生した人の説明をしてきました。それとは逆に朝起きると強い腰痛があり動き難い、前日までどうも無かったけど気付くと腰の痛みがじわじわ増して(例:朝はどうもなかったけど仕事をしていると痛みが増して来たなど)動き難くなったなど、ぎっくり腰の切っ掛けになったと思われる動作中の痛みに気付かないうちに・・・激痛のぎっくり腰に似た症状になっていたという人もいると思います。

動作時に激痛を自覚したぎっくり腰の人と比べると、痛みの発生した瞬間の自覚が無いぎっくり腰の人は原因が違うのでしょうか?

ぎっくり腰は腰部の筋肉・靭帯などの微細損傷で発生します。実質的には靭帯損傷の可能性は少なく筋肉の微細損傷(多くの人は1〜2週間で大幅に痛みが治まることから)がほとんどだと思います。

朝目覚めると痛くなった人は動作時に激痛が発生した人の微細損傷の規模に比べると、腰部筋の微細損傷の規模は小さいと予想されます。このため微細損傷が発生した時点で動作時に痛みは自覚されなかった、痛みが増強するまでに時間を要したと考えられます。

朝起きたら痛みがあり気付く、朝は痛くなかったのに仕事(時間が)をしていると痛みが増して来た!

これらの場合は前日に腰部筋の微細損傷をおこしているか、当日の痛みの無かった仕事中(時間帯)などに腰部筋の微細損傷を起こしている可能性が高いと考えられます。

動作時に激痛の発生(自覚する)があるぎっくり腰では、腰部筋の微細損傷の後から繰り返す動作時の痛みは微細炎症が主な原因となります。これに対し、朝起きた時から痛い・気付くと痛みが強くなってきたという場合は、腰部筋の微細損傷による微細炎症の要因は小さく筋肉の筋緊張増加(突っ張り感が強い状態・専門的にはスパズムと言います)による原因の方が大きいと考えられます。

筋肉の微細損傷が小さいので起点となる微細炎症も小さく早期の段階(発生から1〜2日後)であまり痛みとしては自覚され難い(動作中に痛みに気付かなかった)のですが、その小さな微細炎症が持続することで微細損傷を起こしている筋肉は徐々に筋肉の緊張を増加(一般的には筋肉の突っ張りが増す・こわばりが増すという表現)し痛みを増幅させていきます。

筋肉の緊張増加の速度は個人により違いがあり断定できませんが、筋肉の緊張増加がピークに達する(強い痛みを自覚するレベル)までは数時間〜数日くらいの時間で経過することが多いと思います。

朝起きるとぎっくり腰になっている人は?
@ 微細炎症が中心となる痛みで筋肉の突っ張りによる影響は軽度
A 微細炎症(@より小さい)はあるが筋肉の突っ張りの影響が大きい
※@は動作時に痛みを感じ発生した状況を記憶しているぎっくり腰の状態に近い。

朝起きるとぎっくり腰になっている人で多いのは?@<Aです。
朝起きた時点でのぎっくり腰の場合も微細炎症は持続傾向にあるため、腰の痛みを早期に0にすることは出来ませんが、突っ張っている筋肉を緩ませることが出来れば一定量の痛みは軽減できることが多いです。

朝起きたらぎっくり腰になっているのに似たような例としては、前日までどうもなかったが朝起きると首が痛い!となって首が動かせない(一般的には首の寝違いと表現される)となったことのある人は多いと思います。首の寝違いは2〜3日で大幅に痛みは軽減し首が動くようになって来ると思いますが、酷いぎっくり腰に比べると痛みは軽い症状ですが基本的には同じ筋肉の痛みです。

筋肉の突っ張りが痛みに大きく影響しているAの場合は筋肉の緊張が徐々に増して行き、筋肉の突っ張りが強くなりピークに達してくると痛みを自覚し始めます。痛みを感じる前の段階(痛みの出た日より1〜数日前)でも筋肉の緊張増加は徐々に増しているため腰の辺りが何かぎこちない・何か違和感がある・腰が少し動かし難い(動かすと固く滑らかに動かない感じ)など、痛いというまでは無いが腰の不調を少し感じていたと言う人も多いと思います。

朝目が覚めて?ついに「痛い!動けない!」となるわけです。

微細炎症が主体のぎっくり腰に比べると痛みによる腰の感覚の違いがあるのでしょうか?

動作時に激痛が発生し腰部筋に微細損傷を起こし、その後も強い痛みを繰り返す人は炎症の規模が大きいので腰の筋肉の筋緊張の増加はさほど強くありません。人間は怪我をするとその部位の筋肉には自然と防御性の収縮が起きるのですが、軽い外傷などで発生する外傷部近くの筋緊張増加の特徴は一時的に突っ張りが少し強いかな?と判断される程度であり、筋肉がカチコチと硬くなっているという感じ(強い肩こりの人のガチガチの筋肉)の筋緊張増加ではありません。

このため、激痛のあるぎっくり腰の人(発生時を自覚している)は腰の痛みが強く腰の筋肉に力が入れ難いため、歩行などの動作時には腰が不安定な感覚でぐらぐらする・腰に力が入らずに腰が浮いている様な感じがする、と感じる人も多いと思います。

朝起きたらぎっくり腰になっていた人は、1日〜数日間かけて筋緊張が徐々に増しピークに達して筋肉がカチコチと硬く(あくまでも一時的な強い突っ張り感であり筋肉が硬く変性しているのではない)なり伸び縮み出来難い状態になっているので、肩こりなどのこわばりの強い状態にある程度は似ています。腰の筋肉が伸び縮みし難いのですから腰を動かすと硬い感じがする、滑らかに動かせないでぎこちないという感覚に繋がります。

激痛のぎっくり腰(微細炎症が主体)=腰の不安定感(腰がゆるい感覚)
朝起きたらぎっくり腰(筋緊張増加:スパズム)=腰のこわばり感・動かし難さ(腰が固い感覚)

激痛のぎっくり腰(微細炎症が主体)の痛みと朝起きたらぎっくり腰(筋緊張増加:スパズム)では痛みの質は違うのか?

微細炎症が主体の痛みは動作時の腰の動き(全方向の動きで痛い傾向が多い)・腰への荷重・腰部筋に力を入れる、3点が痛みの発生要因になります。痛みの発生要因となる動作や姿勢などの違いはありますが微細炎症部位(微細損傷を起こしている筋)への負荷で痛みが発生しているので、瞬間的な鋭く強い痛みを日常生活の動きの中で繰り返すことが多いと説明しました。

腰部筋のスパズムが主体の痛みは微細炎症の3点と基本的には同じですが、動作時は全方向に痛みがあるというよりも微細損傷を起こしている筋肉(スパズムの発生している筋)が引き延ばされる方向へ腰を動かすと強い痛みが出る傾向が一番目立ちます。微細損傷筋を引き延ばされた時の痛みは炎症主体の激痛に似た瞬間的に鋭く強い痛みを感じると思います。

腰を動かすことで引き伸ばされると瞬間的な鋭い強い痛みが出るのですが、他の方向へ腰を動かすと引き伸ばされる時に出る痛みよりも少し鈍い傾向の痛みが出ると思います。

椅子に座り腰部に上半身の荷重がかかるとジワジワと疼く鈍い痛みがあり、腰が重く感じる座位姿勢を維持することで腰がきつく感じることがあります。椅子に座り腰を多少動かして姿勢を変化させても瞬間的な動作時痛が出ることは少ない傾向で、微細炎症主体のぎっくり腰に比べれば激痛というほどの強い痛みではありません。長い時間椅子に座っていると痛みが鈍く増す、長く座っていた後の動き出しで痛みが強いなどが特徴です。

寝返りを始める瞬間や椅子座位から立ち上がる瞬間など、一定の姿勢がしばらく続いた後の動き出し初期が最も腰の痛みが強く出やすく、痛みのために腰はゆっくりじゃないと動かせない(腰が固まっていると表現する人も多い)と思います。痛みをこらえてゆっくり腰を伸ばし、その後も動き続けるとしだいに痛みが和らいで動きやすくなる傾向が見られます。

動作時痛の痛みよりも一定の姿勢を続けてからの動き出しの痛みの方が強いというのも、こわばり主体のぎっくり腰の特徴です。

ここまで、痛みが遅れてくる場合は炎症主体ではなくスパズム(こわばり)が中心となる痛みと説明しました。朝起きて腰が痛いと気付く場合はこの時点で痛みはピークに達しています。仕事中に腰の違和感を感じ痛みが増して来る場合も、「痛いな〜」と感じ始めてから数時間〜1・2日程度で痛みはピークに達する人が多いと思います。

微細炎症主体ではどの方向に動かしても落雷の様に瞬間的な鋭く強い痛みが腰に走ると思いますが、小さな炎症を起点とした一時的なスパズムが主体では筋肉の突っ張りが強い状態であり筋肉は持続的に縮もうという力が発生しているのに、腰を動かすことで痛みの原因筋(縮む仕事をしている筋肉)を引き伸ばそうとする力で特に強い痛みが出ますが、筋肉の収縮(腰の筋肉に力を入れる:腰を反る動作など)でも発症初期は強い痛みが出る傾向です。

痛みの主体が違うのですが、微細炎症主体のぎっくり腰の発生から数日間、朝起きたら腰が痛い人の痛みピークから2〜3日は痛みの質や強さは似ているので、微細炎症主体かスパズム主体か痛みの原因が分かり難い時期でもあります。

極まれにですが、ぎっくり腰の発生する切っ掛け(動作中に損傷したと思われる瞬間)も不明で徐々に痛みが増して来て強い腰痛で動けないという人がいます。腰部筋の問題はあるが激痛と出来る動作の減少に影響している原因としては身体的な問題が小さい場合があります。

身体的な問題が小さいのに痛みが強く動作も大きく制限されている状態の人では自分でも自覚していない様なストレスや精神疾患(うつ病やてんかんなど)が影響していることもあります。身体的な原因が小さく強い腰痛と日常生活において大幅な動作制限が出ている状態が数か月間続いている場合は、心療内科や精神科の受診が必要な場合があるでしょう。

 

激痛による不安・恐怖

動作時に激痛の第一波が発生するぎっくり腰では、その後の数日間は痛みにより動けないため臥床傾向で過ごす人が多いです。

動作中に発生する第一波の激痛で痛みにより動けなくなるのですが、腰部筋の微細炎症(微細損傷)により腰部筋(微細炎症部)への体重(上半身)圧力・腰の動き(腰椎の動きで筋肉が引き伸ばされる)・腰部筋に力(筋肉の収縮)が入るなどの原因により動こうとする度に第一波に近い激痛を繰り返し感じます。

ベッドに横になって休んでいても体を少し動かすと痛い!
ベッドから起き上がろうとしても痛い!
椅子に座っても痛い!
トイレに座っても痛い!
立っても・歩いても痛い!

全部の動作で激痛が発生・・・・「う・ご・け・な・い!」

ぎっくり腰(第一波の激痛)が発生してから、その後の動作時には強い痛みが繰り返されるのですが、痛みが発生する度にぎっくり腰の部位(微細損傷部位)が壊れているのではないか?というイメージを持ってしまうと思います。

ぎっくり腰の痛みを出している腰部の状況について想像されるものは人により違うのですが、第一波の激痛により痛みのある腰部の筋肉が切れた?ぐちゃぐちゃになった(プリンを床に落とした様な元の原型をとどめない壊れ方)?神経が切れた?神経がつぶれた?積み木の様に連なる背骨の一部がずれて壊れた(達磨落としの積み木を一つたたき抜けなくて途中で止まって歪みが出た状態)。

ぎっくり腰の第一波の激痛により腰部の痛み部位が壊れて、その後に腰部の痛み部位が修復されているのに動くことで痛みを感じると修復中の腰部がまた完全に壊れてしまう(第一波の激痛の直後の一番激しく壊れている状態へ完全に戻る)・治りかけているのにまた一部が壊れてしまう(激痛直後ほどまでは壊れないが修復された分の何割かはまた壊れた)など、「腰部の繰り返される痛み=組織の繰り返される破壊(修復を遅らせる)」と捉えている人が多いです。

例えば部活動などで足首を捻挫したとします。足が大きくクリッと捻った瞬間に強烈な第一波の激痛が発生し、第一波の激痛の後は足をついて歩こうと(捻挫した足に体重をかける)したり足首を大きく動かしたり(椅子や床に座り足に体重がかかっていない状態で足首を大きく動かしても)すると強い痛みが発生します。

第一波の激痛よりしばらく時間が経過すると足首が赤くなり腫れて熱を持ち痛み(炎症)が増して来ると思います。足首の靭帯・筋肉などの一部に損傷を起こすことで、損傷部位に炎症が起こるのですが、捻挫をした後も怪我をする前と同じように歩くと足首が痛くて歩行スピードなどは大幅に低下すると思います。

足首に痛みはありますが杖などを使わないで全く足をつかずに歩くことは出来ないので、病院受診を必要としないレベルの捻挫をした人でも治るまでは多少は傷めた足をついて歩いている(荷重を減らして)と思います。

歩く時は傷めた足首に荷重がかかる度に繰り返し痛みを感じますが、だからと言って足首の軟部組織(筋肉・靭帯など)が激しく壊れたり・ぐちゃぐちゃになったり・切れたりしているとイメージする人は少ないでしょうし、実際にそんな事もありません。

歩く時に繰り返し痛みは感じますが組織修復を元に戻すほどの破壊(第一波直後の状態)はないし、1日1日徐々に足首の発赤・浮腫み・発熱・痛みの強さは低下していきます。炎症が治まって来ると痛みが出ないで足関節を動かせる角度が増え・荷重も多くかけられる様になるため歩行速度も戻ってきます。

徐々に痛みが減り動きも改善されている状態でも日常生活では一定量の痛みは繰り返し感じています(痛みの強さも徐々に低下しているが感じる)。捻挫した直後から2〜3日後の痛みの強さと、捻挫して2週間ほど経過した時の痛みの強さは違いますが、完全に改善していない状態で過剰な負担を足首(治っていないのに練習する・試合に出るなど)にかけると修復中の組織損傷が悪化し足首の発赤・発熱・浮腫み・痛みの増加が起きることもあります。

しかし、こういう明らかな悪化(再度損傷したと言えるほどの炎症増加)は痛みを我慢し日常生活で長い距離を歩き過ぎる・スポーツでジャンプを繰り返す・走るなど部活動の練習や試合などに無理をして出場するなどの無謀な事を行わない限りそう簡単には起きません。もちろん部屋の中を少し歩いた程度でも足首を大きくグリッと捻る状態が発生すると(捻挫の再発)、足首への持続的な負担でなくとも一瞬の大きな負担で炎症は悪化する可能性はあると思います。

ぎっくり腰は腰深部の軟部組織(筋肉・靭帯など)の微細損傷ですが足首の捻挫の様に表面的には炎症がハッキリしないことが多いです。しかし、基本的には同じ原理(捻挫よりもぎっくり腰の方が軟部組織損傷の規模は小さい傾向です)ですから、ぎっくり腰も捻挫と同じで発症から数日は日常生活内の動作で強い痛みが繰り返されるのですが、あくまでも痛みという感覚が繰り返されているのであって通常の立つ・歩くなどの動きでは組織破壊が繰り返されているものではありません。

もちろん痛みの限界を超えて強い力で腰を大きく曲げ伸ばしする、高い所から飛び降りるなど腰に過度に強い負担をかけることを行えば、足首の捻挫と一緒で組織修復の進行を止めて元に戻るほどの悪化に繋がる可能性はあります。

足首を捻挫しても屋外を歩く場合は松葉杖を使って歩く、部屋の中を移動する場合は片足で立ちながら手で何かに掴まり動くなど、片方の足首の損傷であれば工夫して動くことで捻挫した足首への負担を減らすことが可能です。足を地面に接地しなくても短い距離なら歩けるし、接地しても体重を乗せる量を減らして短い時間のみ捻挫した足を設置するなどの代償動作により歩行が可能ということです。

ぎっくり腰は腰部に痛み部位が発生します。寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行など人間が動く以上は、腰部を軸にして動く(どの動作でも腰に力が入る・腰の動きが必要であるなど)ことが基本であり、手の力を使って腰の痛めている部位への負担を減らす代償動作を行っても、足首の捻挫の様に腰部への負担を大幅に減らすことは難しく、減らせてもわずかな量の負担軽減でしかありません。

足首の捻挫の方が軟部組織損傷としての規模は大きいと思われますが、損傷規模の小さいと思われるぎっくり腰の方が痛みを動作時に頻繁に感じ、日常生活での動作制限が強く出ます。身体部位の中でも特に腰部の痛み、次に首の痛みという順で、日常生活動作の実行困難に対する影響力が大きいと考えられます。

腰はいろんな姿勢や動作で常に使っている部位であるため、ぎっくり腰による筋肉の微細損傷(微細炎症)の規模が小さくとも、腰の役割の大きさからぎっくり腰では強い痛みとして自覚されやすいのでしょう。

ぎっくり腰で動けなくなっても部屋の中で動く程度の運動量で感じる腰痛では、捻挫の例と同じで繰り返される痛みが強くても組織修復を悪化させるほどの負担はかかっていません。あくまでも腰の微細炎症(微細炎症局所の痛覚過敏)による痛みとして強い痛みを繰り返し感じるのであって、組織損傷が繰り返されているのではないのですから「痛みを感じる度に=腰の痛い部位がまた壊れている」とイメージし無駄に恐れることはありません。

「動くと痛みを感じる度に=腰の痛い部位がまた壊れている」という間違ったイメージはどういう結果に繋がる可能性があるのか?

動くと痛い→痛みを感じると腰の痛い部位が壊れているのではないかと思う→何度も痛みが繰り返されると治っている途中でまた壊れた(何度もぎっくり腰が再発している)と思う→動いて痛みを感じると腰が壊れており治るのが遅くなると思う→治るのが遅くなると仕事復帰が遅くなるから痛みが気になってしょうがない→動かなければ痛みは少ないので安静が一番であり治りも早いのではないかと思う。

第一波の激痛が強烈なだけに、その後に動くと繰り返される強い痛み(第一波に近いレベルの痛み)により、痛みへの強烈な恐怖感が増幅されることがあります。また、痛みが強烈であればあるほど上記の様に腰の痛み部位が繰り返し痛みを感じる度に壊れているというイメージを強く持たれる可能性も高まります。

第一波の激痛発生から痛みピーク期間の終了まで時間(1週間ほど強い痛みが続く:徐々に痛みは減っていますが自分では変化していないと思い込んでいる)がかかる場合は、さらに自分のぎっくり腰は他の人よりも悪く最悪な状態と思い込んでしまう傾向もあります。動くことで痛みを感じることへの不安・恐怖感はさらに増幅されます。

強烈なぎっくり腰の痛み、痛みに伴う不安・恐怖は経験者でなければわかりませんので未経験者では想像するのも難しいと思います。ぎっくり腰の患者様を治療している医師や理学療法士でも実際に自分がぎっくり腰を起こした場合は、上記の様に頭では繰り返し感じる痛みで腰の組織が再損傷を起こしていないという理屈を理解していたつもりでも、あまりの痛みの強さに「痛みのある部位は大丈夫だろうか?動いて痛みを繰り返し感じると悪化させてしまうのでは?」と不安や恐怖を持ってしまうものです。

それくらい強烈な痛みのぎっくり腰は、不安・恐怖による心理的な原因・腰の痛みという身体的な原因によって人を動けなくしてしまうものなのです。

仕事をされている人、家事や子育てがある人、学校の勉強や部活、その他にも人により違いはありますが生活内でそれぞれの役割があると思いますが、その役割の代理が立てられない環境(長くは休めない状況)であれば誰しもぎっくり腰を出来るだけ早く治したいと考えてしまいます。

TVや本などで目にする情報や周囲の友人などから聞く情報などで、ぎっくり腰をすると2〜3日は痛くて動き難い、2〜3日あれば痛みは治る(仕事復帰できる程度には戻る)ものというイメージを持たれている人は多いのではないでしょうか。酷いぎっくり腰でも1週間もあれば完全に治る(痛みの無い元の状態へ回復)とイメージされている人は多いと思います。

ぎっくり腰は突然起こり急遽職場へ休みを申請しなくてはいけない状況になります。突然休むだけでも職場には迷惑をかけているという罪悪感が生まれてきます。職場は比較的休みを取りやすい環境であっても、ぎっくり腰は2〜3日あれば治るだろうと上司が考えている可能性は高いのでぎっくり腰の発生から2〜3日経過しても痛みが強く動けないため休みが必要であり休み延長を申請するとなると、患者自身は「ぎっくり腰でこんなに長く休みを取ってしまって・・」というストレスが増して来ると思います。

ぎっくり腰の発生した日から2〜3日は上記の様に職場も2〜3日の休みは必要だろうと考えており比較的に休みが取れる人は多いです。休み申請する時も「しっかり治して復帰してください」など職場の上司の話す口調は優しいものではないでしょうか。発症から2〜3日以上経過しても休みの延長が必要な場合は徐々に上司の口調が優しく無くなって来ることもあり、優しい口調ですが現場は急に人が減り困っている様な感じの雰囲気を受けるなど、会話の中でなんとなく職場復帰を急いで欲しいというプレッシャーを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

「早く職場復帰してくれないかな・・・」「ぎっくり腰くらいでいつまで休んでいるの」など相手が言っていなくても患者は見えないプレッシャーを感じる様になって行きやすいものです。ぎっくり腰発生から2〜3日後の休み申請、1週間後の休み申請、2週間後の休み申請、想像しただけでも1週間後は休みの電話をするのは憂鬱になるでしょうし、2週間も休みを取りさらに休みますと電話をするとなると胃が痛くなりそうですね。

ぎっくり腰は2〜3日で治り職場復帰して来るだろうという一般的な認識(酷い人では1日も休めば完全に治るのが当たり前という間違った認識の人もいます)により、ぎっくり腰の発生から2〜3日の間は焦りを見せる人は少ないのですが、3〜4日の日数が過ぎて来ると「職場復帰を急がなくてはいけないので痛みを早く治さなくては」と焦り始める人が多いと思います。

1週間ほど経過しても痛みが思う様に軽減しない場合は、「この痛みはいつまで続くだろう?一生治らないのではないだろうか?」「なぜ自分だけがこんな強い痛みに苦しまなくてはいけないだろうか」「自分の腰はものすごくひどく壊れてしまっているのではないだろうか」「ぎっくり腰ではなく他の病気じゃないだろうか」など、いろんな不安を伴う考えが増してきます。

ぎっくり腰の発生から2〜3日は「動くと痛いため嫌だな」という強い痛みだけに対する苦痛感が主ですが、日数経過とともに「職場に戻るため早く治さないと、後遺症としてこの痛みは一生残るのでは」など痛み以外の悩みが混ざり、ぎっくり腰の痛みについての苦悩が増幅されていきます。

もちろん1日も休めないという状況の人であれば、発症すぐから「早く治さないと」という焦りは始まるでしょう、人により環境条件(職場や家庭の役割や状況など)は違うため焦りが出始める期間も同じではないのですね。

ぎっくり腰で感じる痛みの強さは?痛みへの執着(痛みばかりに意識が向く)・痛みへの不安や恐怖の増幅、これら2つの心理的な要因は腰部の微細損傷による純粋な痛み(組織破壊による身体的な問題だけの痛み)にプラスされることで皆さんの感じる痛みは増幅させられるということを理解してください。

1、 腰部の破局的なイメージ
2、 ぎっくり腰で休める環境であるかないか

1、 2に対して患者による性格の違いによっても痛みの感じ方は違って来ます。
※人を性格という概念で正確に分類できるものではありません。以下に使用する性格は大まかにその様な傾向(考え方や行動など)が見られやすい人というイメージで捉えてください。

例)
ぎっくり腰の発生により痛みで動けなくなり以下の状況だと仮定します。
・痛みが強く立ち上がることもままならない
・病院受診し注射・服薬の治療を受けたが痛みがほとんど減らない
・職場は忙しく急な休みで困っているだろう
・私(主婦)が炊事・洗濯が出来ないから家族が困るだろう

楽天的な思考の人であれば?
ぎっくり腰をした後は動くと痛いな、トイレに行ったりすると動くため痛みが出て移動が大変だけどしょうがないな〜ぎっくり腰なのだから、病院ではぎっくり腰で2〜3日は痛みがあり動き難いでしょうと説明されたから安静にしておこう。注射もしてもらったし痛み止めの薬ものんでいるからそのうち痛みも減って来るだろう。職場にはもう休みの電話をして許可ももらったし、これだけ痛いのだから無理して出勤しても痛くて座っていられないし仕事にならないから休むしかないな。まあ急な休みで申し訳ないが2〜3日休みの間は同僚がなんとかしてくれるでしょう。炊事・洗濯が出来ないので夫や子供たちは困るだろうけど、自分達で家事を行うことで毎日家事を行っている母の有難さが分かっていい勉強になるかも。ぎっくり腰が治るまでゆっくりさせてもらおう。

悲観的な思考の人であれば?
動くとすごく痛いのだけど、動いて痛みを感じる度に腰が壊れて悪化しているのではないかな?早く治すために痛みを出来るだけ感じない様に生活しないといけない。病院ではぎっくり腰と言われたけど注射をしても痛み止めの薬をのんでも腰の痛みが治らない、ぎっくり腰は誤診でヘルニアとか骨折とかではないのかな?職場は忙しいから急に休むと電話すると上司も怒るかもしれないし同僚もすごく困る(苦情が出るかも)だろうから申し訳ない。皆に迷惑をかけるから、とにかく早く職場復帰するために早く治さないといけない。炊事・洗濯をする人がいなくなるから夫や子供は生活出来ないだろうし、どうしたらいいだろう誰かに家事を頼まないといけないだろうか?

大雑把ではありますが2つのタイプの考え方の違いの一例を書いてみました。同じ身体条件と環境条件であっても、その人の物事の捉え方や考え方、それらを元にどういう行動を取るかというのは人により違いが出るものです。

ぎっくり腰が同じ部位で同じ大きさの微細損傷だったと仮定しても?人は性格により痛みの強さ不安・恐怖(痛みが怖くて動けない)などを大きく感じることもあれば、それほど大きく感じない(痛いけど出来る範囲の動を継続している)こともある。

頑丈な体でいつも勇ましい男の人が意外にも痛みに弱いこともあれば、いつも控えめな性格で弱そうに見える女性が痛みに強いこともあります。人は普段の健康な状態での見かけでは分からない本質的に強い・弱いという精神的な強さの違いがあると思います。酷いぎっくり腰になった場合(重篤な病気なども含めて)などでは、自分が思っていたよりも楽天的なタイプなのか悲観的に物事を捉えるタイプなのか、窮地に立たされることで自分自身の本質が分かるのかもしれませんね。

私は虫歯治療で痛いのが怖くて通院するのを何年も先延ばししたくらいですから、どちらかというと悲観的に捉える方だと思います。偉そうな事は言えない立場ですが・・・

もちろん知識があるからこそ先の予測が出来るために不安・恐怖が強くなることもあるし、知識がないから知らぬは仏で不安・恐怖が少ないという事もあります。ぎっくり腰で痛みを訴える人の話を聞いたり・痛みによる行動を見ても、第三者がぎっくり腰の人の身体状態や精神状態を正確に捉えることが難しいのは、世の中に同じ人(思考や行動)は一人としていないという基本があるからです。

そう考えると?
A:腰部の組織損傷は小さくとも→痛みにより寝たきりに近い状態で動けない
B:腰部の組織損傷は大きくとも→動くたびに痛みが激痛っぽいが動けている

痛みと動ける内容の違いという一見すると矛盾も患者の違いとして表れるのも当然なのですね。

ぎっくり腰ではこういう腰部局所の組織損傷の規模(炎症の規模)・患者自身が訴える痛みの強さ(痛みによる苦悩)・痛みによる動作困難(出来る動作と出来ない動作の内容)の3つに共通性(この腰の損傷状態ならこのくらいの痛みを訴えでこの動作は出来ないだろうと予測される症状)が無いことも多く、医療者側から見ても矛盾していると見えることも多くあり、身体に発生する痛みの中でも長期化するぎっくり腰の痛みは特に精神状態が反映されている可能性の高い痛みである場合もあります。

 

治療

ぎっくり腰の治療

ぎっくり腰の身体問題は?
A:腰部筋の微細炎症部位の痛覚過敏
B:小さな微細炎症のある筋肉の一時的な突っ張り(スパズム)

Aの微細損傷部位の微細炎症の持続は、局所の痛覚過敏を持続させ筋肉の突っ張り(こわばり)を増す影響も出し続けます。微細炎症部位の痛覚過敏が強過ぎる場合は、痛み止めの注射(ブロック注射)などで局所や痛みの伝導路での痛覚過敏を抑制し一時的に自覚する痛みを小さくし、徐々に微細炎症が鎮静化(数日で痛みが軽減して来る)して来るのを待つという対応になります。あくまでも注射により痛みを一時的に軽く感じさせている(一般の人は痛みを伝える神経をおとなしくさせるみたいなイメージでOKです)のであって、注射や服薬などの治療によって筋肉の微細損傷部位の組織修復を早めているのではありません。

Aのぎっくり腰で激痛により歩くこともままならないという重度の痛みと動作制限が数日間ほど続き長期化しそうな状況になればブロック注射なども検討されますが、通常はぎっくり腰発症すぐの治療としてブロック注射の実施は選択されないと思います。基本的にぎっくり腰の痛みは自然と軽減(数日間は様子を見る)するので治療の必要性が無いからです。

強い痛みと動作制限が長期化すれば、Aの場合には鎮痛効果が多少期待できるブロック注射などが主な対応となってくるので、痛みのコントロールとしてはペインクリニック等がお勧めです。ただし、ブロック注射による鎮痛効果は出ても極めて小さい効果と予想されます。

Bの微細炎症は比較的にAよりも小さい規模で、小さい範囲の痛覚過敏部位が維持されており、微細炎症部位を含む筋肉全体が突っ張り続けている状態です。微細炎症のある痛覚過敏部位(筋肉一部の痛みが強い局所)から痛み刺激もあるのですが、筋肉全体の突っ張りが持続しているので突っ張っている筋肉に力が入る(筋肉が縮む)・引き伸ばされるなど筋肉への負担によって瞬間的な強い痛みが発生します。ぎっくり腰の発生から数日間の痛みが強い時期では痛みの質はAに似ています。

Bは微細炎症が主体の痛み、筋肉の突っ張り(こわばりに似ている)の2つの原因が合わさっているのですが、筋肉の突っ張りが過剰に出ていることから痛みが強く出ている傾向のため、一時的に増加している筋肉の突っ張りが低下(筋緊張の低下)すれば、微細炎症主体の一部の痛みは残りますが筋肉の突っ張りによる痛みはある程度は減ります。

Aタイプ→注射は一時的な痛み軽減(効果は極めて小さい鎮痛)。鍼、徒手療法では痛みはほぼ治まらない。
Bタイプ→注射や鍼、徒手療法などで筋肉の突っ張りによる痛みは一部軽減出来る。

Bタイプは筋肉の突っ張りを軽減させる技術である、トリガーポイントブロック・鍼・リハビリ(リハの徒手技術)・マッサージ・整骨院・その他の民間療法などである程度の痛み軽減効果が期待できます。

ぎっくり腰になった場合は、初診は必ず医療機関(CT・MRIがある)である整形外科かペインクリニックへの受診を行いましょう。腰部の小さな骨折・靭帯損傷・ヘルニアなどの疾患(他の内科系疾患なども含めて)でないかを確認しておくことが重要です。

ぎっくり腰では立つ・歩くなどの移動動作が困難になります。寝たきり状態に近いレベルに追い込まれるほどの激痛が発生した場合には、最初(初診)に整骨院・鍼・徒手療法(民間療法など)などを利用するのは止めてください。これらの施設は医療機関では無いため、利用してさらに痛みが増して動けなくなっても、あなたの体に対して何の責任も持てません。

高熱が出て風邪をひいたと思ったら、最初にお祓いに行きますか?何か変な宗教でもしていなければ普通は病院に行きますよね?激痛のぎっくり腰が発生して、初診で医療機関に行かないという事は風邪を引いてお祓いに行くのと同じくらいバカバカしい間違った行動です。

ぎっくり腰は治療を行っても治療を何もしなくても、基本的には微細炎症が改善していくスピード(完治までの期間)はあまり違いがありません。多くの人がA・Bタイプのどちらであっても約2〜3週間もあれば大幅な痛み軽減となる傾向(仕事復帰して完治に近い状態)にあります。

こういう事実から考えて、ぎっくり腰は基本的に時間経過とともに自然と治るものであり、ぎっくり腰は医療施設の治療やその他の民間療法での施術も本来は必要ないというのも事実です。初診で医療施設を利用しないといけない理由は、ぎっくり腰の治療が大切だからでは無く、あくまでも他の疾患や外傷(骨折など)の原因による強い腰痛でないかを確認しておくことが大切だからです。

ぎっくり腰と自己判断し病院に行かずに、最初から鍼灸・整骨院・民間療法などに通っていて痛みがなかなか治まらないため病院受診をしたら背骨が骨折(圧迫骨折など)していた!などということは高齢者では時々あり珍しいことではありません。若い人でも痛みが長期化し不安が増加してしまうと安静臥床傾向に向かい過ぎて痛いから動かないという悪循環に入り、間違った知識や判断(痛いから動かず安静にしないといけないという考え)が強化され寝たきりに近い状態まで追い込まれることもあります。

まずは病院へ!

多くの人がぎっくり腰による腰痛を早く減らしたいという考え(早期の職場復帰を理由に)から、医療施設や整骨院その他の民間療法などに毎日の様に通い続けますが、基本的には痛みを急速に減らすことはAタイプのぎっくり腰では不可能、Bタイプのぎっくり腰でも一定量の痛み((筋肉のこわばりにより増加している痛み)はある程度は減るが一定量の痛み(微細炎症のある局所の痛み))は2〜3週間は少し残る傾向にあります。

医療機関の治療でも組織修復を早められない事実と、日数経過に比例し大多数の人では自然と痛みは軽減していく事実から、基本的にぎっくり腰は予後が良好であり治療が必要ないのです。

AタイプとBタイプのぎっくり腰の例を以下に記載します。

・Aタイプのぎっくり腰を発症
・激痛で起き上がれない・立てない・歩けないなど日常生活動作が困難
・整形外科・ペインクリニックを受診
ヘルニア・骨折・靭帯損傷などの激痛を伴う急性痛では無いかを確認する。
ブロック注射などで痛みを一時的に減らす(鎮痛効果は出ても極めて小さい)。痛み止めの飲み薬・座薬などの処方を受ける。
・発症より3〜4日(痛みピーク期間)
立つ・歩くなどが大幅に困難な状態であれば、発症より3〜4日(痛みピーク時期)は痛みの変化をみながら行動範囲は自宅での生活範囲とし適度な活動量と適度な安静を基本(寝たきりでは無く、少しずつ動きを増やす様に心掛け、前日よりも動きを増やしていくことが宿題)とする。仕事に無理に出勤すると腰への負担が強くその日はなんとか仕事をこなせたとしても、翌日などにはさらに強い痛み増加に繋がる可能性が高いです。
無理をして早急に動き(仕事など)痛みを増加させ過ぎる(微細炎症の増加)と痛み軽減が遅くなる可能性もあります。翌日に痛みを増加させない範囲の適度な運動量が大切な時期です。無理に仕事などを行い腰痛が一時的にも増加すると必ず不安が増加し、さらに腰が壊れているのでは?動いた時に少しでも痛みを感じると治りが遅くなるのでは?など間違った考えが強化されてしまうので、不安・恐怖の増加という心理的側面から考えても早期より過剰な動きを行う必要はありません。
・痛みピーク期間の経過後、発症から1週間前後の頃
動作時の鋭い激痛が一定量は軽減しているが一部の痛みは残っている。腰部の重たいような・動かすと固い様な感覚(腰が滑らかに動かない感覚)がある。痛みはあるが立つ・歩く動作は可能となっている。
・ぎっくり腰発症から2週間前後
動作時の腰部に感じる鋭い痛み・重たい・固い感じのこわばりは大幅に軽減している。腰部及び体幹を動かす運動やストレッチなどを痛みの少ない範囲で増加し、ラジオ体操の様な全身を動かす運動を導入し、それらの運動で腰痛が出ない状態までを目標に継続する。
・個人差はあるが3〜4週間もあれば多くの人は完治する。

Bタイプのぎっくり腰を発症した場合は、基本的にはAタイプの流れと同じで徐々に痛みが改善して行きます。徒手療法が効果を発揮すると実施後すぐ(当日は変化が少ない場合でも翌日には痛みが軽減してくる)一定領域まで痛みが軽減し、その後は残っている痛み(微細炎症が主体の痛み)も日数経過とともに徐々に軽減していきます。

発症から数日(2〜3日程度)は痛みピーク期間でありAタイプに近い強い痛みを感じることもありますが、多くの人では寝返り・起き上がり・立つ・歩くなどの日常生活動作はAに比べると動ける範囲は広い傾向にあります。
先にも述べましたが、Bタイプは筋肉の一時的な突っ張り(こわばり)の影響が大きい傾向であり、筋肉の突っ張りを安全に軽減出来れば1回のアプローチで一定量の痛み軽減(個人差はありますが痛みは1/2前後に減る)が急速に進みます。

ドラマなどでぎっくり腰で歩けなかった人が鍼・マッサージ・整体などを行ったら、痛みが大幅に減って歩けるようになるという場面を見たことありませんか?皆さんの周囲の人達の経験談などでもぎっくり腰をした時に○○(カイロ・整体・その他全般の徒手療法)へ行ったら1回で痛みが減って帰りは痛くて歩けなかったのがなんとか歩けるようになったなどの噂話を聞くことがあると思います。

Bタイプの場合はこういう一時的な改善を出すことは難しいことでは無く、その人のぎっくり腰がBタイプ(Aタイプでは不可能)であったため微細炎症のある局所の痛みにプラスされている筋肉の突っ張りの痛みを徒手療法で減らせたために得られる結果です。

ただし、Bタイプは筋肉の突っ張りによる影響が大きい痛みですが微細炎症(局所の痛覚過敏部位)の痛みも一定量あります。基本的に徒手療法で一定量の痛みを早期に軽減出来ても、微細炎症部位の一定量の修復にはAタイプと同じで一定期間(通常は2〜3週間)が必要です。このため、筋肉を安全にほぐせても一定量の痛みは残るため、早く治したいと考えてぎっくり腰の痛みが0になるまで徒手療法を毎日繰り返しても意味がありません。お金の無駄です。

ぎっくり腰が発生して整骨院や整体に毎日通う・1日おきに通うというのは100%お金の無駄ではないでしょうか?患部(微細炎症を起こしている筋肉)を触り過ぎると痛みが増す(患部に入れる刺激の圧力が大き過ぎる、刺激量が多過ぎるなどで微細炎症は増し痛みが増す)というリスクもあるので、ぎっくり腰で患部へ徒手療法を毎日の様に行うことは基本的に望ましくありません。

病院受診し他の疾患でないかを判断し、1回目のアプローチでは試験的に安全な圧力で軽く筋肉の突っ張りを軽減させて、翌日に痛みの増加が無ければ本格的に腰部の筋肉の突っ張りを軽減させる対応を1回行う、Bタイプであれば、2回ほどのアプローチで筋肉の影響している一定量の痛み軽減効果が出ます。後は1週間に1回(多くても1週間に2回程度の間隔)ほどの実施でこわばりを抑えつつ日常生活の動きを徐々に増やせば十分なリハビリです。

Aタイプ、Bタイプのどちらであっても微細損傷(微細炎症)の修復は時間を要します。
個人差はありますが比較的に強い激痛タイプのぎっくり腰(Aタイプ)を想定し、以下に発症してから1ヵ月間の一般的な経過を記載します。
VASは痛みの強さの10段階評価であり10点が一番強い痛み、0点は痛みが無い状態とします。

@ 発症日〜翌日:痛みピーク
激痛(VAS:10〜7点)・立つ、歩くなどが困難
A 発症から2〜3日:痛みが少し軽減し始めていると自覚
動くと激痛(VAS:9〜5点)・立つ、歩くなどが可能となる(室内移動可能)
B 発症から1週間:1日経過するごとに痛みの改善速度が徐々に増しているのを自覚
自宅内や短距離を歩くのは安定(動ける活動領域は室内から屋外へ拡大)
動作時の痛みが明らかに軽減している(VAS:7〜4点)
立つ、歩くなど速度・距離の増加、歩行時の前傾姿勢は少し残っている
仕事(デスクワーク系であれば)が可能となる。半日程度〜1日
体を動かす仕事(身体負担の大きい)であれば半日程度は誤魔化しながらなんとか可能になってくる
C 発症から2週間:痛み軽減が大幅に加速し始める(VAS:4〜1点)
腰部の耐久性も増加し1日仕事が可能。帰宅すると痛みが増している感じがある
D 発症から3〜4週間:痛みへの不安・恐怖は大幅に軽減(VAS:3〜1点)
中腰姿勢や長い時間の座位・立位など一部の動作のみ痛みが出る
E 発症から1ヵ月:一部の動作・姿勢で残る痛みが気になる(VAS:2〜0点)
一部の姿勢・動作でわずかに痛みが出るか、全く痛みはない

上記の1ヵ月の流れは、酷いぎっくり腰(痛みで動けないため入院するほどではない人)でかなりの激痛と動作制限の出るレベル(Aタイプで微細炎症もかなり強い)の人をイメージしています。発症から痛みピーク時に激痛であっても、微細炎症の規模が小さければ痛み軽減は早い場合もあります。

最初は激痛のぎっくり腰であっても、多くの人では上記例の発症から1・2週間の期間が短くなり、発症から1〜2週間で上記例の3〜4週間の状態まで一気に進むと思います。痛みピーク時に動けないほどの強い激痛があっても、大多数の人は発症から2週間前後あれば通常の仕事が可能なレベル(過度に身体負荷の無い仕事では)にまで改善していると思います。

Aタイプ→注射・薬剤コントロールでしか痛みは緩和できない、多少緩和できても一時的でありすぐに痛みは戻ります。徒手療法での鎮痛効果は0に近い。
Bタイプ→注射・薬剤コントロールで一定量の痛み緩和が可能、筋肉の突っ張りの影響(元々腰の筋肉の硬い人)が大きければ徒手療法が注射より効果を示す場合は多い。しかし微細炎症による局所の痛み(一定量の痛み)は修復が終わるまでは必ず残る。
事実→AもBも筋肉の微細損傷は治療により治せない、微細炎症の修復速度を加速出来ない。痛み軽減には基本的に時間が必要であり、通常のぎっくり腰は何も治療しなくとも2〜3週間あれば腰痛が気にならないレベル(ほぼ完治している状態)まで安定していくため、基本的に予後は良好(自然と組織修復が進む)な疾患である。

リハビリとしては?

・発症から2〜3日(痛みピーク)
この期間は痛みが強い場合はとても立ち上がれない、歩けないという状態(死に物狂いでトイレまでは何とかいける程度)になる場合もあります。ぎっくり腰の治療としては早期より動くことが望ましいとなっており、ベッド安静(一日中を寝て過ごす)は行わずに可能な範囲で動くことを促されます。

動作中の激痛発生によるぎっくり腰で、立位から座位・ベッド臥床への動きで発生する痛みを説明しましたが、これらの痛みは動作時に必ず発生します。多くの動作や姿勢では腰部に一定量の負荷(腰の筋肉に力を入れる・体重がかかるなど)や腰椎の動き(腰の屈伸など)が必要なので、この動作時ごとに発生する痛みを避けることは100%不可能です。

リハビリでは痛みを少なく感じる様な動きを探す練習を行う必要があります。痛みの少ない動きは工夫により出来る可能性はありますが、痛みを全く感じないで行える寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行は存在しません。

ぎっくり腰の発症から3〜4日は痛いのが当然であり、痛みを感じないで動きたいという気持ちは理解できますが不可能であり諦めてください。痛みを根性で我慢し動くしかないということです。

激痛発症から2〜3日以内は多くの人が痛みピーク期間であり、寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行などの動作を行うたびに強い腰痛が繰り返し発生しますが、この強い腰痛が繰り返されると、繰り返される痛み刺激によって不安や恐怖が増強させられてしまいます。

強い不安や恐怖はぎっくり腰の治療として間違った考えを強化してしまう方向へ向かいやすく、「痛みを繰り返し感じるとさらに腰を痛めて問題を大きくしているのではないか?痛みが繰り返し発生していると治るのに時間がかかってしまうのではないか?腰痛が大幅に減るまでは安静が必要ではないか?」という考えが強化され安静傾向を取り過ぎる結果に繋がることが多いです。

こういう無駄な不安や恐怖感を増強させずに、可能な範囲で不安や恐怖を抑制する努力が必要です。ぎっくり腰では腰部を動かすと感じる痛み・腰部への荷重痛・安静時痛など痛みについての説明や今後の痛み軽減予測(どのくらいの期間でどう変化してくる)などを医師やリハビリ担当者と話し合うことが大切です。

ぎっくり腰で病院受診をした時の最初のリハビリでは理学療法士(リハビリの担当)に腰の痛い部位を触ってもらうというイメージが強いと思いますが・・・

最初のリハビリでは特にぎっくり腰についての理解を深めることが大切であり、1単位20分間のリハビリを行うなら体を触ってもらうのでは無く(腰の筋肉をほぐしたり、関節を動かす技術を行ったり)全ての時間を話し合いに使ってしまう方が本質的には有効です。

ぎっくり腰の治療としては注射や薬剤コントロール・徒手療法が一番大切では無く、最も大切な治療は?患者様自身の間違った認識を早期に修整し、無駄な不安・恐怖を抑制する(過剰な安静を取り過ぎる原因)ための会話が一番効果を出す治療法なのです。

無駄な不安や恐怖が増さない状態で積極的に動きながら生活を続ければ、ぎっくり腰は注射・薬・鍼・徒手療法などは全く必要なく自然と治るものなのですから、極端に言えばぎっくり腰への医学的な治療は必要ないとも言えるのです。

間違った認識を持ったまま誤解を元にした無用な不安や恐怖を持ち続けていれば、長期間の治療として注射を繰り返す・痛み止めを飲み続ける・鍼を続ける・徒手療法を受け続ける、これらに多額の費用と時間をかけることで依存的思考(治療を受け続けないと痛みが減らない)が強化され余計に痛みが安定しない可能性もあります。

痛みに執着し痛みを過剰に恐れている人は、ちょっとした痛みでも常に気になってしまい痛みを感じる度に破局的なイメージ(もう痛みは治らない・歩けなくなるのではないか?など)に繋がり不安・恐怖をさらに増加させ、本来の痛みの強さ以上に痛みを過剰に強く感じてしまいます。

最初はぎっくり腰の痛み(微細炎症や筋肉の一時的な突っ張り)として純粋な身体問題で苦しんでいたのが、長期化して来ると身体問題は改善傾向(痛みはあっても活動範囲の拡大や出来る動作の増加があるのに)に進んでいるのに日常生活で出来ていることの拡大には意識が向かず、動作時に感じる痛みばかりに意識が向き過ぎており、「痛いから何もできない」「痛いから動けない」など過剰な不安・恐怖・間違った認識による心理的な問題の影響が大きい痛みの問題とした状況へ変化していきます。

ドクターショッピングを繰り返し、「安静が一番」「どこかに自分の腰痛には効果のある治療があるのでは?」という間違った認識を持ったまま、どっぷり依存思考で注射・痛み止めの薬・鍼・徒手療法だけの治療を続けても、活動性を低下させる考えを増強させてしまい、痛みを恐れて動かない→痛みが一時的に楽に感じる→臥床傾向が増える→体力低下→動くと体力低下(疲労性の痛みも出やすい)なども合わさり痛みをさらに感じやすくなる→痛みが続いているから悪くなっていると考えさらに動かない、という悪循環にどんどん入り込んで行きます。

患者様に痛みと安静の関係を正確に理解していただき、患者様が冷静な視点で自身の腰痛を評価し考察できる状態になれる様に支援することがリハビリ(理学療法)の治療として最も優先されることだと思います。

ぎっくり腰発症から仕事復帰までの期間のリハビリは、どうすれば楽な姿勢が取れるのか、痛みが少ない動作が出来るのかを工夫し、生活内の行動範囲を広げて行く(痛みを恐れて行わない様にしている姿勢や動作を徐々に行っていく)ことが効果的です。

痛みが軽減している実感が出てくればストレッチや体操などで腰部を動かす運動を増加し、腰部の動きを行うことで、腰部筋の柔軟性向上を目的とする身体面への対応に合わせて、安全に運動を継続出来ている結果からは、ぎっくり腰を再発するのではないかという漠然とした不安・恐怖を軽減していく心理面への効果が出るので、運動を徐々に増加してください。

ぎっくり腰発症から1ヶ月ほど経過し腰痛もほぼ改善している段階に入れば腰部筋や腹筋などを強化する運動を導入していくとより効果的ですが、発症から1ヶ月以内の時期に腰の筋肉を鍛えようという考えでの腰部筋への負荷の大きい運動(筋力強化目的の運動:筋トレ)は腰痛を増加させる可能性が高いので実施する必要は全くありません。

 

まとめ

ぎっくり腰の身体問題は?
A:腰部筋の微細炎症部位の痛覚過敏
B:小さな微細炎症のある筋肉の一時的な突っ張り(スパズム)

ぎっくり腰を大きく2つに分けて症状から治療について説明しました。
しかし、ぎっくり腰の痛みのある局所の状態をどの程度の微細炎症があって筋肉の一時的な突っ張り(こわばり)がどの程度あるのか、病院でもぎっくり腰の局所の微細炎症の状況を検査で数値化や画像化は出来ません。

ぎっくり腰では傷めた筋肉の炎症のみで痛みが発生している、筋肉の一時的な過剰な突っ張り(こわばり)のみで痛みが発生しているという、微細炎症or一時的な過剰な突っ張りのどちらかのみの原因というぎっくり腰はありえません。

現実的にはAタイプ・Bタイプのどちらの傾向であるという予測を元に治療を展開するのが望ましく、微細炎症or一時的な過剰な突っ張りのどちらかのみの原因と考え自己流の対応は行わないでください。特に発症すぐの痛みの強い状況では痛みの質や強さはAタイプ・Bタイプともに似ている部分がありどちらか判断が難しいものです。

このため、病院や民間療法などに行った後にぎっくり腰の痛みがさらに増してしまう結果(Aタイプに対して徒手療法などを行う)に繋がることが時々あります。一部の人では腰痛が強くなり歩けなくなって自宅で数日寝たきりに近い状態になる、高齢の人では痛みで動けなくなり病院に運び込まれる人(入院となる)などもいます。

歩行や椅子からの立ち座りなどの動作が激痛により大幅に困難な状態であるぎっくり腰の人は病院で診察を受け、他の外傷(骨折など)や内科系の疾患などが無いかを確認する必要があります。痛み止め薬剤の処方を受けて2〜3日は適度な安静と適度な活動量を維持していると腰痛は自然と軽減していきます。

基本的に治療は必要ないので整形外科に物理療法(器械で腰を治療)や理学療法(リハビリ担当者による徒手療法)を行うため毎日通う必要はありません。毎日リハビリを行っても痛みの原因である腰の筋肉の微細損傷の修復が早まることは無いので、ぎっくり腰においてはリハビリ(リハビリ以外の鍼・整骨院から民間療法の全て)の治療効果は極めて薄く時間とお金の無駄です。

しかし、ぎっくり腰について不安や恐怖感が強い人であれば、リハビリ担当の理学療法士と話し合い、痛みの少ない動作(歩行・立ち上がり・起き上がりなどの日常生活動作)を検討し練習するなどの意味で通うのであれば毎日リハビリへ通う意味は大きいと思います。

ぎっくり腰で激痛の場合には、あまりの痛みの強さに不安や恐怖が強く出過ぎる人(動作時に痛みが出て腰がさらに悪くなっているのでは?など漠然と不安を感じる程度でも十分不安が大きい状態です)も多く、安静傾向が強くなり過ぎる傾向に向かうため、リハビリ担当者との会話でぎっくり腰の知識を得て冷静な視点を持ち精神的な落ち着きを得る目的で通うのは効果的です。意外に専門家との会話は治療効果が一番大きい場合もあります。

ぎっくり腰を発症する人の中で極わずかな人にですが、大幅な痛み軽減までに1ヶ月以上の日数がかかる人(微細炎症の治癒が遅い)もいるので、これらの人では発症から2週間ほど経過した頃には痛みが思うように軽減しないことから焦りが出てきやすいので、医師やリハビリ担当者との会話で精神的な落ち着きを保ちつつ痛み軽減をどっしり構え待つ姿勢(大幅な痛み軽減までは2〜3ヶ月かかると理解し焦らない)が大切です。

ぎっくり腰発症から数か月経過しても痛みが長引き安静を取り過ぎる悪循環に入っている人の多くは、痛みのみの問題ではなく治療の失敗や間違った知識により、最初は早く治したいという焦りから始まり最終的にはまだ治らない・なぜ自分だけ治らない?という混乱状態(本人は自覚していない)に入っている人もいます。

Bタイプのぎっくり腰であり筋肉の一時的な過剰な突っ張りによる痛みが主な場合は、軽い刺激での徒手療法を1回行い痛みの軽減があれば本格的にもう1回実施、その後は1週間に1回程度の対応で十分です。日常生活での活動範囲を積極的に増やしていくため腰の痛みがありますが活動量の増加で腰の負担が増し徐々に疲労も出てきます。腰の筋肉を1週間に1回ほぐして疲労を一定量軽減させるという意味で効果があり、腰の筋肉を治しているのではありません。

医療→病院、代替医療→鍼灸・整骨院、民間療法→整体・カイロなど、どの施設であってもぎっくり腰になり毎日の様に通いなさいという説明をする場所は・・・

患者がぎっくり腰になる→毎日の様に代替医療や民間療法に通う→1〜2週間ほどで痛みは大幅に改善→通うのを終了する。患者はこの施設に通い施術を行ったから治ったと思う。

ぎっくり腰は基本的には腰筋の微細炎症と一時的な過剰な突っ張りによる痛みであり、発症からの日数の経過とともに痛みは確実に軽減していきます。大半の人は2週間程度もあれば治療をしてもしなくても大幅に痛み軽減(仕事復帰が出来ている)が達成できるため、ぎっくり腰の治療に毎日通ったおかげで治ったという結果になることはまずありません。

基本的に痛みの原因部位である筋の微細炎症の自然治癒なのですから!

ぎっくり腰の治療に毎日通う、1日置きに通うなどは時間とお金の無駄であると言えます。

同じくらいの痛みの強さ、同じ部位の微細損傷のぎっくり腰の2人でも、一人は仕事も休めて痛み軽減に合わせて日常生活の活動量を徐々に増加していける環境の人、もう一人は仕事が休めないため痛みを我慢しながら早期より無理をして勤務を続けている場合では、毎日の腰部への負担量が違うため痛み軽減までの日数には違いが出る可能性があります。

また、デスクワークが主体の仕事の人と重たいものを持つ仕事や長時間の立ち仕事が主体の人などでは、仕事復帰時期が同じでも仕事を再開してからの痛み軽減(痛みが改善)するまでの期間にはやはり違いが出るでしょう。

ぎっくり腰発症から1・2・3週間と経過していく中で、個人差はありますが日数経過に比例して徐々に痛みは自然と軽減していくのですが、上記の様な環境の要因により発症からの時期と痛みの状況から考えると、腰への負担が大き過ぎて痛み軽減が遅れていることもあります。ぎっくり腰の発症から1ヶ月前後経過しているのに痛みが思うように軽減していない場合は焦らずに原因を分析して冷静な思考を持つことが大切です。

ぎっくり腰の発症から1〜2日間に激痛でベッド⇔トイレほどの移動が精いっぱいでほぼ歩けない状態、ぎっくり腰の発症から1〜2日間は痛みが強かったが痛みに注意してゆっくり動作を行えば屋外を歩けるし車もなんとか運転出来た状態。激痛で歩けない状態の方が酷いぎっくり腰で改善までは時間がかかると予想されますが、発症初期から痛みはそこまで強くない状態の人が状況によっては痛み改善まで長期化し1ヶ月以上かかる場合もあります。

ぎっくり腰は治療の必要性は基本的にないと繰り返し説明してきました。日常生活での動きを徐々に拡大しながら腰痛が続いていてもどの程度動けるようになって来ているかという部分に目を向けなければいけません。痛みがどの程度減ったということに目を向けすぎるから不安や恐怖(痛みにばかり執着し痛みが気になってしょうがない)が増し無駄な安静傾向に入り悪循環に入るのです。

ぎっくり腰の治癒経過としては、痛みはあるが動作が先に拡大されて行くので、基本的に動作改善(日常生活で出来ることが増える、長い時間行える様になる)の進行よりも遅れて痛み軽減が追い付いてくるものなのですから、動作の変化に目を向けてぎっくり腰が改善しているかを判断してください。積極的に動きを増やすことで自然と痛みが徐々に減って来るのをどっしり構えて待つ姿勢で対応していただければ良い結果に繋がるでしょう。

ぎっくり腰の痛みは自然と軽減するので発症初期の強い激痛を怖がる必要は無いのですが、1〜2週間で職場復帰し大幅な痛み軽減に繋がっている人でも、発症から1ヶ月を経過した段階で痛みがまだ少し残っている場合(発症初期は激痛で治癒経過の遅い人では2ヶ月ほどが目安)は慢性腰痛へ移行する可能性があるので注意が必要です。

ぎっくり腰が発生する前まで全く腰痛を感じることが無く、腰部の柔軟性も良い状態(前屈して床に手がつくなど)だった人では、動作時などに運悪く腰への負担が大きくて腰部筋の微細損傷を起こした微細炎症主体(Aタイプ)のぎっくり腰であった可能性が高く、腰痛が軽減すると腰の筋肉はほぼ元の状態に戻っており、発症から1ヶ月も経過すると痛みは全く無く腰を動かしても腰の動きが硬く感じるなどの違和感も無いと思います。

逆にぎっくり腰を発生する前もたまに腰痛があった、腰痛は無いが体が硬い人(前屈して床に手がつかないなど)では、すでに腰部筋の柔軟性が低い状態(筋肉がすでに固くなっていた)で腰部筋の一部に固く触れる筋硬結が出来ている可能性が極めて高いです。すでに腰部筋に問題のあった人では、ぎっくり腰がAタイプとBタイプのどちらでも発症から1ヶ月ほど経過しても1〜2割の痛みが残っている人がいると思います。

腰部筋のこわばりや痛覚過敏部位(筋肉を押すと痛みがある部位)が残っている状態であり、筋肉の柔軟性がぎっくり腰を起こす前の状態まで改善出来ていない可能性があります。このため、動作時に1〜2割程度の腰痛が残っている状態が続いています。

さらに数か月が経過すると日常生活で自覚する腰痛は徐々に減ることが多いのですが、腰を動かすと硬い感じがし動かし難い(腰の違和感)、体が疲れている時などは腰痛が出やすい状況は続く場合は?

腰痛の軽減に関わらず腰部筋の柔軟性低下は持続しているので、数年後に腰痛が強く(慢性腰痛になる)なる、腰の動きが今まで以上に硬くなるなど徐々に悪い方向へ進行していると考えられます。

ぎっくり腰発症後から1ヶ月ほど経過し腰痛が1〜2割程度に軽減した段階から、今後のぎっくり腰の再発防止と慢性腰痛への移行を予防するために、積極的なリハビリ(腰部筋のマッサージ・ストレッチ・運動)などを行うことが大切です。


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