Powered by Google

腰椎椎間板ヘルニア

疾患別の説明

腰のヘルニアの痛み(体操・ストレッチ・運動・リハビリ)

【疾患】

椎骨と椎骨の間にある椎間板の変性により発症する。20〜40歳に多く第4腰椎から仙骨間で好発します。椎間板の中にある髄核が飛び出し激しく圧迫するものと髄核が飛び出さないものとに分けられます。

腰と神経圧迫されている側の下肢に痛みや痺れを生じます。くしゃみや咳・仕事で重たいものを持ち上げるなど、腹圧が高まることが原因で急性に発症する場合と、慢性的にゆっくり痛みや痺れが増強してくる場合があります。

神経圧迫による症状が下肢に見られるため、神経根の障害レベル(何番目の神経が圧迫されているか)に応じた場所に痺れと合わせて筋力低下(圧迫されている側の下肢が細くなる)や膝蓋腱反射やアキレス腱反射の低下が現れます。

神経根圧迫により手術や保存療法が選択されます。手術と保存療法での予後の違いがあまりないことからも、最近は手術をなるべくしない方向になってきているようです。

腰痛が軽減した人でも、日常生活における動作で「太ももの裏が突っ張る」と感じる方や「ふくらはぎがつりやすい」という症状が残る方も多いです。

【評価と経過】

腰椎椎間板ヘルニアの激しい人は手術も必要ですし、保存療法でも入院が必要となるでしょう。激しい急性痛の方は病院受診を必ず行ってください。

腰椎椎間板ヘルニアでは神経根の圧迫により、圧迫されている側の下肢に痺れや痛みが生じている方もいますが、下肢への痺れはなく腰痛のみの方もいます。

「腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けて以前は激しい痛みがあったが今は時々腰痛を感じる」「腰痛があり受診して軽いヘルニアとの診断を受けた」という人の方が、手術が必要と診断を受ける人より圧倒的に多いです。

手術をしないで保存療法で経過した人の多くが数年後には痛みや痺れが軽減することからも、実際には椎間板ヘルニアによる圧迫は改善されていないのに痛みや痺れは改善されます。腰痛に痛みが限局しており、仕事などによる身体的疲労で痛みが増強する方は、ヘルニアによる痛みというよりも腰周囲筋のスパズムが痛みに影響しています。慢性腰痛として自分の腰痛を考えることが大切です。

椎間板ヘルニアによる急性痛を経験した人は、痛みの激しい時期は圧迫部位の炎症が原因で持続的な痛みとわずかな動作で痛みが激しく増す症状が出ています。激しい痛みの時期は明らかな炎症症状ですが、数年経った状態で身体疲労に合わせて腰痛が出たり出なかったりしているという状態では筋硬化があると考えられ、腰部周囲筋のスパズムを軽減させることである程度の痛み軽減が可能と考えられます。

神経圧迫の原因によりその神経の繋がっている(神経支配)先の筋肉・靭帯・骨・皮膚などがゆっくりと変性します。急性期の痛みが軽減した後に、腰や下肢の筋肉に対して柔軟性を維持するような管理を怠っていると、反射の持続によるスパズムの亢進と繋がっていきます。もちろん関節拘縮や筋力低下(圧迫側の足が細くなる)などがみれらるでしょう。

慢性期に入っている痛みや、軽い椎間板ヘルニアと診断を受けた人は、ヘルニアというよりも慢性腰痛としての認識で腰や股関節周囲筋の筋硬化改善を行うことが大切です。

手術や保存療法で経過した人の中には、腰痛と下肢の痛みや痺れが強く残っている人もいます。腰痛に合わせて下肢に「動くと太ももの裏が突っ張る」「ふくらはぎがつりやすい」という症状が見られる人です。これは、神経圧迫による下肢のハムストリングス(太ももの裏の筋肉)・下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)に筋スパズムと筋萎縮が激しい人に多くみられます。

痛みや痺れのある側のお尻や下肢が細くなっている人は、体を捻るような動作や反る動作で痛みや痺れが増強されやすく、大腿部の後面(ハムストリングス)が「突っ張ったり」、ふくらはぎが「つり」やすいと思います。長距離歩行や階段などで症状が出やすいですよね、これは大腿後面にある筋肉がヘルニアの影響により筋萎縮・筋短縮を起こしており、歩行などにより下肢にかかってくる負荷に耐えられない状態となっています。

特に大腿後面の筋肉が伸ばされる刺激に対して弱く、スパズムも亢進している状態ですから敏感に反射が起こり縮もうとします。すると大腿部の裏やふくらはぎが「ピリッ」とするような瞬間的な痛みを感じるのです。

体を捻る動作や連続歩行などで症状の悪化がみられ、立っている時に後ろを向くような動作や畳の上に座っている状態から立ち上がる時などは、ハムストリングスが伸ばされる状態となります。筋肉への伸張刺激が「ピリッ」とするように感じる痛みの原因となっているのです。

このハムストリングスをマッサージすると一時的に痛みが和らぎ気持ちいいのですが、神経症状の激しい人は特に筋肉の弛緩だけでは何の解決にもなりません。このハムストリングスに対して適切な伸張刺激を入れていき、伸張刺激に耐えれる状態へとトレーニングをしていく必要があります。神経症状の激しいハムストリングスの伸張性を改善するということは非常に困難ですが、伸張刺激に対する耐久性は改善の可能性があり、日常生活の安定的な痛み軽減のために努力する価値はあります。方法や負荷量を間違えると筋スパズムを増加させますので、自己流は禁忌です。

残念ですが、腰周囲筋のスパズムもなく神経圧迫側の下肢が明らかに細くなっている人は、腰周囲筋の影響も無く仙骨部位かもっと上位の中枢に問題が考えられます。このような身体状態による痛み・痺れは純粋な神経症状によるものと考えられます。圧迫・末梢神経変性・脳・心理的など様々な問題が考えられますので、まずは医療機関をご利用ください。

【症例】についてはこちらのページをご覧下さい。

【慢性痛対策】

急性期の激しい腰痛を経験して現在は慢性痛となった人、慢性痛の状態が継続している人がほとんどです。神経圧迫の影響はその神経が伸びて繋がる皮膚・靭帯・骨・筋肉などの変性を起こします。腰椎椎間板ヘルニアでは第4〜5神経根の圧迫が多いために、圧迫されている側の下肢に痺れや痛みを感じます。また、神経圧迫の持続は皮膚・靭帯・骨なども徐々に弱くしますし、筋肉では筋萎縮・筋短縮と進み関節拘縮が現れてきます。

慢性腰痛状態であり腰部周囲筋の筋硬化があるが、下肢への痛みや痺れが少ない人は痛み軽減の可能性が大きく出やすいと思います。初期段階では腰・股関節・大腿後面の筋肉を中心に筋硬化の改善を進めます。これにより腰周囲筋の柔軟性の向上により痛み軽減を待ちます。

腰・股関節周囲筋の変化により歩行動作の変化がでますので、歩行による腰への負担部位が今までとは変化し、運動時痛(疲労痛)が若干違う部位に出ることがあります。この歩行などによる疲労性の痛みを軽減させながら、腰・股関節周囲筋の強化と合わせて徐々に大腿後面の筋肉の柔軟性と強化へとトレーニングの中心を移して継続していくことが重要です。

これに対して神経圧迫による下肢の痛み・痺れと筋萎縮・筋短縮が明らかな人は、大きな痛み改善を目指すのは難しいというのは正直な答えです。

体を捻る動作や連続歩行などで症状の悪化がみられ、立っている時に後ろを向くような動作や畳の上に座っている状態から立ち上がる時などは、大腿後面の筋肉が伸ばされる状態となります。筋肉への伸張刺激が痛みの原因となっています。

このため、大腿後面の筋肉を強化したいのですが、伸張反射が亢進している状態ですから負荷量の調整が非常に重要になってきます。まずは、筋硬化を軽減させながら負荷を利用しないストレッチや動作を利用した運動を中心に進めていきます。日常生活動作の中で徐々に「歩くのが少し楽に感じる」「夜感じていた痛みが少し和らいだ」変化が出てくると思います。この時点より運動量を調整し持久力の向上を中心に行います。さらなる症状緩和に合わせて筋力増強(筋肥大)を目的とした運動へ進むことが大切です。

下肢に筋萎縮などの神経圧迫による症状がでている人もでていない人も、神経圧迫は完全に治ることはなく、現在痛みを感じていない状態でも腰・下肢への変化に注意を払い良い状態を維持することが大切です。リハビリの現場でも患者様より「いつになったら治るのか?」「いつまで続ければいいのか?」という質問を時々受けますが、ヘルニアでなくてもそうなのですが、皆さんの健康作りは自身が主役であり健康維持に終わりはないと思いますよ。皆さんの考え方一つですね。

私は痛みに対して一番大切な治療として、皆さんの努力により「痛みをコントロールする」という考え方が重要だと思いますし、特に腰椎椎間板ヘルニアの方には健康維持の重要性を認識していただければと思います。


痛み緩和教室
疼元庠舎(とうげんしょうしゃ)

▲pagetop

このサイトに掲載のイラスト・写真・文章の無断転載を禁じます。
すべての著作権は疼元庠舎に帰属します。