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変形性股関節症

変形性股関節症

変形性股関節症

  1. 変股症のイメージ作り
  2. 変股症の痛みについて
  3. 変股症の症状について
  4. 変股症のリハビリについて@
  5. 変股症のリハビリについてA
  6. まとめ

変股症のイメージ作り

変形性股関節症

変形性股関節症の診断を受けた患者様は、変形性股関節症の対策としていろんな取り組みをされていると思います。皆さんはどの段階でしょうか?

@ 変形性股関節症の手術の必要性は低く保存療法での経過をみている
A 変形性股関節症の手術を勧められているが保存療法で経過をみている
B 変形性股関節症の手術を行った後
大きく分けると3つのグループに分かれると思います。

@ については「臼蓋形成不全の痛み」を参考にしてください。

さっそくAとBを例にしながら変形性股関節症の問題点やリハビリについて基礎レベルのイメージを作っていきましょう。

A 変形性股関節症の手術を勧められているが保存療法で経過を見ている

変形性股関節症の診断を受けた人は病院でリハビリを行っている、民間療法を利用している、スポーツジムなどで運動をしている、その他にも様々な取り組みをされていると思います。Aの段階では手術をしないで股関節の痛みやこわばりを軽減したいというのが目標になっていると思いますが、股関節の痛みやこわばりを軽減していくために必要な取り組みとしての方法論は多数あるのでしょう。しかし、多くの人が方法論の選択を間違っていることも多い様ですね。

皆さんは身体症状と合わせて多くの情報を冷静に判断していかないと?
変形性股関節症による股関節の痛みやこわばりを軽減できる可能性の幅を自ら狭めている結果につながっていることもあります。もしかすると!間違った取り組みを続けているのかもしれませんね?

Aに当てはまる人でも大きく分けると、変形性股関節症で変形が軽度から中等度、中等度から重度の状態、これら2つに分けて考えると理解しやすいです。身体症状などを合わせて対策を考えてみましょう。

A変形性股関節症の軽度から中等度(歩行がある程度可能なレベル)

歩く時に股関節に痛みがあり、痛みは鈍痛であり歩く距離が長いとこわばりも多少感じる。股関節を曲げたり伸ばしたりすると関節可動域(関節を動かせる範囲)の低下も軽度(初期の人の可動域制限は少ない)みられる。
初期の段階では床にしゃがみ込むと股関節の痛みよりも股関節前面(鼠頸部あたり)につまる感じがするという訴えの人も多いですね。
日により股関節の痛みやこわばりは多少変化することがあり、仕事で忙しい時期や用事があり遠方へ行くなど普段と比べると運動量が多い日があると翌日に疲労性による股関節の痛みやこわばりが増強する事が多い。
変形性股関節症の軽度では股関節を中心に痛みを感じない人も意外に多く、股関節の症状よりも腰痛を主に感じている、お尻からふともも辺りが全体的に重だるいなどと訴える人も多いと思います。
歩行中に股関節痛がある人は意識的に歩行を減らし自転車を使われている人も多く、日常生活で自転車を多く使うことで1日の歩行量は結果的に大きく減っている期間が続いているため股関節周囲筋は軽い運度不足状態で筋力低下が進んでいる。

まずは股関節の構造を考えてみましょう!
股関節には凹凸の関節面があります。骨の変形により凹凸面がしだいに破壊され変形されていくのが変形性股関節症の症状です。
一般の多くの方が凹凸面の骨が壊れることで骨が痛みを出しているとイメージされていますが、正確には凹凸面の骨が変形しても骨自体は痛みを出していません。凹凸の関節面には痛みを伝える神経が無いからですね。

立位では重力の影響を受けた状態で上半身の体重が股関節に加わります。これに対して凸部の大腿骨骨頭と凹面の骨盤には関節面があり隙間があります。この関節面の構造が崩れてくることで荷重点の変化(正常とは違う部位に荷重が加わる)や関節可動域の制限により、凹凸の関節面の周囲にある靭帯・筋肉・関節包・腱(軟部組織)にストレスが加わりやすくなります。
荷重点の変化により今まで加わっていなかった場所にある軟部組織に対して荷重によるストレスが加わり一部に炎症が生じやすくなります。痛みによる歩行量などの低下、関節面の破壊(変形)による関節可動域の低下により靭帯・筋肉・関節包・腱が伸ばされる機会が少ない期間が続くと、靭帯・筋肉・関節包・腱はしだいに伸びにくい硬い状態に変化していきます。硬くなってきた靭帯・筋肉・関節包・腱を動かすと、以前には可能であった動きと同じ動作であっても伸ばされる刺激についていけないため痛みが出やすくなります。

単純に「股関節変形の痛み(感じている痛み)=骨の痛み(骨のみの原因)」では無いということが理解できると思います。
ただし、関節の変形を完全に無視していいということではないのでお間違いなく!

先天性股関節症で股関節の凹凸の破壊が重度で、股関節の可動域も狭く椅子に座るのも大変で歩く場合もペンギンが歩く感じでちょこちょこと歩くのがやっとという状態の方も担当したことがあります。先天性股関節症のある方で高齢者の患者様などでは昔は手術なども出来なかったので、可動域が極端に狭く上記の様な歩行がやっと行えるという人は稀にですがみられます。極端にひどい股関節の変形と関節可動域制限があっても歩行時に痛みがない?不思議な感じもしますが、骨の破壊・変形の大きさと痛みの強さが単純に比例していない例でもあります。変形性股関節症で関節変形の大きさのみで痛みが強いか弱いかを区別してしまうと矛盾も生じてしまうのですね。
単純に変形の大きさのみで感じる痛みの強弱が決定されないというのが現実です。

変形が強ければ強いほど痛みもどんどん強く増すイメージですが、変形の強弱に関係なく痛みの感じ方が違うということは、何が違うのでしょう?

股関節の痛みを考える場合は炎症を考える必要があります。

関節面の破壊が小さくても大きくても、股関節に炎症が起きているか?炎症が持続しているか?で痛みがある、痛みが持続するという違いになるのですね。

変形性股関節症の痛みには股関節周囲の靭帯・筋肉・関節包・腱(軟部組織)などに炎症が起きているか?炎症が持続しているか?というのが、痛みがあるか無いか・痛みが続くかのポイントです。骨盤が歪んでいようが、股関節に変形があろうが、股関節周囲の筋肉が硬くこわばっていようが、基本的に炎症が全く無いなら痛みは基本的に生じない。
逆に股関節の変形が少ない、股関節周囲筋のこわばりが少ない場合でも炎症があれば痛みが生じる(変形が小さくとも感じる痛みが強いこともある)という事実をご理解いただけるのではないかと思います。

変形性股関節症の人で股関節痛があれば、病院で非ステロイド性抗炎症剤(痛み止めの薬)を処方されている人は多いと思います。
これは、股関節周囲の靭帯・筋肉・関節包・腱(軟部組織)で生じる炎症を対象にしており、炎症が生じると細胞(損傷した組織や血管から)から発痛物質が出るのですが、炎症物質は体の壊れた組織を治す働きをする物質でもあります。炎症物質は痛みを伝える神経に作用して痛みを生じさせる物質でもあり2つの仕事をしています。

変形性股関節症の人で痛みのある人は股関節周囲の靭帯・筋肉・関節包・腱などのどこかに炎症が生じています。炎症物質の代謝過程でも炎症物質の一種類のみで痛みがあるのではないので、急性痛においては純粋な組織損傷に伴う痛みというのは、痛み止めの薬を飲んでも痛みを完全に0(ゼロ)には出来ません。
痛みを一時的に抑制できますが痛みの一部が軽減されるという反応が精一杯です。

痛み止めを飲んで股関節の痛みを完全に0にすることは不可能なのです。痛みを和らげるという効果が当たり前なのですね。
皆さんは痛み止めの薬を飲んで痛みが完全に消えないといって・・・・愚痴をこぼしていませんか?

安静時の股関節痛は痛み止めの薬を飲み炎症部位の一部の働きを抑制することで痛みを軽減出来やすいのですが、動作を行う場合に股関節は上半身の体重を下肢に伝達する部位でもあります。立位や歩行では股関節に上半身からの荷重も加わりながら股関節を動かす運動が求められるため、立位や歩行で繰り返し股関節への荷重による負担、連続して股関節周囲の筋肉を働かせることによる疲労も加わるので、安静時痛に比べると炎症部位への負担が加わるので痛み止めの薬では動作時痛は抑制し難いのが理解できます。

股関節の痛みに対して痛みを抑制するために何が必要な対処法かを考えることは大切です。皆さんが股関節周囲の痛みが気になり病院受診をされたすぐの頃、または一時的な痛み増強後に一旦痛みが落ち着いて運動などを導入し始めた頃などの一時的な筋肉痛を伴う痛み増強は?これらは急性痛の要素を一部含んでおり、痛み止めの薬を飲むことで痛み抑制に効果が出ていたと思います。
しかし、股関節の痛みが慢性化し痛み止めの薬があまり効果を示さない段階の人では、薬の服用に頼っても期待する痛み軽減が図れないでしょうし、痛み止めの薬を飲みつづけても結果としては炎症を起こしている組織を修復しているのでは無いので炎症も収まらない様です。

股関節の変形により凹凸面の変化が生じます。関節面の変形により荷重点の変化が生じ、一部の局所(靭帯・筋肉・関節包・腱など)への負担が増加。

関節変形による負担増加に伴う部位の影響で靭帯・筋肉・関節包・腱(軟部組織)などは炎症を持続させやすくなり、炎症による痛みで動かさない軟部組織はさらに硬く(股関節周囲筋のこわばりが増す)なる反応が増加。

痛みもあり股関節を大きく曲げ伸ばしする動作の減少、股関節を継続して曲げ伸ばしする歩行などで股関節を使わない期間(1日の歩く量が低下)が長引く、歩行などを抑制し安静に過ごすことで痛みが一旦表面的には和らぐが何かの用事などで歩行量が多い日などは痛みが出やすくなる。

痛みが出るのが不安で怖いからさらに安静傾向を取るようになり股関節周囲筋は持久力も低下してくる。普段からちょっとした距離を歩くだけで痛みやこわばりが歩行中に出やすくなり翌日にも残りやすくなる。動かさないから軟部組織も硬くなり歩行(股関節を連続で動かす)などで軟部組織が伸張されると、弱い軟部組織は微細な損傷を再発し痛みが増強されやすくなる。

上記の様な経過により痛いから安静にし過ぎるという悪循環を繰り返している人は多いのではないでしょうか?

今まで説明してきた文章では、痛みを出している原因は股関節周囲の靭帯・筋肉・関節包・腱(軟部組織)にある炎症であり、その炎症部位の周囲にある神経が痛みを伝えているという内容でした。ここまでの話の内容としては一般的に股関節の関節面が変形し骨が壊れているので骨(関節面には痛みを伝える神経は無いです)が痛みを脳へ伝えているという誤解があるということを説明している内容です。痛みを感じている直接的な部位が関節面の骨では無いというお話しでした。

変形性股関節症の痛みの強弱は単純に関節面の変形の大きに比例し痛みが増強するのでは無いのですね。特にレントゲンで変形がわかりやすい状態の人よりも臼蓋形成不全や初期の変股症では変形の大きさは小さいのですが、日常生活では強い痛みを訴える人も意外に多く見られます。

股関節変形の大きさだけで痛みが決まるのではなく、変形と合わせて炎症というものが存在しているから痛みを出す。逆に炎症が一時的に治まると股関節変形があっても痛みは軽減できる可能性があるという予測が立ちます。

急性の炎症が強い時期はもちろん安静が大切であり、歩行や立ち上がり動作を行うと股関節に鋭い強い痛みを感じる時期が安静の対象です。歩く、立つなど股関節への負担の加わる動作(上半身の体重が股関節に加わる)では急性炎症が強いと股関節が痛くてたまらないのですね。
変形性股関節症の変形が軽い時期の人では、股関節の痛みが気になり初めて病院を受診した時が炎症の強い時期だと思います。単純に股関節の変形が急激に進んで痛みが出たとは考えられにくく、痛みの出る前と何が違うかと考えると股関節深部の炎症が生じて痛みが出たというふうに考えるのが自然です。

股関節の炎症の具合がどうか?というのがポイントですね。

関節の変形が軽度もしくは中等度の人などの状態を考えると、日常生活において痛みは普段から感じていると思いますが普段と違う動きを多く行った、旅行へ行ったなどの行動の変化に伴う運動量の増加が痛みの日による増減に影響します。股関節周囲にこわばりや痛みの増加が強く出て翌日などは足を少し引きずる歩き方になってしまう場合などがあるのですが、これは炎症が一時的に増加している状態ですね。しかし、この一時的な炎症増加は本当の急性痛(杖なしでの歩行困難な時期)の強く鋭い痛み、荷重痛の強い時期に比べると軽いレベルでもあります。

この様に一時的に炎症の強い時期は股関節痛やお尻から大腿にかけて(下肢全体に)のこわばりが持続しやすいと思います。
自主的に取り組まれる運動においては、このこわばりは運動量や運動内容の選択を行うための一つの目安となる指標で、運動による軽度の痛み増加やこわばりは多少出ても構いませんが、その痛みやこわばりが数日間持続して強く残る場合(普段と比べて歩き方が変化する)は運動量が多すぎたという結果であり、運動を減らす必要があります。

しかし、この運動を減らすというのは?
痛みが生じる度に関節の破壊が進むから運動を抑制するのではなく、安静にすることで痛みの原因である炎症を落ち着かせるための対処法ですね。

変形性股関節症で関節の変形が軽度〜中等度の人の痛みへの対処について炎症を中心にお話しを進めています。
炎症が起きているならベッドに横になり寝たきりで過ごし安静を長く続けて痛みを抑えるのが得策では?と考えるのはある意味では正しいでのすが、間違いでもあります。

まず、変形性股関節症で痛みを軽減したいと思わない人はいないと思います。
病院でレントゲン・CT・MRIなどの検査を受けると思いますが、変形の進行具合は継続的な画像検査(定期的に画像を撮り比較する)による年単位での比較によるDrの判断が必要です。
関節変形の進みが早く、炎症も強い人では痛みも鋭く強いでしょうし、歩行も困難な状態が早く進行します。変股症の末期などで感じる急性痛は痛みが強くて歩行中に足(関節変形のある下肢)へ体重を乗せられなくなってきます。Drより安静が絶対条件として出された人は安静を取るべきだと思います。
本当の股関節の末期に近い急性痛は安静を取るしかないのが事実で、これはリハビリや民間療法で100%どうにかなるレベルでは絶対ありません。

股関節の変形は軽度〜中等度程度にあり可動域制限も出てきているという人では、股関節の痛みはあるが鈍痛であり歩行もある程度はしっかり維持できている人が多いと思います。
歩行を継続していると股関節への荷重が加わるのですが、歩行を連続していると?痛みがどんどん鋭く強い急性痛の痛みに変わってくるという人は少ないです。どちらかと言うと鈍痛が徐々に強く感じてきて足全体のこわばりがまして、足がだるくて歩くのがきついという感じの人が多い様です。

股関節の痛みと言っても?急性痛と慢性痛では痛みの質が違うのですね!

股関節の痛みが鈍痛の人は?安静を無闇に取り過ぎると股関節周囲筋の持久力は月単位で徐々に低下してきますし、一時的に痛みが表面的には落ち着いても動く量が多い日などはこわばりや痛みが以前よりも増しやすい結果に繋がっていきます。安静により悪循環のサイクルに入り込んでしまうのです。

変形性股関節症で関節変形が軽度〜中等度の人で慢性痛が目立つタイプの痛みなら?安静にし過ぎる必要は無いということです。保存療法としては可能な範囲の安全な運動を継続することがリハビリとして最も大切なのですね。

悪循環に入っている人のもう一つの共通点は?

痛みを感じることは全て悪いこと!
痛いと感じながら歩くのは股関節の変形をどんどん進めてしまう!
なるべく歩かないようにして安静に過ごすことで股関節への負担を減らし股関節の変形の進行を遅らせられ、手術を出来るだけ先に延ばすことが出来る!

これは?根拠の無い自分なりの思い込みによるイメージです。

股関節の変形進行を抑制したいという気持ちはわかります。しかし、生活を行う以上は立ったり歩いたりという動作は毎日行いますし、座っていても股関節への負担は加わっています。生活をしているのですから股関節への負担はもちろん常時加わりますが、日常生活で立つ・歩く・座る・しゃがみ込むなどの動作を意図的にある程度少なくしたから股関節変形の進行を遅らせられるか?

まず有り得ないと思います。
日常生活の動作制限で関節変形の進行が遅れるという内容について信用性の高い医学的根拠に基づくデータはありません。

寝たきりの生活でもしない限りこの関節面への負担を抑制することはまず不可能であり、明らかに関節変形の進行速度が速い人など(1年単位で明らかに変形が進んでいく)は日常生活で股関節への荷重を少々減らすくらいでは関節変形を止めることなど不可能です。
プロのスポーツ選手が激しいトレーニングをしていて、引退しトレーニングを止めるなどの大きな変化なら股関節の変形進行の予防に少しは影響してくると予測されますが・・・

しかし、皆さんの日常生活レベルの運動量程度では関節への負担が過剰でもなく、寝たきりで過ごすくらいの対応をしないと、本当の意味での股関節の負担を減らすことは出来ないでしょう。日常生活において歩く量を少々減らしたからと言って関節の変形進行にはほぼ影響しないと考える方が正しいと思います。

年単位での変形進行が早い人(数年で悪化)では変形進行を生活内の活動抑制程度では止められないので手術での対応でないと変形進行を止める対策は無いと思います。逆に変形進行が遅い(10〜30年くらいの期間での進行)のであれば、期間が長いので日常で行なうどの程度の動きが本当に変形を進行させる要因となっているのかわかりません。生活している以上は起きている時は常に座ったり立ったりしているのですから、股関節へ負担は常にかかっているのでこの姿勢や動きが股関節の変形(関節面が削れたり、変形を増す(骨棘形成など)など)を起こしているとは誰も断言できる人はいないと思いますよ。

股関節の痛みで病院を初めて受診すると、Drより安静を進められることは多いと思います。
どうして安静を勧められるのでしょう?その理由は?
ここまで読まれた人はDrが安静を勧める理由の察しがつくと思います。

(安静を勧める主な理由2つ)

  1. 変形性股関節症の診断が画像的につくため股関節の炎症が考えられる。慢性的な小さな炎症が元々維持されていたが、今回は何かの切っ掛け(普段と違いいっぱい歩いた、スポーツをしたなど)で一時的な急性炎症の増加の症状(炎症の影響が小さい鈍痛が主)であり安静を取ることで炎症が軽減し痛みの軽減に繋がるか様子をみたい。
  2. 画像診断で変形の進行が予想される状態が見られる(股関節あたりの角度や幅などで判断する基準がDrの専門としてあります)股関節の変形速度が速い可能性があるか確認したい、急性痛の症状も強く進行性の疑いも強いため関節面の保護のため早急に負担を減らし様子をみたい。

上記2つの理由で安静の指示が出るのですね。
初診で安静を勧められる場合では、圧倒的に多いのはAの急速な変形進行の可能性が少ない慢性痛が基礎にある一時的な急性炎症の増加を対象とした炎症抑制を目的としています。
Bの関節変形が急速に進む危険性から早急に安静にしなさいという理由の方が圧倒的に少ないと思います。特に40歳以下の若い人ではBの理由は少ないです。

しかし、初診で変形性股関節症の診断名がつき、股関節の変形していくことの説明や手術の説明などを聞かされるのですから、その時の不安や恐怖はとても大きなものだと思います。ここで多くの人が日常生活において可能な範囲で注意して安静(歩く・しゃがみ込むなどを制限)にしなくてはいけない!と思い込んでしまいます。

整形外科の診察を受けるとわかると思いますが、診察・診断についての説明などを合わせても、そう長い時間は取ってくれません。
Drが悪いのではなく、保険点数の関係する診療システム的(ゆっくり時間を使い診察すると収益が出ない)に一人一人に長い時間を割けないシステムなのですね。
Drより「なるべく歩く量を減らしてください」「今行っているスポーツを止めてください」
「しゃがみ込んだり、あぐらをかくなど股関節を大きく曲げる動作を控えてください」など安静を勧められることがあると思いますが、安静指示に合わせてリハビリを継続し痛みの変化の様子を見るという整形外科が多いと思います。

ある程度の安静指示とリハビリ開始となるので、本来は患者が短い診断で得ている情報に対して説明をし知識を整理するサポートを理学療法士が行っていく必要があります。
残念なことに理学療法士がいない小さな整形外科も多いですし、理学療法士がいても生理学に基づく痛みについての勉強(医学的根拠に基づく痛み学の知識)をしておらず正しい説明やサポートが出来ない者が多いのも事実です。

Drや理学療法士からの説明不足があると、変形性股関節症の患者さんは安静を取るという理由を正しく理解されておらず、無駄な安静を取り過ぎている結果に繋がっている人が多いのですね。

悪循環に入る理由を以下の様に前文でも書きましたが、患者自身の知識がないと冷静な視点が持てないし正しい行動も行えません。以下の根拠を間違って持ってしまう原因へ繋がるのでしょうね。

痛みを感じることは全て悪いこと!
痛いと感じながら歩くのは股関節の変形をどんどん進めてしまう!
なるべく歩かないようにして安静に過ごすことで股関節への負担を減らし股関節の変形の進行を遅らせられ、手術を出来るだけ先に延ばすことが出来る!

今までの長文による説明で皆さんの誤解が少しでも解けたなら幸いです。

間違った知識による間違った不安や恐怖は必要ありません。間違った知識により過剰に増
強された不安や恐怖による日常生活の無駄な動作抑制は解除するべきなのですね。

変股症の痛みについて

股関節に感じるいろんな痛みについて考えていきましょう!

変形性股関節症は関節面の変形と関節の狭小化(隙間が狭くなる)により、股関節周囲の筋・靭帯・関節包・腱(軟部組織)などに炎症が持続しやすいという事実があります。
炎症が持続すると股関節周囲の筋には縮めという命令が反射による刺激として持続します。
股関節の関節包・靭帯・筋肉・腱のどこで炎症が生じているかを局所的に細かく断定は出来ませんが、皆さんが痛みを感じている部位の近くの筋肉はこわばって来るのがイメージされると思います。

股関節周囲の筋肉がこわばってくると?長期化すればするほど筋肉は縮んだ距離で維持されるようになってきます。炎症の近くの筋肉が常に縮んでいる状態では毛細血管などの小さな血管は圧迫を受け血流が通常より阻害されます。血流が悪いということは血液の動きが少なく細胞への酸素運搬が鈍くなっている状態となります。
血液循環が悪く呼吸(酸素運搬)の出来難い環境となった股関節周囲の筋肉は?股関節の連続した動きにより容易に股関節周囲の筋肉に疲労・こわばり・鈍痛などを感じさせるでしょうね。

皆さんは呼吸を鼻と口で行われていると思いますが、口を閉じ鼻のみで呼吸は出来ると思います。例えば口を手でふさぎ鼻のみで呼吸し軽い運動を実施してみてください。当然呼吸は行い難く苦しい感じが少し出てくると思います。さらに運動量を上げると?きっとかなり息苦しくなると思います。
もし片方の鼻の穴だけで呼吸をしないといけないなら?運動しなくても呼吸が苦しいのが慢性的に生じるはずです。

安静時の鈍痛を同じ様に考えていただくとイメージしやすいと思います。
股関節は炎症が持続しており筋肉は常に縮んでいる状態(片方の鼻の穴をふさいでいる状態)が続きます。普段からこわばる感じがあり(片方の鼻の穴をふさいでいるため少し息苦しい感じがある)、少し運動量が多いと痛みが増し(呼吸しにくい状態からの運動は簡単に息苦しさを増す)たり翌日に痛みが残りやすいのですね。
何もしていないのになぜか慢性的にこわばりやすいし、痛いという理由の一つがこれです。

安静時痛の状況をもう少し詳しく考えて見ましょう。
横になりゴロゴロしていても変形性股関節症の側を下にして寝ていると?股関節の痛みが増すという人も多いと思います。変形のある関節面を下にして横に寝ると股関節に対し床面からの圧力も加わり関節内圧も変化するためと考えられます。
関節内圧が変わると、関節内部からの圧力は股関節近くの関節包・靭帯・筋肉・腱(炎症が持続している部位へ)へ圧力が加わり痛みを伝える神経を働かせてしまうと思います。

この痛みは股関節の破壊が進んでいるという合図の痛みではなく、股関節周囲の軟部組織にある炎症に反応している神経に対して、圧力変化を引きがねとしてさらに痛み神経を働かせてしまため生じる痛みと考えられます。
ベッドなどに横になることで股関節への圧力により炎症組織の血流の変化などによる痛み神経の反応の仕方が変わるのですから関節を壊していく痛みではありません。この痛みは過剰に恐れる必要はないということが理解できるのではないでしょうか。でも安静時痛は不快ですけどね。

変形性股関節は関節の変形があり炎症が持続しやすい環境が持続します。炎症の持続は股関節周囲の筋肉を縮ませる状態を持続させます。診断を受けてから数年かけて徐々にこわばりや痛みが増して来るのは当たり前ということが理解できると思います。

皆さんに聞きます。
変形性股関節症の診断を受けて、リハビリを実施し痛みが一時的に軽減したからと言って、リハビリを止めてしまっていませんか?

そ・れ・は? 大きな間違いを犯しています!!!

変形性股関節症の人は一生に渡り股関節の動きを柔軟性のある良い状態に保つため、エクササイズを継続していく必要があります。
あなたの股関節周囲の筋肉には炎症を生じやすい環境が一生続いています。股関節周囲の筋肉を中心に(股関節の軟部組織)は健康な人よりも容易に硬くなりこわばりやすい状態なのですから!

横になってテレビを見ている時や座っている時などの安静時に感じる鈍痛やこわばりは、股関節周囲の筋肉のこわばりが影響していることが多いです。安定的に股関節周囲の筋肉がほぐれた状態が長く持続すると、こわばりや鈍痛があまり感じられない日が増加する可能性があるということもイメージ出来るのでは無いでしょうか?

股関節周囲の筋肉をほぐすことが、股関節痛の軽減に向けて一つの対策となりそうですね。

では、歩行や立ち上がりなどの動作時に感じる痛み原因は何でしょう?
歩行で下肢を振り出す側のお尻に感じる痛みやしゃがみ込む時のお尻に感じる痛みなど、股関節後面(お尻からお尻の横あたり)に感じることの多い伸張痛について考えましょう。

筋肉が伸ばされて痛みの出る伸張痛を説明していきます。
股関節周囲の筋肉が硬くこわばっていることは立ち上がり・歩行・しゃがみ込みなどの動作において筋肉は伸ばされる刺激に耐えられずに痛みを出している原因となっています。
炎症の持続は筋肉を常に縮ませる状態(筋肉の緊張が増している)を作り、筋肉が縮んでいる状態というのは筋肉の長さが短い位置で維持されているという話をしました。

筋肉が健康な時の状態に比較すると短い長さで維持されている股関節の筋肉ですから、股関節を大きく動かすと筋肉が伸ばされて痛みが出るのですね。
筋肉が伸ばされる時に出る痛みは伸張痛であり、特長としては「ピリッ」「ビリッ」とするような瞬間的に鋭い痛み(人によりチクッなど表現は違います)を感じやすいと思います。
安静時の鈍痛と違いがありますね。

股関節の痛みが軽く関節変形が初期の段階の人などでは、あぐらをかく時やしゃがみ込む様な場合などに伸張痛を感じる様になり受診したという人も多いのではないでしょうか。

股関節周囲の筋肉を伸ばす動作に弱くなるため、股関節を大きく曲げ伸ばしする動作が痛みを伴いやすく苦手になってきます。痛みがあるため股関節を大きく動かす機会も減り関節可動域も年単位で徐々に狭まっていきます(年単位でじわじわ進みます)。
伸張痛の持続もあり股関節の可動域も狭まり、股関節周囲の筋肉は日常で伸ばされる機会が減るために、ますます筋肉は短い位置で保たれる様になり伸ばされる刺激に対しては弱くなる一方なのですね。

股関節を大きく動かす(股関節屈曲)とお尻や股関節の後面に感じる様な瞬間的に鋭い痛みの原因は?筋肉が伸ばされることにより起きる伸張痛であることが多いと思います。もちろん、筋肉のみでなく深部の靭帯なども硬さがまして伸張痛に関わってきている場合もあります。

次に収縮痛を説明します。
収縮痛は筋肉が短く縮む時に出る痛みです。

変形性股関節症の人ではしゃがみ込み、椅子に座る、階段を昇る場合など、股関節を屈曲させる時に股関節の前面(鼠頸部あたり)に鈍い痛みを感じる人がいると思います。
股関節を屈曲した時に股関節の前面に感じる鈍痛(鋭く刺すような痛みと鈍い重い感じの混ざった中間の痛みと感じる人も多いです)が収縮痛です。こわばる様な感じが増す、股関節の前面につまる感じがするなどと表現される人も多いです。

変形性股関節症では筋肉に炎症が持続していることから、痛みを感じていなかった時期と比べると?股関節周囲の筋肉の緊張が常に高い状態に保たれています。
筋肉は常に若干ですが縮んでいる傾向にあり伸ばされる刺激にも弱いというお話をしました。これが伸張痛でしたよね?

収縮痛は伸張痛の逆で筋肉に力を入れて縮ませると発生する痛みです。

股関節周囲の筋肉に炎症が生じており筋肉は縮む反応を常に弱い力ですが維持しています。
筋肉に力が入り縮んでいるということは?持続的に縮んでいる筋肉により毛細血管などが圧迫を受けて血液循環が低下している状態が続いているということです。
毛細血管が圧迫を受けると炎症物質の循環も悪くなりますし、筋肉への酸素運搬や炎症物質の停滞、乳酸などのエネルギー代謝産物を流したり再利用する代謝も低下している状態です。

筋肉は圧迫を加えても基本的には痛みはなかなか感じないように出来ています。例えば、皆さんが普通に立っている状態で足の裏に鋭い痛みがありますか?足に問題の無い人ではまず立っても足の裏に痛みは無いと思います。足の裏や足首の関節には股関節と同じように体重などの圧力による負担は加わっています。

公園や銭湯みたいな施設などで、様々な大きさの石を敷き詰めた路面を作って歩く道みたいなものがありますよね?
その上を歩くと?ある人はどうもないから平気で歩ける、ある人は歩くと足の裏が痛くてあるけないのですぐにコースアウトしてしまいます。痛みの出る人や痛みの出ない人に分かれると思います。

これは足裏の筋肉のこわばりが原因しているのですね。普段より足裏の筋肉がこわばり縮んでいるので足裏の筋肉は毛細血管を圧迫し小さな影響ですが持続的に血液循環を悪くしています。足裏の筋肉は血管からの酸素運搬や代謝産物の交換などが低下している状態です。この状態で石の上を歩くと酸素不足の筋肉に対し圧迫による圧力に耐える仕事をさせるのですから、足の裏に局所的に痛みが生じるのです。

筋肉はスパズム(持続的に縮んでいる状態:攣縮)が持続し酸素不足の状態にあると?スパズムが無い状態で圧迫されても痛みの出ない強さの圧迫でも、スパズムがあると弱い圧迫でも痛みが出やすくなるということです。

石の上を歩いて痛みが出る人は、もちろん足つぼマッサージなどでも痛みが出やすいですし、痛みまでは無くとも足裏を押されて気持ちいいと感じる人は?痛みの出る前の段階に来ているということですね。くすぐったい、別にどうも感じないというのが正常です。
単純に考えると足の裏の筋肉がこわばっているか?こわばっていないか?の違いであり、足の裏を押されて痛みがあれば腎臓が悪いとか、肝臓が悪いなど?東洋医学的なツボという発想が全く意味の無い考え方なのがわかりますね。

股関節前面の収縮痛に話を戻しましょう。
変形性股関節症にみられる股関節の収縮痛(伸張痛も同じですよ)など、筋肉の痛みを考える場合は痛み原因として以下のことを基本に考えましょう。

@股関節周囲の靭帯・筋肉・関節包などの小さな炎症持続による筋緊張亢進(スパズム)
A股関節の痛みによる動作制限により活動量の低下による局所的な廃用症候群(筋力低下・筋肉が硬く柔軟性の無い筋肉に変化していく)
B関節面の変形及び狭小化(骨と骨の間が狭くなる)による構造自体の問題による関節可動域制限

これら3つの原因を基本として皆さんもしっかり記憶してください。

股関節前面の筋肉は@Aの理由で硬くなる傾向にあり、常に筋肉がつっぱっている(スパズム)状態ですから酸素不足状態が慢性的に続いています。しゃがみ込む、階段を昇る時に足を引き上げる、などの動作では、もともと疲労している股関節前面の筋肉に力を入れて股関節を屈曲させていきます。
股関節前面の筋肉は力を入れて縮ませるのですから、さらに筋肉は毛細血管などの小さな血管を圧迫しますので酸素不足を増加させます。股関節前面の筋肉が縮むことで酸素不足の増加が生じ痛みは増します。

股関節前面はスパズムが持続しおり常に股関節前面の筋肉は細胞レベルでは慢性的な酸素不足状態です。仰向けになり、股関節に重力や体重の負担が加わっていない状態で股関節を屈曲する場合には、股関節を屈曲するため股関節前面の筋肉のみで縮む仕事を行わなくてはいけません。このため股関節前面の筋肉が悲鳴を上げる形で痛みを出しているのですね。立位からのしゃがみ込みなどは股関節前面の筋肉以外にも股関節を伸転させる筋肉も共同して働きます。
股関節前面の筋肉が縮む動作を行いますが、この時には股関節へ上半身からの体重や重力も加わっています。股関節前面の筋肉は縮みながら体重に耐えるための働きや関節内圧の変化などに耐える必要があります。当然な結果として仰向けで股関節を屈曲するより股関節の痛みが強く出やすいと思います。

屈曲を連続していると鈍痛が変化して、けっこう強い鋭い急性痛に近い痛みに変化していくのですが、これは股関節の関節面が擦れて骨が削れていくため痛いのではなく、股関節前面の筋肉の酸素不足増加、連続使用による筋疲労やわずかな炎症の増加による一時的な痛み増強の場合が多いです。
収縮痛のイメージとしては、仰向けになり連続で腹筋をしていると腹部が徐々に疲れて痛みになってくると思います。これに似た状況ですね。

股関節屈曲を繰り返すと増強する痛みは股関節前面の筋における炎症増加も可能性としてはありますが、股関節前面の筋に直接の強い炎症が持続している状態は中〜末期の関節変形の人じゃないとあまり見られないので、まず股関節屈曲での痛みを股関節への圧力が増して関節面の骨を削られている?などと間違った無用な考えで怖がりすぎる必要はないと思います。

その誤った痛みの認識で日常生活の動きを抑制し過ぎることは好ましくないですね。生活の中で股関節を屈曲する動作で痛みが生じるものは全て行ってはいけないということは無いことが理解できるでしょうか?

生活内の動作で股関節を屈曲させる動きは多々あります。痛みを過剰に恐れずに必要な動作は遂行し、翌日に痛みやこわばりが強く増さないなら?動作中は痛みを感じていたとしても、強い炎症(2〜3日ほど強い鈍痛の持続)の増加がなければ安全な運動量だと思います。

股関節前面の収縮痛は炎症の影響の強い痛みではなく、炎症部位に関連したスパズム(痛み刺激に対する反応としてのこわばり)の増強による酸素・代謝低下による痛み(変形中期あたりからは筋肉に小さな炎症が持続していることが多いです)と考えられます。股関節の屈曲を少々繰り返しても一時的に動作の繰り返し中は痛みが増すのですが、2〜3日間続く様な鋭く強い筋肉痛が残ることはほぼ無いために、収縮痛では炎症の増加が少ないことがわかります。

荷重による痛みについて考えましょう。

変形性股関節症では股関節に大きく荷重をかけると痛みが出ると思います。股関節の痛みのある側へ重心を乗せていくと股関節に鋭い痛みが生じると思います。股関節の痛みのある足へ最大の重心移動を行う場合は片足立ちですね。股関節変形が進行し明らかに左右差が目立つ段階になっている人などでは、片足立ちは痛みが強くてとても出来ないという人が多いと思います。

重心を片方に移していくと、上半身からの体重を支えるために股関節周囲筋は屈曲・伸展に作用するどの筋肉も全体的に強調して力を入れている状態となります。
変形性股関節症では股関節の深部にある関節包・靭帯・筋肉・腱などに炎症が生じ、炎症が持続しているというお話をしました。
股関節に炎症の無い時期(皆さんが痛みを感じ始める前の時期)は片足立ちをして股関節に大きな荷重をかけても痛みが出なかったのですが、炎症の持続により神経が過敏なために以前はどうもなかった程度の荷重でも痛みが出たり、痛みが強く感じられると思います。

股関節周囲筋の力の入った状態は?筋肉が短くなっている状態です。股関節周囲の屈曲に働く筋肉や伸展に働く筋肉(他にも外転・内転など様々な動きがありますが、理解しやすくするために説明を簡略化しています)股関節周囲の筋全部が同時に縮んでいる状態です。
片足に体を寄せて体重を片足に乗せていき骨盤を側方に移していくと?荷重に耐えるために股関節周囲の筋肉は同時に縮んでいる状態から、ある部分は伸ばされたり、ある部分は体重負荷に耐えながらさらに縮んでいくなど、筋肉が力を入れて縮んだ状態からさらに縮む、伸びるなどの仕事が要求されます。
すると?荷重により当然ですが股関節に強い痛みが生じやすいのがイメージしやすいと思います。

可能性としては伸張痛や収縮痛が混在しているので、荷重における股関節痛は厳密には断定できないのが当然です。

さらに筋以外の要因も考えられ、股関節深部の靭帯・関節包の炎症部位への荷重(安静時の股関節を下にした痛みよりも関節への圧力は大きい)による痛みの増強という場合もあります。

股関節への荷重痛がかなり鋭く強い場合は股関節に一番近い軟部組織(関節唇や関節包内の関節面に一番近い軟部組織など)の炎症の増加、関節面の骨棘の形成(不要な所に骨の盛り上がりが出来る)や関節の空き間が狭くなることなどによる骨が炎症部位へ直接圧迫を行うことで激痛(痛ぁー!思うほどの痛み)が出やすい状態。
股関節深部の炎症が強く作用しているという場合の痛みは激痛で歩行は大幅に制限されますし、股関節への荷重時に筋肉などを中心とした一時的な我慢出来る強い痛みとは別物です。

変形性股関節症での荷重痛は?
混在痛という考えが妥当です。
我慢出来る範囲の痛みであれば小さな炎症による筋肉が影響している痛みの可能性が高く、激痛で痛ぁ〜と鈍い声が出てしまうほどの痛みは関節深部の炎症が疑われる状況です。

変形性股関節症の痛みとしていくつか説明してきました。
さて、復習です。痛みは何がありましたか?

  1. 安静時痛 → ゴロゴロ横になっている時や椅子に座っている時の痛み
  2. 伸張痛 → 股関節屈曲でよく見られる臀部後面の痛み
  3. 収縮痛 → 股関節前面に見られやすい鼠頚部の痛み
  4. 荷重痛(混在痛)
    → 片足立ちで一時的な強い痛みだが我慢できる範囲(筋などの痛み)
    → 片足立ちが出来ない激痛の痛み我慢するのが厳しい(関節深部の強い炎症)

皆さんの普段感じている股関節の痛みはこういう理由で発生していると考えられます。

※一般の人向けの文章であり伝わり易いように工夫しています。あくまで痛みについての説明としては難しい細かい部分を省略して書いていますので、これが全てと思わないでください。

ここまでは、痛みの原因として股関節局所の状態や、動作と痛みの種類について大まかに説明してきました。
次の項目では、もう少し視点を広げて股関節に感じる痛みの原因を記載します。

変股症の症状について

ここから皆さんの身体状況と動作に対して痛みがどう関連するか?考えていきましょう。

股関節の変形状況に共通して見られやすい、普段の症状(平均的な共通してみられる症状)との関係で考え、大まかに3つに分けます。

  1. 臼蓋形成不全や軽度の変形性股関節症の診断が出る。
  2. 変形が軽度から少々進行している状態。一般の人が見ても関節の狭小化や変形がレントゲンで徐々に分かりやすくなってきている状態。
  3. 関節変形が激しくどの病院でも確実に手術を勧められる状態。
Aの症状

股関節の変形がまだ小さな時期です。病院を受診した理由としては、仕事などで長時間立っていると股関節がこわばる、長い距離を歩くと股関節がこわばる、お尻の辺りのこわばりという慢性痛として感じている人が多いようです。
長い時間の立ちっぱなしや長距離の歩行を行うと、お尻(股関節)辺りの筋肉のこわばりが翌日や翌々日まで残りやすくなってくる、さすがに整形外科を受診してみようと思うのですね。

病院を受診してリハビリが終了する段階の人、数年前に診断を受けたけど今は何も治療していない人、意外に股関節の痛みが気になり受診(数年後)したけど今は痛みが無い、もしくは痛みの一番強かったときに比べるとかなり楽だし股関節にこわばりを時々感じる程度という人も多いと思います。

現在通院中の人、一旦痛みが落ち着いて何もしていない人、どちらにしてもお尻の辺りがこわばるという症状を感じている人は多いのですが、この股関節の違和感は慢性痛であり痛みの場所は漠然とした範囲で感じています。お尻の辺りが痛い、こわばるという認識の人が多く、股関節のこの辺りが!という痛い場所をピンポイントで訴える人は少ないです。
痛みが気になり初診の頃はハッキリこの辺りが痛い?という感じでいたけど今は何となくこの辺り全体が・・・という感じですね。

普段の生活内で感じる慢性痛は、年単位で少しずつ股関節のこわばりや痛みを感じる時間帯や日数が増加してきた状態です。年単位で少しずつ悪化してきている人ではお尻の辺りに感じる痛みで受診する人ばかりでなく、股関節には症状はなくて腰痛を主に訴えて受診される人も多く見られます。もちろん股関節を曲げ伸ばしすると一定角度で感じる痛みがハッキリしている人もいますが、まだ一定角度の痛みはさほど強くない状態です。

急激な股関節痛の増加でなく、最初に股関節や腰部に痛みやこわばりが生じ始めてから、数年間かけてじわじわと慢性痛が増加してきている人は、股関節周囲の筋・靭帯・関節包などの炎症要因は少ないことが予想されます。股関節の炎症は小さいのですが、鋭い痛みを感じさせない程度の小さな炎症は持続していると予想されます。
小さな炎症の持続は、数年かけて股関節や腰部の筋肉の硬化が進んで来ることが予想され、股関節周囲筋・腰部筋の柔軟性が低下してきていることが股関節や腰部に感じている慢性痛・こわばりの原因の一つになっていると考えられますね。

最初に股関節に違和感(不安を感じないレベルの痛みよりもこわばりに近い違和感という感じ)を感じる様になってから、徐々に数年かけて股関節のこわばりが増してくるようになってきた状態は、股関節周囲の筋肉の硬化(柔軟性の低下)であり股関節の柔軟性低下や違和感による立位・歩行姿勢や動作の変化による腰部の負担として腰痛の増加と感じていることが多いようです。腰痛を主に感じている人はどちらかと言うと?股関節の柔軟性の低下による立位・歩行姿勢や動作の変化が続くことで徐々に腰部への負担が増した結果としての二次的な要因による慢性痛が多い感じを受けます。

この様な症状の場合は股関節周囲筋のこわばりが8割くらいの問題で、残り2割程度が炎症の持続による原因という感じですから、股関節周囲の筋肉をほぐすためのマッサージ・ストレッチ・鍼・カイロ(関節を動かすことで筋肉がほぐれる)などの技術がある程度ですが効果を示しやすいと思います。

股関節(お尻)の筋肉はけっこう厚く、股関節の筋肉の上には脂肪もありますので、基本的に肘や膝の様な硬い部位で押したり、硬い道具を使って押しても加えられる圧力は限界があり、深部の筋肉まで圧力は完全に届かせることは100%不可能です。
このためピラティスやヨガ、ストレッチなどによるストレッチの要因を含む運動、筋力強化を中心とした運動などによる対応が届かない深部の筋肉のほぐしには必要となります。
運動により筋肉に適度な疲労を与えてほぐすという反応を引き出すのも効果的ですね。

逆にある日を境に股関節の痛みやこわばりが強く感じられる様になり、数日間で痛みが増していき病院受診をすることになる人を考えましょう。数週間単位で股関節に痛みやこわばりが平均して増しピークに達することもあります。
鋭い痛みが特徴的な急性痛の要因が目立つ人ですね。

スポーツをしている人で運動中に股関節に痛みや違和感が一瞬あって、それから痛みやこわばりが強くなってきたために、その動作で股関節の筋肉を傷めたのでは?と考えている人は多いと思います。
スポーツはしていない人でも、日常生活の中での動作として、立ち上がり・歩行・走行、転びそうになって変な体勢で踏ん張った時・階段や坂道を上り下りした時、他にも日常的に多くの動作を行っていると思います。

こういう普段の生活内の動作中に股関節の痛みや違和感が一瞬あったという人で、その後から股関節の痛みやこわばりが強くなってきてその時の動作が原因で股関節を痛めたのでは?と考えて受診される人も多いと思います。

スポーツの競技中であろうが、日常生活内の動作中であろうが、その動作において股関節周囲の靭帯・関節包・筋肉・腱などの軟部組織に小さな損傷を起こし炎症を生じさせたと予想されます。

一時的な局所的な炎症増加による痛みの増強ですから、最初に説明した数年かけて徐々に痛みやこわばりが増して受診した人と比べると、急性痛の要因が強いので痛みは鋭いタイプであり患者の訴えとしてはズキズキとかビリビリとか鋭い痛みとイメージされる表現が多いと思います。一時的な炎症増加であり、股関節痛の痛みの説明で書いた荷重痛や伸長痛が主症状としてみられることが多いと思います。

股関節周囲に炎症が増加すると動作時に鋭い痛みが長期間に渡り持続しやすい特長があります。私の臨床経験から考えると、急性痛の痛みがピークに達してからある程度痛みが落ち着くまで若い人でも1〜3ヵ月(個人差あり)ほどの期間を要する印象が強いです。
股関節は荷重関節であり、座る・歩く・立つなど多くの動作で負担をかける場所です。日常生活において股関節への負担を無くした動作は不可能であり、動く以上は常に股関節に負担をかけているという理由が炎症の軽減に時間を要する理由の一つではないかとも考えています。

もちろん股関節の小さな変形による構造問題としての荷重部位の変化は基盤として存在していることも、一時的な炎症増加からの痛み軽減(炎症軽減)を遅らせる要因と考えられますね。
歩行では痛みのある側の下肢を床について痛くない側の下肢を前に振り出していく時は、痛みのある側の下肢のみで体重を支えることが要求されます。股関節への負担は大きく荷重痛が目立つと思います。一般の人が見ても歩き方(歩行の様子)はあまり変化しているのは分からない範囲だと思います。

日常生活・スポーツ、どちらであっても動作中に痛みや違和感が生じた後から痛みやこわばりが強くなった人は、股関節の靭帯・筋肉・関節包・腱などに炎症が生じたことによる痛み増強です。炎症増加による急性痛であり、このタイプの痛みの人は股関節周囲筋の筋硬化は若干増しているという人が多いですが、筋肉をほぐしても股関節が楽に動かせる、股関節の痛みが楽になったという効果はあまり長続きしません。

炎症と股関節周囲筋の筋硬化(こわばり)の2つが痛みの原因と考えられますが、痛みの原因の比率としては炎症8割に対してこわばりが2割(8対2)という感じだと思います。
マッサージ・ストレッチ・鍼・カイロなどでは上手く対応できたとしても一時的な痛み軽減(1〜2日間少し楽かな?程度)であり、あくまでも運動を導入しやすくするための補助として筋肉をほぐす(炎症部位を触らない)という対応の補助的役割のみとなってしまいます。

炎症があるので軽く筋肉をほぐしている時にも痛みやこわばりが増す可能性がありますし、炎症部位をマッサージして無闇に圧力を加えると?逆に炎症を増加させてしまえば強い痛みとして数日間持続することが多いと思います。
この状態の人は安静と炎症を増加させない運動内容・運動量を継続し、炎症部位を触り過ぎない様に注意して短時間(10分程度)で必要最低限は筋肉をほぐすという対応が主になります。単純に安静を取り過ぎても痛みが軽減出来にくいというのが、ちょいと難しいとこでもありますね。

次に考える症状は2つの違う痛みが目立つ症状です。仕事などで長い時間立っていたり、長い距離を歩くことで生じる慢性痛を主体とした股関節痛。急性痛を主症状とした動作中に痛みや違和感があった後から痛みが急激に増加した股関節痛の両方の要因をもつタイプです。
上記の説明でも少しふれた炎症8割・こわばり2割という感じの股関節の状態に似ています。

中・高校生では部活動の練習中などに股関節に違和感がありながらプレーしている人がいます。運動しているとお尻辺りに鈍痛が主に表れて、動き続けていると鈍痛が増してきますが、なんとか運動を継続できるレベルの痛みのことは多いようです。
翌日などのこわばりの残り方が徐々に増加(年単位で少しずつ痛みやこわばりが増す)してくる状態です。
部活動を続けていて、いよいよプレー中や練習中でも股関節の痛みやこわばりが強くなり、動作を邪魔するレベルの痛みになってきて受診される人が多いですね。

初期の頃は練習中のある一つの動きで股関節の違和感が生じるのですが、徐々に練習中や試合中など動いている間など全体的に痛みやこわばりが生じて動作を邪魔する様になります。痛みが強くてその動作が出来ないのではなく、痛みの無い動きと比べると痛みにより動作が若干違う動作となります。フォームが崩れる動きになるという状態です。しだいに炎症要因が増加してくると痛みで動作が上手く出来ない連続で出来ないという状態へ進みます。

股関節の可動域は減少していることは少なく、しゃがみこんだり、あぐらをかくなど股関節の大きな動きが可能です。股関節の最終可動域近くで痛みを感じることが多いです。
若い方の変形性股関節症の特徴は股関節の変形は小さく股関節周囲の筋肉硬化は少ないのですが、急性痛としての症状である股関節を大きく曲げると最終可動域近くで感じる瞬間的な鋭い痛みが生じるのが特徴的です。

中高年の人でスポーツ中などに痛みを感じて急性痛があり受診、変形性股関節症の診断を受けて今までどうもなかったのに?という人では普段よりスポーツが好きで良く運動をしている人が多いですね。関節変形は小さいのですが、痛みは急性痛ですのでけっこう鋭い痛みで気になります。この様に中高年で急に小さな股関節変形が見つかる人はスポーツをしていて股関節が痛い中高生の股関節の状態に近いのですね。ある意味体は若いのです。

変形性股関節症では単純に変形が進むにつれて鋭い強い痛みがどんどん増すとイメージされがちですが、変形初期や臼蓋形成不全に対して次に説明するBの様な初期に比べて変形が少し進んだ状態の人の方が瞬間的に感じる鋭い急性痛は軽減し、持続性のある鈍い慢性痛が中心になっているため、痛みが以前より気にならないという状態の人も多いです。
意外じゃないですか?変形がレントゲンで分かり易くなってきている人に比べて、変形のわずかな初期症状の人が痛みは鋭く強い場合もあるのですから。

Bの症状

変形性股関節症の診断を受け数年以上経過している人で手術はされずに経過観察をしている人、30歳以上(20〜30歳台の初診によくみられます)の女性が腰痛で整形外科を受診したら初期の変形性股関節症と診断を受けるケース、これらの人達に多くみられることが多い症状です。
Aに比べると股関節の変形は進んでおり股関節の変形をレントゲンで見ると左右差が本人でも若干わかりやすいレベルになってきている状態です。
股関節の可動域制限が多くの人でみられます。しゃがみこむ、あぐらをかく、椅子に座っている時に足を組む、日常生活の動作において股関節の柔らかさがないと出来ない動作が実施出来るけど行い難い感覚(やり難い)が出てくる、可動域制限が強くでてきている人では股関節の動きが不足し実施できない状態となります。

Aの状態に比べるとBの状態が進行しているので股関節変形は大きいのですが、痛みを訴える内容の違いで見ると、Aは一瞬感じる強い急性の痛みが主な症状なのですが、Bは長時間の立位・座位・歩行などで持続的に感じる鈍痛であり慢性の痛みが主な症状です。
一般的にはAよりもBが股関節の変形が大きいので、Aの瞬間的に感じる強い痛みがもっと強くなりBでは激痛に変わっていくイメージがあると思われがちですが、実際はAからBの状態へ関節変形が進んだとしても急性痛がさらに強くなり激痛に変わっていくという単純な変化はしません。(変形進行の早い時期では日による痛みの増減は少なく、急性痛が確実に増していく人もいます)

逆にAの時期に感じていた関節を大きく曲げると一瞬だけ感じる強い鋭い痛みは、Bでは感じ難くなっていることも多いのです。鈍くて広い範囲で感じる重だるい様な痛みが持続しやすいという慢性痛が股関節や腰部に生じるけど、日常生活では急性痛は感じ難くなったと感じている人は意外に多いと思います。

股関節の状態は股関節周囲の筋肉が硬化してきている状態が多いです。股関節の動きに重さや動かし難い感覚があり、痛みは股関節全体に鈍い慢性痛を感じます。股関節周囲筋を圧迫すると深部の筋肉に痛みを伴う筋肉が見つかりやすいです。
Bの症状では股関節の深部の筋肉を圧迫すると鈍い慢性の痛みが出るのですが、これに対しAでは股関節周囲筋の硬さは少ないのですが、深部筋への圧迫では鋭い急性の痛みが出やすいです。

股関節の構造問題により股関節深部に炎症が生じていると考えられます。股関節の深部にある靭帯・筋・腱・関節包などの軟部組織に小さな炎症が持続しています。Bの症状の人ではAの症状の人より炎症の要因が小さく(炎症範囲が小さくなっている)急性の痛みが少ないと言えます。
股関節深部の炎症が一時的に弱まっているので、股関節を大きく曲げる時などの瞬間的な鋭い痛みはAの頃より弱まっています。炎症要因が小さくなっているのですから炎症による痛みと合わせて筋肉のこわばりが影響してくるので、股関節周囲筋をほぐすと慢性的に感じる股関節痛を軽減できる可能性があることが予想できると思います。

カイロ、鍼、マッサージなど技術は違いますが、これらは全て筋肉の緊張を緩める技術でありこれを利用すると一時的に股関節の慢性疼痛がある程度は和らぐのは当たり前であり特別な事でもないのですね。

股関節深部からの痛み刺激の持続によりスパズムの持続が年々続いていますし、痛みもあり日常生活での運動量も低下しており股関節周囲の筋力低下や柔軟性の低下に繋がっていきます。股関節周囲はある意味軽い廃用症候群に向かっているという感じですね。

股関節深部の筋を完全にほぐすことは不可能であり可能な範囲で股関節深部筋をほぐすことは変形性股関節症のリハビリを行う準備段階としては大切ですが、筋力低下や柔軟性の低下を起こしている股関節周囲の筋肉を如何に強化し調整していくか!が重要で難しいのですね。
Bの症状の人は如何に疲労し難い強い股関節の状態を作るかが安定的に痛みを軽減させるためのリハビリとして重要であり難しい取り組みです。

Bの症状では股関節周囲筋のこわばりなどが目立つ様になります。仕事などで長時間の座位や立位など同じ姿勢を長く維持することが苦手となってきます。長い時間歩いた翌日や仕事で長時間立っていると仕事の後半に股関節のこわばりが強くなってくるなど、股関節の持久力が要求されます。

股関節には小さな炎症は持続しているのですから基本的に股関節周囲筋はこわばり突っ張っている状態ですあり、緊張し突っ張っている筋肉は若干血流も悪く酸素が不足傾向にあります。日常生活における動作では強い力を瞬間的に使うことは何か重い物を持つ様な場合以外はあまりありません。電車通勤での立ちっぱなし、デスクワークの仕事なら長時間の座位、工場や飲食業などでは歩く量、立ちっぱなしも多いですよね。

こういう持続的な負荷が股関節に加わり続けると股関節に慢性痛が増加しますが、初期の頃は持続的な負荷により仕事の後半などに重だるさや鈍い痛みが増すような感覚があるのですが、旅行などの様に普段より長い距離を歩いた日の翌日などに筋肉痛の様な痛みが股関節に増す感じが出る様になってきます。

最初は普段より動いた量が多い日の翌日などや仕事が忙しい時に仕事の後半で感じる程度だった慢性痛が徐々に小さな負荷量でも慢性痛を生じやすくなってきます。
結果的に股関節への負担が少なくてもこわばり・重だるさ・鈍い痛みが増してくるので、日々の生活で感じる股関節の慢性痛が増している感覚(急性痛は軽減)が強いのではないでしょうか?

Cの症状

明らかに股関節の変形や関節の狭小化など構造的な問題が大きく、どの病院を受診しても手術を確実に勧められる状態について考えましょう。股関節の変形が末期の状態です。
股関節の可動域制限も増加してきており、重度の人では椅子に座るのも長い時間は困難な状態がみられます。

股関節をどの方向に動かしても痛みが出やすいというのが末期の特長です。股関節を屈曲(股関節を曲げて膝をお腹に近づける)するとAの頃などはお尻の一箇所に痛みを感じている場合が多かったと思いますが、Cになると股関節屈曲では股関節の前面(鼠頚部あたりなど)に痛みを感じたり、お尻の部位に痛みを感じたりと、痛みの強さは違いますが数箇所同時に痛みを感じることが多いと思います。また股関節の痛みが誘発されると腰や膝などにも痛みが誘発されることも増えてきます。

立ち上がりや歩行などの動作時に股関節痛が目立っていたと思いますが、中期〜末期に入ると運動時痛は増加し、安静時痛も強くなっている人も多いと思います。
Aの症状では股関節変形が小さいのに瞬間的に鋭い痛みを股関節に感じることが多いという説明をしました。Cの症状の人では運動時痛に鋭い痛みも感じるのですが、Aの初期症状と比べると運動時痛は鋭いというよりも少し弱いレベルで慢性化している状態です。ちょとした動きで慢性痛が出やすい状態です。股関節を動かした場合の瞬間的に感じる鋭い痛みはやや弱いのですが、連続で動かし続けていると強い痛みが増加します。股関節を動かし続ける動作で痛みが増すため連続歩行が困難になります。

杖なし歩行は室内移動(数m程度)のみで、屋外歩行は杖が必要です。連続で歩行をしていると股関節の鈍痛が強く増してきます。しゃがみ込む動作などで瞬間的に強い痛みが出る部位の痛みが増し、股関節全体の重だるい慢性痛と下肢全体の重だるさが増してきます。

個人差はありますが連続歩行では数分から数十分程度で休憩しないと足の力が入らない感覚(だるい)も増し歩行や立位が維持できなくなります。連続歩行では股関節が締め付けられるようなこわばりが増すと訴えられる場合もあります。

Cの時期では股関節の変形は大きくなっているので、股関節の構造問題で曲げ伸ばしが困難になり可動域は狭くなっています。Aの関節変形初期の頃は床にしゃがみ込むなどの股関節の大きな屈曲を必要とする動きが可能ですが、屈曲角度が大きいのでしゃがみ込むなどの股関節屈曲が大きい動作では股関節深部の靭帯や筋肉が引っ張られる強さも大きいので一瞬感じる鋭い痛みも出やすい状態です。

Cの症状ではしゃがみ込みは出来なくなってきていますし、股関節の可動域制限が大きいためAの様に大きな屈曲によるストレスが加わらないので、Cでは股関節深部にある靭帯・筋・関節包・腱へのストレスは減少されるので、股関節の曲げ伸ばしによる強い鋭い痛みは軽減されます。

関節変形が大きいほど股関節の凹凸面が滑りにくく動かし難いのは当然です。ただ単純に炎症が大きいか小さいかは?関節の構造変化が大きくなればなるほど炎症が必ず大きくなるとは限りません。

この炎症がどういう形で持続しているかが痛みの要素の一つとして重要です。関節の変形の進行と痛みの強さの増加で日常生活における行動範囲の低下・活動量の低下などが進みます。行動範囲の低下・活動量の低下ということは?歩行量などは明らかに低下していますので股関節に加わる負荷はAの頃とCの頃では全く違ってきていますよね?変形はAよりCの方が進行していますが、Cは歩行などを中心とした股関節への負担の低下が影響し瞬間的に感じる強い痛みで悩んでいるということは軽減していることもあります。

股関節の安静時痛が強いという特徴もある時期です。ベッドに横になっている時や椅子に座っている時など安静時痛を強く感じている人は多いようです。
例えば、横向きに寝て股関節を下向きにしていると徐々に安静時痛が増してくる、仰向けに寝ていると鼠頚部(股関節前面を中心に)に安静時痛が増してくるなどの症状が強くなってきます。

安静時痛の痛みの質について聞くと個人差はあるのですが、虫が這うような?
ドクドクと拍動するような?ズーンとする様な?など、慢性的な痛みというか、とにかく不快な重い感じで鈍く響く様な慢性的なこわばりと痛みの間の様な感覚を訴える人が多く見られます。
純粋な急性痛や一般的な慢性痛と違い表現の難しい感覚の様です。訴えもなんとなく共通している程度で表現のバラツキは目立ちます。当事者じゃないと分からない痛み感覚の様ですね。

Cの症状では股関節のみ痛みがあるという人は少ないと思います。痛みの範囲は股関節だけではなく腰や肩が痛い、背中全体の凝りで重だるく感じ背筋を真っ直ぐ維持するのが疲れる、変形している股関節側の下肢全体が重い・痺れる、足がつる、などの症状が合併している人が多いはずです。全身の倦怠感や全身に広がる慢性痛が特徴です。

夜間痛で睡眠不足の人も多いと思います。仰向けに寝るのは困難で横向きに寝ている人が多く安静時痛を感じます。仰向けに寝ていると慢性痛が増してくるというよりも股関節を中心に重だるい、虫が這うような、チクチク疼く、痛いというか不快な感じ、表現は個々により違いますが同じポジションに下肢を長く保持できない様です。
ベッドに横になり睡眠前の段階では意識を何かに集中させることは無いので股関節の慢性痛に意識が向きます。日中と比べると股関節の慢性痛が増すと訴える人もいます。これは日中いろんな事に意識が向いたり考え事をしていたりという状態が続いていますので、股関節の慢性痛へ意識が向く量が少ないため夜間の方が慢性痛を強く感じているようです。

仕事に関しは自分で作業ペースの管理を出来る人では仕事の継続は可能な場合がありますが、作業ペースの自己調整が無理な職業の人では勤務継続が出来ない人が多いと思います。
Cの症状の人で仕事を続けている人は非常に少ないです。
どちらかというと自宅内で生活をしており、自宅内での歩行や家事などをされている人が多く、無駄に行動範囲の低下・活動量の低下を増加させて間違った対応をしている場合も多く見られます。

変股症のリハビリについて@

変形性股関節症のリハビリを考えていきます。
リハビリでアプローチしていくのは股関節周囲の筋肉ですから、股関節の変形の大きさではなく股関節周囲筋(軟部組織の炎症などを含め)の状態を中心に置いた視点で考え、股関節の状態を大きく2つに分けリハビリをどう展開するか検討していきましょう。

@股関節周囲の筋肉の硬さはあまりなく股関節の可動域制限も少ない。股関節周囲筋をマッサージなどで圧迫されると、股関節の奥に鋭い感じの強い痛みが一時的に感じる部分がある。

@に近い対象の人は?

A症状:
30歳前後で痛みが出て診断を受けた人、運動部などの中・高・大学生さん。
B症状:
運動を継続されてきて中年以上の歳になり診断を受けた人。

股関節の深部筋に炎症症状が疑われ、痛みの原因として炎症が大きく影響している状態です。股関節周囲筋を触ってみても硬くなくどちらかというと弾力性のある良い筋肉であることが多いと思います。
股関節の深部筋・腱・靭帯(軟部組織)などに炎症が一時的に増強している状態であり、炎症が増強している期間(痛みを感じて病院を受診した頃)は痛みを強く感じていると思います。痛みが一時的に増強している期間は痛みの原因は炎症の増加が最大要因ですから、股関節深部の筋肉をほぐす目的でマッサージすることは望ましくありません。炎症を起こしている筋肉などに圧力を加えると無駄な組織破壊を進めるため炎症が増強し痛みがさらに増加します。

深部の筋肉を強い圧力でほぐすという対応は禁忌です。

変形性股関節症では深部の筋肉をほぐすことが大切と誤解されている人がいますが、股関節周囲の軟部組織の炎症がどういう状態か?リハビリとして何が大切か?などが判断されるわけですから、深部の筋肉を揉みほぐせば痛みは軽減されるという単純なことではないことを最低限ご理解ください。

股関節深部の炎症がある軟部組織、その周囲の軟部組織に対してはマッサージを行なう場合は炎症を増強させない範囲の刺激を入れ、炎症組織の近くの筋肉などを軽くゆるめたり(若干筋肉の緊張が低下する程度)、炎症組織周囲の浮腫みを軽減することで局所の血流循環を促進し疼痛物質の停滞を抑制するという目的で実施します。

マッサージによる軽い圧迫や摩擦刺激に対して実施中に痛みが増す場合は筋肉のこわばりが主な原因ではなく炎症要因による痛みが強いことが理解できます。痛みが増す場合(特に鋭い痛みには注意)はマッサージなどの圧迫する刺激は禁忌と判断するべきです。
圧迫や摩擦刺激を実施中に痛み刺激が増さない場合は圧迫や摩擦刺激は疼痛抑制刺激(簡単に言うとお腹が痛い時にお腹をさすると痛みが減る現象)としての利用が可能と考えられます。運動療法前の準備運動的役割として痛みを抑制し股関節を動かしやすくするための疼痛抑制技術としては利用できるでしょう。

また、炎症のある痛覚過敏部位を軽度の圧迫や摩擦刺激で股関節の状態を評価する意味として、その刺激に対して翌日などに痛みの残る量などがどの程度あるかを確認します。翌日の痛みの残る量で運動が導入可能か?の判断が出来ます。

マッサージによる軽い圧迫や摩擦刺激で翌日にこわばりや痛みが強く残る場合は炎症の要因が強く股関節深部の軟部組織に負荷をかけられる状態ではないので、股関節に負担のかかる運動は禁忌となります。股関節を動かすストレッチは股関節への直接的な負担や筋肉の伸張による微細な筋組織の損傷(炎症が一時的に増加)を招く可能性があり、意外に痛みが増強しやすく使えないことが多い時期です。

病院などで指導される仰向けや横向きでの足を上げ下げするような単純な股関節運動ありますよね?単関節を一定方向に繰り返し動かすのですから、一定の筋肉に負荷が連続して加わり続けます。ああいう運動が逆に痛みやこわばりを増すだけの結果につながる可能性もあるということです。

マッサージによる圧迫や摩擦刺激により実施中に一時的に痛みが若干増す、翌日のこわばりや痛みが若干残る程度の場合は?股関節深部の軟部組織にある炎症の影響で炎症局所だけの痛みだけでなく周囲の痛み神経が敏感になっている可能性が考えられます。
適正な圧力・摩擦刺激を股関節深部筋に加えることが出来れば、股関節軟部組織の局所血流循環の促進と浮腫み軽減を若干ですが促進できる場合があります。股関節深部筋への適刺激を数回繰り返すことで股関節深部の炎症を起こしている局所周囲の痛み神経の敏感な反応が徐々に抑制されて痛みを感じる強さが軽減してくる可能性があります。あくまでも炎症は大きく軽減する変化はしませんが、痛み神経の過敏な状態の軽減は炎症による基礎的な痛みにプラスされていた痛みの分を軽減できる可能性があるというイメージです。

マッサージを実施するにあたっても上記の様な意味合いにより股関節深部の炎症を評価し、リハビリとして深部の軟部組織を触っていくべきなのか?直接の刺激は炎症増加・痛み増加に繋がる可能性があるため股関節への負荷量をコントロールした運動を導入し、運動を主軸にリハビリを展開するべきなのか?など身体状態を評価するための意味合いが大きいと言えますね。

このため、股関節周囲筋を揉みほぐすことは主なリハビリとしては成り立ちませんし、理学療法士などの他者に引っ張ってもらう様なストレッチなども効きません。他にもカイロなどを中心とした関節を動かす技術はさらに効きません。
炎症による痛みが前面に出ているため、急性の炎症を抑える徒手技術は存在しないから当然ですね。

あくまで準備運動的な役割だと思います。

実際に股関節周囲筋の状態が@の様な人は、股関節周囲筋をマッサージやストレッチをしても痛みは軽減されない人が多いはずです。若干は痛みが軽減したという人でもマッサージを実施した直後は痛みが軽減し股関節を少し楽に動かせたけど自宅に帰りついた時には痛みがしっかり戻っている。かなり効果が出たとしても痛み軽減効果は翌日まで持続できれば良い方ではないでしょうか?

@は股関節の周囲筋は硬くなっていない状態です。股関節周囲筋のこわばりが痛み増強の主な要因ではないのですから、股関節深部の筋肉をいくら強くほぐしても効果が出ないのが当然です。あくまでもマッサージ・ストレッチ(他の徒手技術も含む)は上記で述べた様に運動療法が実施可能かの評価・準備運動として使用する程度の効果と役割に留まります。

股関節への軽い圧迫・摩擦刺激を実施し、実施中も痛みが持続し軽い圧力のマッサージを受け続けられない。翌日には股関節の重だるさや痛みの増強などが強く出て、夜間も痛みが増して疼(うず)いて困った・・・
こういう状態であれば股関節は単関節に加わる連続的な負荷にまず耐えられない状態です。病院で最初に指導される運動として横向きや仰向けなどで実施する股関節を上げ下げ開閉する運動など一見負荷量の小さい楽な運動に見えますが@の状態で痛みの強い人には負荷量が大き過ぎる場合があり、実施することで股関節の痛みを増すことが多々あります。

逆に炎症要因が若干軽減してきており、仰向けや横向きでの股関節の運動では何も疲れないし痛みも増強しないという人もいます。この運動って効いているの?と考えている人も多いと思います。
股関節の痛みが気になり病院受診したばかり、スポーツ中のみ少し痛みがある程度。こういう人は日常生活の運動量は多く股関節周囲筋の筋力低下はほぼ小さいですし、筋力低下が直接的に痛みの要因として影響していることはほぼありません。股関節の上げ下げ開閉などの単純な運動を指導するのは意味がありません。

この運動は効いているの?効いているはず無いじゃないですか!

@の状態の人は股関節の周囲筋は柔らかく、例えば前屈すると床に手が届く・床にしゃがみ込めるなど股関節を柔らかく大きく曲げられる人は多いと思います。股関節の痛みの原因は股関節深部の軟部組織に生じている炎症が中心であり、炎症8割に対してこわばりが2割程度というイメージですかね。
股関節の筋力低下も少ないので、股関節の上げ下げ開閉などの単純な単関節を連続する運動は効果が無いというお話しをしました。しかし、股関節の深部筋にはあくまで小さな炎症があるので直接的に負荷を加えすぎると痛みが増強しやすい可能性も秘めています。

歩行を例に考えると歩行では右足が地面に設置している間に左足が浮いて前に振り出されています。左足が地面に設置すると次に右足が振り出されます。左右の足が交互に地面に設置し、設置している下肢の力で立位を保持します。歩行中は片足に力が入っている(筋肉が縮む)と反対の足は力が抜けている状態(筋肉が緩んでいる)であり、股関節の筋肉には力が入ったり抜けたりという仕事が行われているわけです。

筋肉は縮んで緩むというポンプの様な動きが繰り返されるので血流の循環を阻害しにくい運動であり、筋肉の疲労や痛み増強に繋がりにくい運動形態であることが理解し易いと思います。股関節の上げ下げや開閉するという運動、さらにゴム製のバンドを足に巻いて股関節の開閉や上げ下げを実施する運動など、これらは基本的に単独の筋肉を標的に負荷を加えます。もし実施するなら一回一回の動きに休憩を入れて実施しないと筋肉に持続的に力を入れ続けながら(連続して筋肉が縮んでいる状態が続く)の運動となります。

筋肉が縮んでいる状態を続けながら運動を繰り返すのですから、股関節の筋緊張は増加しますし、筋肉が硬く縮んだ状態では毛細血管の圧迫は続き血流が不十分な状態が持続するわけです。股関節の深部にある炎症周囲の痛み神経も局所の血流不足や酸素不足で痛みが増してきます。
運動による股関節への負荷量としては小さい割には筋肉の疲労を促進しやすい運動(筋肉を大きくはできない)となり痛みも増強させやすいです。結果的に痛みや疲労を増強させやすい反面、筋力増加にも繋がり難いという?あまりお勧めできない運動となってしまいます。

スポーツなどで走っている時に股関節に小さな痛みやこわばりを感じる、走ると股関節が痛いので走れない、長い時間立っていると股関節が痛くなってくるなど同じ@の人でも普段の生活で困っている股関節の痛みの出る状況は違うと思います。
@の状態の人は基本的には持続している炎症の要因により痛みが出ている状態です。筋肉のこわばりによる痛みへの影響は小さいと説明してきました。

それでは股関節の炎症を小さくする運動があるのか?ということがポイントになってくると思います。残念ですが、運動により股関節深部の炎症組織が改善(組織修復が進む)し炎症が治ったという報告はありません。生理学的に考えても炎症を生じている腱や筋などの組織を押したり引っ張ったりする刺激を加える運動で炎症が大幅に改善する可能性はまず無いと考えられます。逆に運動により炎症のある組織は伸ばされたり圧迫されたりなどの負担を加えられるのですから、損傷が修復している途中過程が炎症なのですから運動により組織損傷を増加させ炎症を増加させる結果にも繋がりやすいということです。

変形性股関節症の@の人は股関節深部の軟部組織に炎症が持続しているのです。炎症を軽減させるためには炎症の持続している軟部組織を安全に保護することが重要であり、痛みが減るまでは何もしないで安静にしておくのが一番なのでしょうか?

理屈からするとそうです。炎症の強い時期はもちろん安静は重要です!

しかし、安静にし過ぎると股関節周囲の軟部組織は局所的な廃用症候群になっているとイメージしても良い状態です。長期安静により局所の炎症は軽減されてきたとしても、炎症のある局所の周辺の健全な筋・腱なども細く硬くなり伸張性も低下してきます。股関節深部の炎症のある部位やそれ以外の部位も弱くなるのですね。長期安静で一時的に痛みが軽減してきても、生活内での歩行などが増してくると?弱くなっている股関節では以前の様な動き(歩行やしゃがみ込みなど)を行うと痛みが出やすくなるという経過に繋がりやすいです。

長期安静で様子を見るというのは諸刃の剣でもあるのですね。

以前から股関節にはこわばりや痛みを若干感じていたが徐々に痛みが増していた、最近は以前より股関節の痛みが強くなった感じがするので受診した。スポーツをしていた、家の引越しなどの様に普段しない作業をしていたら、旅行先でたくさん歩いた、この様な活動の中である時に強い痛みを感じて病院受診をした。
などなど・・・

股関節に初めて痛みの発生した状態などの切っ掛けは違いますが、基本的にこの痛みは病院で診てもらわないと?という思いで受診されるくらいの痛みであるということは共通していますね。
股関節に痛みを感じ始めた切っ掛けは違いますが、病院を受診しなくてはと思わせる痛みがあるのですから、病院を受診した時点と言うのは炎症が強く炎症のピーク状態に近いことは共通していると思います。

皆さんが受診された時点というのは?痛みは強く炎症のピーク状態に近い可能性が高いことが予想されます。レントゲンなどの画像診断で臼蓋形成不全や軽度の変形性股関節症と診断できる変形が見つかったとします。
変形性股関節症は文字通り股関節の変形が問題です。皆さんは受診された日の少し前に強い痛みを強く感じ始めたという人が多いと思います。この痛みが増した時が股関節の変形などが急速に進んで炎症を生じたのでしょうか?

そんなに急速に股関節の変形は進まないのではないでしょうか?変形はもっと前からあったという状態がほとんどです。股関節の変形は以前よりあって、ある日を境に強い痛み(不安を伴う痛み)が気になり受診する。股関節の変形による股関節への体重負担などの偏り、歩行などの股関節を曲げ伸ばしすることでの負担など、いよいよ局所の軟部組織に負担を加え続けた結果として炎症が生じる。
この炎症の持続が今後も持続する方向で維持されるのか?(炎症が持続するのだから痛みが持続することになる)今回は一時的な炎症増加であり一定期間を過ぎると炎症が軽減されるのか?この違いは初診の画像診断ではまず分からないでしょう。

初診での判断が出来ないのでDrよりしばらく安静傾向の指示が出て痛みの軽減(炎症が治まってくるか)が図られるかの経過を見るのですが、リハビリ(理学療法)としてはこの期間に股関節の上げ下げ曲げ伸ばしなどの単純な運動がまずは指導されることが多いのですね。

特にスポーツ中などの激しい動作時ではなく、日常の歩行レベルで強い痛みが出る場合などは炎症要因が強い時期と予測されます。股関節の単純な上げ下げ開閉などの運動を繰り返すと炎症要因の強い股関節深部の軟部組織に近い筋肉などを単独で疲労させる可能性があります。同じ動きの繰り返しで連続的に筋肉を収縮させ続けると股関節の重だるい感覚・こわばりが増し動かし難い感覚が増すなどの結果に繋がる場合があります。

運動中に股関節のこわばりが増すと筋力低下により股関節がすぐに疲労したり重だるい感覚が出ると考えられがちですが、あくまで股関節深部に炎症が生じており股関節周囲筋も若干緊張が亢進傾向(力を抜いていい状態でも抜けきれていない状態とイメージしてください)にあるので、単関節にある一部の筋肉だけを連続で動かし筋肉は連続的に力を入れ続けるのですから血流の低下による酸素供給・疲労物質の停滞・局所のエネルギーの枯渇などが起きます。炎症があるため周囲の痛みを伝える神経も敏感な状態で維持されているのですから炎症のある局所の状態変化へ敏感に反応します(通常なら痛いと感じないレベルの負担でも痛み情報として脊髄→脳へ伝える)。

このくらいの運動で股関節の辺りが痛くなったり、重だるくきつく感じるのですから筋力が落ちてるな〜と考えがちですが・・・あくまでも炎症が影響しているのですから筋力的な問題ではありません。同じ程度の筋力では炎症が無ければ痛みは出ないはずですよ。だから痛みが強くなって受診する前は痛くなかったのではないですか?痛みが強く感じて初診をされた頃から2〜3週間程度ではそんなに大きな筋力低下は起きません。

股関節の上げ下げ開閉の運動で一つ良い点は、炎症がかなり強く股関節への上半身からの体重負担をなるべく加えたくない時期、この運動を実施中も痛みがほぼ増さないし股関節の疲労感も翌日に残らないなど、股関節の単関節の動きを連続しても悪影響が少ない人には初期の運動導入としては利用しやすいと思います。
初診でいきなり変形性股関節症ですよ、将来的に手術が必要になることがありますよ、今の状態なら自骨で臼蓋を形成する手術が可能ですよ、などと聞かされるわけですから、それは驚きますし不安ですし恐怖も伴います。私ならぜったい怖いと感じます。

股関節を安静にしなくては股関節の変形がどんどん進行するのではないか?歩いている時に股関節に痛みを感じる度に股関節の関節面が徐々に削れてしまっているのではないか?痛みを感じる動きを繰り返していると痛みがどんどん増すのではないか?など破局的なマイナスイメージが強くなるのではないでしょうか。

初診で説明を聞いた多くの人がしばらくは考え感じてしまう不安・恐怖・マイナスイメージ(素人知識による病気の間違ったイメージ)がある時期に運動自体は股関節にとって安全であるという事実をご理解いただくためには大切な時期かもしれません。

まず股関節の上げ下げ開閉の運動で悪影響の出ない人へはリハビリ開始から1〜2週間程度を実施していただき、運動量の調整が適切であれば運動自体で股関節の痛みが増さないという経験を体験していただくことに繋がると思います。しかし、この運動により筋力を増強することで股関節の痛みを軽減するという大義名分はよく耳にしますが、基本的にそのような効果はありませんし間違いであるということはご理解ください。

股関節を意識して股関節を動かすことだけが股関節の運動ではありません。他の身体部位を動かすことで結果的に本人は意識していませんが股関節周囲筋を伸ばしたり縮めたりする刺激の入る運動、股関節を動かしているという認識ではなくても結果的に股関節へ荷重が加わる様な運動など工夫をしていくことは大切です。この辺りが自力では困難で専門家の指導が必要な部分なのですね。

日常生活において寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行などは皆さん実施にしていると思います。例えばトレーニングマシーンを使用し一部を集中的に鍛えて筋肉を太くするという方法もあれば、歩行など日常生活で実施する動作を利用したトレーニングもあります。また、歩行や寝返りなどの動作に似た動きを取り入れた動きでトレーニングすることも出来ます。

スポーツ中にのみ股関節痛が気になるレベルであれば、股関節の上げ下げ開閉の運動などはまず意味が無いと思います。これに対して痛みが少ない範囲であれば可能な範囲で単関節を強化するためのマシーントレーニングを導入できる可能性はあると考えられます。ただ、股関節深部の軟部組織の炎症により痛みが増強しているのであって筋力が低下したから痛みが出ているのではないのですから、筋力増強により痛みが軽減するという幻想は間違いですから誤解の無い様にお願いします。

マシーントレーニングで股関節周囲筋を強化するとするなら痛みの軽減してきた時より早期に耐久性を向上させるための貯金としての持久力強化の意味合いとして、また炎症組織に負担の少ない範囲の負荷を加えることで局所の血液循環の促進や股関節周囲筋を運動により縮めたり伸ばしたりする(ストレッチ効果)ことで股関節周囲筋を適度に疲労させリラクゼーションを図(動かすことで筋肉がほぐれる)るなどの意味合いでは効果的とは考えられます。

しかし、マシーントレーニングなどでのトレーニングは運動負荷量・運動量の調整が難しく、運動による炎症や痛みの変化に対する対応を丁寧にサポートできないと、痛みがさらに増す結果に繋がり易い可能性が大きいことは理解しておくべきでしょう。基本的に変形性股関節症のみでなく整形疾患全般で痛みを対象に行う運動(リハビリ)と考えると、マシーントレーニングは痛みを増強させやすい非常にリスクの高いとトレーニングです。運動により炎症を増加させる可能性はあるけど筋肉が多少太くなったからと言って炎症が治まることは無いのですから。

スポーツ中に痛みを感じるという人は一旦スポーツを中止し様子を見て、再開してみて痛みが出るともう出来ない、休んでみたけど痛みが減らないから痛みはもう治らないと考えると思います。
スポーツを休んで生活(数ヶ月)しますので以前と比較すると明らかに日常の総運動量が低下します、安静により股関節局所の炎症部位への負担が減るのでしばらくすると炎症は基本的には軽減傾向に向かいます。休んでいる期間にもよりますが、炎症は小さくなってきたとしても筋力低下(特に持久力)の問題や炎症組織周囲の痛み神経の過敏さの持続などについては改善が進んでいない場合もあります。痛みが持続する要因が治らず残る状態です。

しばらくスポーツを中止し再開したが痛みがまた同じように出た!
皆さんはただスポーツを中止し安静にしていて数週間後にスポーツを急に実施していませんか?または自己流で徐々に運動量を上げて運動を再開し試してみてやはり痛い!となっていませんか?

股関節の筋肉を太くする、股関節の筋力が上がる、確かに理学療法士の考えとしてもどちらも無いよりはあった方がいいよね〜と考えがちですが・・・
しかし、スポーツ中や歩行を続けていると運動中に痛みがあるという@の人は単純に筋力が低下したから痛みが出ているのではないので、今感じている痛みを軽減していくためには筋力増強(筋肉を太くしたい)は初期のリハビリとしては逆にいらないといってもいいほどです。

股関節深部の軟部組織に炎症が持続しているから痛みが持続しているのです、この炎症が増加しないよう安全に適切な運動量・負荷量を調整しながら適切な運動を継続し炎症の軽減・痛み神経の敏感さの軽減を待つという姿勢でのリハビリが適切です。

股関節を意識しすぎる運動を継続しリハビリを失敗している例も多いようです。例えば股関節の深部筋をもみほぐしたとします、次に運動療法や筋力増強を実施し股関節の筋肉に負荷を加えて運動します。股関節はこわばった感じが増して逆に動かし難くなる。リハビリ後はリハビリ前より歩き難い。

股関節をほぐして動かし易くした後に股関節をこわばらせる・・・

おかしくないですか?

股関節深部の炎症部位は直接的にマッサージ・ストレッチ(民間療法の技術全てを含む)で治すことはできません。あくまでも準備運動的な役割と書いたように股関節を動かし易くするために筋肉をほぐします。運動療法を中心に股関節の筋肉を対象にトレーニングをするのですが運動を行った後にこわばりが増して歩き難くなるというのは、マッサージなどで股関節のこわばりを軽減させた後に再度こわばらせるという対応をしているのです。

意味無いですよね?

運動療法の内容をどうするか?というのが本質的に難しく、理学療法士の腕が試される領域です。股関節を動かし易く調整し、こわばりの増さない範囲の効果的な負荷量や運動内容を選択していくことに創意工夫が求められます。運動後に股関節が楽に動かせる、動かしても痛みが少し楽に感じる、最低でも運動後にあまり動かしやすさや痛みの強さは変わっていないけど痛みが増していないというのが運動効果の最低条件でしょう。炎症の増加しないリラクゼーションの進む運動を個々の状態に合わせて実施していくことで、炎症の軽減が進み股関節周囲筋などの本当に必要な耐久性の向上(必用な柔軟性と持久力)へ繋がって行く可能性が出てきます。

日常生活において歩行などを中心に皆さんは驚くほど動いていると思います。特に@の人は仕事も継続されているでしょうし、学生さんはスポーツの時のみ痛いなどの一部の痛みが目立つけど歩けないという状態ではありません。

股関節周囲筋のこわばりは少ないか無いという状態の人達ですから、股関節の炎症を増加させない運動内容を探し継続することが求められます。運動により股関節のこわばりや動かし難さが増さない内容が望ましく、だからと言って運動量や負荷量が軽過ぎる(安静にしているのと同じ)と何の意味もありません。

股関節の痛みの軽減に合わせて段階的に運動量を増加していきます。痛みの増加が確認されない場合はその運動量をしばらく継続し、現在実施中の運動量が安全と確認されるとさらに運動量を増加していく。
この管理こそが専門家の知識と技術であり、専門家のサポートが良い結果に繋がる条件になると思います。

@の人達は初診を行い痛みのピークの時期から最低でも6〜12ヶ月ほどリハビリ(自宅での自主的な取り組み)を真面目に継続し、それでも股関節の痛みが軽減しなければ手術を検討するという考えでも遅くはないと思います。

変股症のリハビリについてA

Aの人は股関節の筋肉は硬くなり可動域制限も出てきている。股関節周囲筋をマッサージされると痛きもちいいという感覚や鈍い痛みが出る。

Aの対象の人は?

B症状:
以前より股関節の違和感が出ていたが最近は鈍痛が強くなってきた人、変形性股関節症の診断は受けたが手術は受けずに数年は経過している人。
C症状:
股関節変形は明らかでどこへ受診しても手術を勧められる人。

Aの対象の人は股関節周囲筋の硬化がある場合がほとんどです。歩行が長く続くと慢性痛としての鈍い痛みが増してくる、長時間の立位で鈍痛が増し立ち仕事が出来ないなどが症状として目立っています。
簡単に言うと@と違って痛みには股関節周囲筋のこわばりによる影響が大きく、炎症は持続しているのですが時期により炎症の大小の差が多少変化していると考えられる状態です。@の様に初診時の痛みが一時的にピークに達した状態の炎症と比べると、Aでは比較的に炎症の規模が小さい範囲(ピーク時より痛みは多少軽減している)で維持されていると予想される状態です。

股関節深部の炎症による影響は@に比べると小さく維持されていますが、筋肉のこわばりによる慢性痛の要因が大きくなったために痛みが日により強くなったり楽な日があったりなどの差が生じてきます。@の様に炎症要因のみの痛みが大きい場合は日による痛みの変動は少ないので、股関節を大きく曲げてしゃがみ込む場合や運動中のある動きのみで痛みを感じるというように、一定の同じ様な痛みの強さを一定の動きで感じていたと思います。
Aは一定の同じ動きを特徴とする痛みもあるのですが、それよりも安静時の鈍痛や連続歩行や立ちっぱなしなどでこわばりや鈍痛が増すので困ると訴える人が多く見られます。

Aは股関節深部の炎症による痛みに合わせて筋肉のこわばりによる痛みが合わさり、股関節に感じている痛みが構成されます。その比率が炎症3割でこわばり7割と言った感じとイメージしていただければと思います。
変形性股関節症では進行に伴いどの時期でも炎症が持続しているのですから痛みを完全に治す、痛みを完全に0にするということはまず不可能であることはご理解ください。完全に治すことは不可能ですが股関節の筋肉硬化を改善し可能な範囲で柔軟性を向上することで、股関節の動きが変化することで股関節周囲筋の影響している痛み症状を軽減できる可能性はあります。

Aの人は股関節周囲筋の硬化が増しているために歩行が続くと痛みが増す、長時間の立位で痛みが増すのが特徴です。@の様に運動や歩行の一定の動作で痛みが気になるというよりも基本的には歩行中や長時間の立位では持続して鈍痛があり、歩行や立位の持続により負担が増すことで鈍痛が増すという人が多いと思います。

@では運動や歩行の一定動作に関して負担量も影響し鋭い痛みが出やすい状態で、炎症がある局所に伸張痛や荷重痛が生じている状態です。Aは歩行開始すぐや立位保持の初期から感じている慢性的なこわばりと痛みの混在した重だるい様な痛みがあります。この基本的に感じている重だるい痛みは歩行や立位保持が持続することで痛みの強さがさらに増加する感じです。

@もAも痛みは炎症とこわばりが影響しており痛みの比率が違うと言うお話をしました。Aでは歩行や立位保持など持続的に股関節周囲筋に負担をかけることでこわばりが増し股関節の硬い動きが増加してきます。歩行持続で増すこわばりは一時的な増加によるものであり休憩を入れるとある程度は改善できます。休憩後の慢性痛はかなり軽減し再度の歩行が可能になりますが、休憩を入れての再歩行は徐々に股関節の疲労が増加します。休憩を繰り返すと歩行での痛みの増加も早くなっていき歩行距離が徐々に短くなっていきます。

基本的に股関節周囲筋のこわばりが痛みのポイントであり、歩行や立位保持が持続するとこわばりが増すという結果であり、最初から最後まで股関節周囲筋のこわばりが主になり痛みに影響しているということですね。

リハビリを考えると股関節周囲筋の柔軟性の向上ということが最大のポイントになります。股関節周囲筋の柔軟性を考えてみると、安静状態での股関節周囲筋の硬さの軽減と股関節を曲げ伸ばしする際の滑らかな動きを可能にするための伸張性の改善というのが重要です。

Aの安静時の股関節周囲筋を圧迫し触ってみると分かるのですが、@の様な若い人や運動を継続してきた中高年の人とは圧迫した時の感触が違います。@の人では基本的に股関節周囲筋は圧迫すると柔らかく弾力性があるのでゴムボールを押すと押し返される様な感触です。Aの人では圧迫してみると硬く弾力性の無い感触に近く、硬くなった粘土を指で押している様な感触になっている人が多いです。

股関節周囲筋の弾力性が低下している状態で、弾力性改善にはマッサージなどを使い筋への直接刺激を入れるのは大切です。股関節周囲筋の弾力性が低下し硬化しているということは筋肉が常に緊張した状態であり筋の硬化により小さな血管も常に慢性的に圧迫を受けている状態です。

筋肉の緊張による血流不良などは本当に小さなレベルの循環不全ですが、すでに動かす前の状態からこわばっている状態となっています。歩いたりすることで股関節を使うと早い段階で疲労しこわばりが増してくるのはイメージしやすいのではないでしょうか?例えば運動をしようと思ってジョギングを開始した初日は体が軽く動くのですが、翌日には筋肉痛があって初日に比べると走りだしてすぐにこわばりと筋肉痛を感じて体が重く感じ動かし難いと思います。Aの股関節も基本的にはこれと同じ感じです。

股関節周囲筋の深部の筋や腱など軟部組織に炎症が持続しています。この炎症により周囲の筋肉が縮む反応を長期間(数年間)に渡り持続させこわばりが増しています。炎症が持続しているので股関節周囲筋の縮む反応も持続されやすいのはご理解いただけると思います。

運動を実施し筋肉を鍛えるということは筋肉に縮む・緩ませるという運動を繰り返しながら負荷をかけていきます。これは痛みの無い関節、痛みの影響により筋肉がこわばっていない状態(持続的に縮む反応が持続していない状態)であれば、本人が許容できる範囲であれば負荷量を大きくした最大筋力を増加させるトレーニング(筋肉を太くするための取り組み)、長時間の低負荷・高頻度で実施する持久力的なトレーニングなどが可能です。
しかし、変形性股関節症により炎症の持続があると?運動により筋肉が疲労すると筋肉はさらに縮む反応が強くなるので負荷量や方法の選択には注意が必要です。

世の中に運動方法は山の様に沢山あります。本屋で健康に関するコーナーを眺めるとストレッチ・トレーニング・体操(ピラティスやヨガなども含める)など多くの本があると思います。
個々の運動方法が自分の理論は〇〇法という感じでオリジナルの運動ですと主張していますね・・・・そんなに違うの?
運動としては基本的に筋肉を縮めて緩めてを繰り返すのですから、筋肉を動かすという視点で見ると基本的な違いは無いのが事実ですね。やり方が違うというだけです。

股関節周囲筋がこわばっているために本来の炎症による痛みにこわばりの痛みがプラスされているというお話しをしました。運動を実施するということは股関節深部の炎症がある近くの筋・靭帯・腱などの軟部組織に対して引っ張られる・持続的に荷重をかける・収縮を続けさせる(縮み続ける)などの負担が生じますから、運動方法によっては炎症を若干増加させて一時的な痛み増加に繋げてしまう可能性もあります。

変形性股関節症では股関節深部の軟部組織に炎症が持続しているのですが、Aさんはこの運動方法を使うと炎症を増加させないで安全に股関節の筋力強化が出来た。BさんはAさんと同じ運動内容を実施したが炎症が増強したらしく痛みが増してしまった。同じ運動内容と同じ負荷量でも結果が正反対になることは意外に多くみられます。

個々により持続している炎症の状態や炎症場所が微妙に違うので同じ運動でもAさんにとっては安全でBさんにとっては危険な運動となることがあるのですね。Aの人では股関節周囲筋の状態と歩行や立ち上がりなど日常生活で行っている動作との関連などを合わせ、総合的に評価し適切な運動内容の選択が必要になります。

Aでは股関節周囲筋の筋肉をほぐすということは重要だというお話しをしました。Aの状態の人(関節変形が末期でない)では股関節周囲筋を適切にほぐすことが出来れば安定的な痛み軽減に繋がる可能性があります。
初診から数年以上経過している人などは徐々に股関節の慢性的なこわばりや痛みが増してきていると思います。股関節深部の炎症は長期間に渡り持続しており、炎症部位周囲の痛みを伝える神経からは情報が脊髄や脳へ送られています。痛み神経の持続的な活動により長期的に痛みを感じている部位周辺の筋肉には筋肉を縮めなさいという命令が持続されていますから徐々に筋肉は硬くなる傾向にあります。股関節のこわばりや痛み、変形を恐れることで歩行を抑制するなど日常生活での股関節を動かす機会も減りますので、もちろん股関節周囲筋の局所的な廃用性症候群(使わないから弱ってくる)による筋力低下や筋肉が硬くなる結果へ進んでいきます。

変形性股関節症の股関節周囲筋のこわばりは?単純な軽い肩こりに見られる筋肉のこわばりではありません。軽い肩こりなら1回ほぐせば安定的に痛みが軽減され効果がしばらく持続しますが、変形性股関節症では炎症が持続しており筋の収縮(こわばり)も持続的に置きやすい状態です。Aの人では股関節周囲筋を1回ほぐしても効果は長くは持続できないことは多いと思います。

一定間隔で定期的に股関節周囲筋のこわばりをほぐしていくと安静時痛や運動時痛の軽減が進みますが、一定の軽減域まで行くとマッサージなどの間隔をいくら縮めても効果に違いが無くなって来ます。痛みの軽減が一定になった状態がマッサージなどの徒手技術で反応を出せる限界域で、それ以上の痛みやこわばりの軽減となるとエクササイズを継続することでしか得られません。本質的には股関節の柔軟性や耐久性の向上は誰でもない皆さん自身の努力が無いと効果が出せない領域です。

このためAでは@に比べるとマッサージ・鍼・カイロ・その他などの技術で股関節の痛みやこわばりを一定領域まで軽減できるし、その役割は大きいと述べてはいますが?筋肉のこわばりをほぐす、運動により筋肉の柔軟性と耐久性の向上、この2点の対策の割合は5対5で実施されるのが望ましい結果に繋がると言えます。

股関節深部の筋肉を可能な範囲でほぐすのは当たり前であり特別なことではありません。股関節深部の筋肉をもみほぐすのは一時的な痛みの軽減でしかないのです。その先の股関節を安全に如何に強化(安定し痛みが軽減している日数が増える)できるかが難しく重要な技術なのですね。

プロの理学療法士なら股関節深部の筋肉をほぐすのは当たり前すぎる技術であり特別な技術などとは言いません。股関節の深部筋を適切にほぐすのを行った上で、次に安定的な痛み軽減を目標に運動療法を如何に創意工夫するか?のリハビリを試行錯誤していると思います。

皆さんの近くにそういう理学療法士さんがいれば良いのですが・・・・
なかなか出会わないものですが、若い理学療法士が増えていますので今後に期待します。

病院のリハビリ室に行きベッドに横になり股関節を揉んでもらったり、骨盤や股関節をちょちょっと動かしてもらったり、ストレッチをしてもらったり、こういう感じの内容で患者自身は何もしない受身のリハビリを続けていませんか?

整骨院・カイロ・整体・マッサージなど同じようにベッドに横になり受身の治療に何万円も無駄に使っていませんか?ましてや毎日・1日おきなど無駄にたくさん通っていませんか?

変形性股関節症の末期(どの病院でも手術を急ぐよう勧められるレベル)では股関節の痛みだけでなく肩・腰・膝・背中全体など全身の数箇所の痛みが合わさっている人が多いので、こういう身体状態なら週に2〜3回の全身のリラクゼーションを取る事でなんとか楽に過ごせる日を維持するという対応になりますが・・・

一般的に変形がやや進行しているAのレベルでは週に何度も通う必用はありません。逆に股関節を触りすぎると痛みが増す可能性もありますし、どんなに最短でも1週間に1回で十分だと思います。

リハビリでも民間療法でも?受身の対処法を続けているなら、効果はあまり期待が出来ないと思います。通い始めて少し痛みが楽になったらそれで望める効果は終了したと考えてOKです。回数を増やす、1回の時間を増やす?たぶん結果は変わらないと思います。

自宅で取り組む運動は?あなたの股関節の状態に対して安全で適切な方法・運動量を継続することで炎症の増加を抑制しながら股関節周囲の軟部組織の耐久性を上げることで安定的な痛み軽減が期待できるという説明をしました。

炎症が持続しているのですから同じような日常生活を繰り返していても股関節の痛みの増減はあると思います。こういう変動に対して運動量を抑制したり、運動量を上げたりなどをサポートするのが一番重要な技術となります。

痛みが増加した場合に何か切っ掛けになった動作はあるのか、運動量が多すぎたのか、炎症による股関節周囲筋の緊張の増加が関係しているのかなど、股関節の状態や患者様の心理的な状態などを見ながら股関節の状態を悪化させないよう適切な状態に(炎症の強さを一定領域で維持させる)コントロールを行います。運動を利用しながら半年〜1年ほどをかけ徐々に股関節の軟部組織の強化と炎症周囲の痛み神経の敏感さの抑制を進めていくことが取り組みとして大切です。

痛みが一時的に軽減し油断してしばらく何もしなかった、自宅で実施するリハビリ(体操・ストレッチ・歩行訓練など)を全くしていなかった、ある日急に痛みが強くなり病院に再度受診する。

サボっていたのですから痛くなっても当たり前です。

変形性股関節症の変形は徐々に悪化していく病気です。進行の速さは個人差が大きいですが持続している炎症の大きさも大小の差はありますが消えることはありません。保存療法で対応すると決めたなら、Aの人は定期的な股関節周囲筋のリラクゼーションと股関節を安全に強化するための取り組みは一生継続しないといけないものであり、間違っても終わりはありません。

Aの人で股関節変形が末期の人を対象としたリハビリを考えてみましょう。変形性股関節症で変形が末期の状態まで手術をしない方は少ないのですが時々そういう方にお会いします。変形末期では股関節周囲筋の硬化のみでなく、腰部・肩・背中全体・膝など多くの場所に慢性疼痛が発生していることが多いと重います。

末期においては慢性疼痛の安定的な軽減は不可能です。股関節を中心に肩や膝などの全身のトリガーポイントの調整による一時的な痛み軽減は可能ですが、アプローチにより痛み軽減の効果が基本的に2〜3日持てば良とする程度の結果を出すのが精一杯というところです。

股関節深部の軟部組織にある炎症は大きくなっているか、炎症箇所が増えているなどの変化が進んでいます。股関節周囲筋は硬化してきており、筋肉を圧迫すると強い痛みが出やすい状態です。股関節周囲筋への圧迫では股関節変形が初期〜中期に比べると急性痛に近い鋭い痛みになってきており、股関節を曲げ伸ばしすると引っ張られる筋肉も鋭い痛みが出る様になってきています。

変形が初期の@、変形が中期のA、どちらも股関節周囲筋のマッサージ・ストレッチによる柔軟性の改善によりこわばりに伴う痛みの軽減、運動による股関節周囲筋の耐久性の向上による歩行や立ち上がり動作などの持久的な動作時痛の軽減。この2点がリハビリの基本というお話をしました。

@とAでは病院受診時のピークの痛みを一定域まで安定的に軽減することを目標と出来るのに対して、変形末期ではなんとか数日間に渡り維持することが目標となります。

股関節周囲筋のマッサージやストレッチにより股関節周囲筋のこわばりを軽減することは大切ですが、股関節変形が進んでいるためストレッチは特に効果が薄くなります。股関節深部の炎症が増加もしくは炎症箇所が増加しているためストレッチにより筋を伸張すると急性の鋭い痛みが増加されます。

炎症の持続が強いためマッサージで筋肉をほぐしても一時的に痛みが多少は軽減しますが、数日で確実に痛みは戻ります。筋肉の緊張を数日間以上に渡り安定的に軽減させることは不可能です。股関節周囲筋へのマッサージのみでは股関節変形中期のAの様なマッサージ効果は期待できない、マッサージによる効果日数が短くなるのであれば回数を増加するとよいのでは?と考えてしまいます。しかし、筋肉に短期間のマッサージによる圧力を加え続けると逆に炎症を増加させ筋硬化を助長させる結果にも繋がりかねません。注意が必要です。

変形末期では個人差はありますが肩・腰・背中・膝など全身の多くの部分で痛みが存在していると思います。股関節の痛みが他の部位の痛みを増加させる要因となっているのか?他の部位の痛みが引き金となって股関節の痛みをさらに増加させているのか?基本的に痛みはあれども日により痛みの増減があるはずですが、その日の痛みの増減に何が大きく影響しているかは断定することはできません。これらの理由から、股関節とその他全身のリラクゼーション調整の両方を実施することで痛み軽減のより高い効果が期待できます。

股関節変形初期〜中期では運動により股関節周囲筋の強化が目的となります。運動が安定的に痛みを軽減させるために必要な対策になるとお話しをしましたが、変形末期では運動量の負荷量のちょっとした違いで痛みを容易に増加させる結果につながります。あくまでも運動は可能な範囲の筋力維持、適切な運動量による筋のリラクゼーションが主体の役割となります。

特にこの時期の運動内容の選択は難しく、単純に股関節を動かすことで股関節を運動させればという考えで股関節を意識しすぎる運動を考えると失敗します。股関節を直接動かすと炎症部位の痛み神経もすぐに反応し痛み刺激を増し運動中の痛みがどんどん増します。運動による炎症の増加は翌日にはこわばりなどの痛み増加に繋がります。他の身体部位を利用し間接的に股関節を運動させていくことで股関節を安全に運動させ股関節周囲筋をリラクゼーションさせていく必要があります。運動が効果的に働くと股関節の痛みが楽に維持できる日が延長できる要因に繋がる可能性が出てきます。

まとめ

変形性股関節症では変形が進行すると手術が必要となりますが、誰もが手術を積極的にしたいと思う人はいないと思います。変形状態の差はありますが痛みを我慢して手術を受けようか悩んで生活している人、手術はしたけど股関節の痛みやこわばりが残っている人など、人により考え方や症状は様々です。

股関節の変形と炎症の状況による痛みの関係をお話ししてきましたが、医学的にもある程度は股関節の痛みについて解説できるのですが、患者個々によって細かに違う症状にきっちり合致する断定的な痛みの説明は難しいのが現状です。まだまだ臨床に則した実験は少なく臨床症状の理由を上手く証明できない事や解らないことはたくさんあります。

単純に考えても人により身長・体重・骨格の違いもありますし、同じ身長・体重でも体脂肪率も違います。関節変形の度合いや炎症の起きているであろうと予測される部位、痛みの感じ方の違い(不安や恐怖を強く感じる人そうでない人)など、これらの違いだけを組み合わせても無数の組み合わせになるのは明らかですね。

同じ変形性股関節症という病気で全ての人を同じ強さの痛みや同じ問題が生じているであろうと予測し、変形の大きさの共通性だけで変形レベルが同じ人全てを同じ変形性股関節症と単純に纏めてしまうとことが矛盾してきます。

皆さんは会社の同僚や友人などから変形性股関節症についての情報(本人の体験談か知人などから聞いた間接的な話)を得ることもあるでしょうし、病院のリハ室などで他の患者様から情報を得ることもあるでしょう。今の時代はTV・本・ネットのブログ(変形性股関節症の人が書いている)などからも情報が得られますね。

変形性股関節症の対策として基本となるマッサージ・ストレッチ・運動、症状により対策の違いなどを説明してきました。皆さんの感想はどうでしょう?周囲の知人や友人、病院で会う患者様やブログを書いている患者様などの情報、TV・本などの情報、これらの情報を変形股関節症についての情報だからと言って全てを鵜呑みに出来ないと感じていただけたでしょうか?

これらの情報が参考にならないのではありません。症状や身体状態が違うのに変形性股関節症だから単純に自分と同じだと鵜呑みにして対策を間違えると?痛みをある程度軽減できる可能性があるにも関わらず、痛みへの対策を間違えて可能性を自ら無くす結果に繋げていることもあるということです。

変形性股関節症は強い痛みが気になりだした時期(病院受診をした頃)、一旦はある程度痛みが落ち着いている時期(病院受診とリハビリの終了してから先)の2つは特にサポート内容も違いが出てくるし、サポートする技術内容も難しい時期でもあります。

自己流でなんとかなるかな?もう痛みは少ないので何もしなくていいかな?手術をしたしリハビリも終了でいいかな?とんでもない間違いです。
変形性股関節症では炎症は持続しますし、股関節の動きは年齢を重ねるごとに徐々に硬くなっていく傾向にあります。手術(特に人工関節以外)をしても股関節の動きを維持することは重要です。手術をしないで保存療法で経過をみるなら病院受診やリハビリをしていた頃以上に努力を継続しなくてはいけません。
手術してもしなくても!変形性股関節症による影響は大小の差はありますが持続します。エクササイズを中心とした取り組みは一生に渡り継続されなくてはいけないものです。間違っても終わりはありません。

保存療法を希望し病院で結果の出なかった人で、鍼・カイロ・マッサージ・整体・その他(民間療法で纏めます)、民間療法の施設に通い詰めている人がいらっしゃいます。あくまでも変形性股関節症は関節の変形と関節深部の炎症が原因で痛みが発生します。民間療法で変形の進行を遅らせる、炎症を完全に改善(痛みを0にする)することは100%出来ません。

民間療法で出来ることは?

  1. 股関節周囲の筋肉を緩めることで炎症のみで生じている痛みにプラスされている筋肉のこわばりが影響する慢性痛をある程度軽減させる。
  2. 炎症の持続があり運動すると容易に痛みが増しやすい。痛みにより歩行などを抑制し股関節への負担を減らし過ぎた結果、股関節周囲筋は廃用症候群となり持久力が低下し今までは大丈夫だった距離でも痛みが出やすくなってくる。適切な運動内容を選択し痛みを出し過ぎないで安全に股関節周囲筋を強化することで痛みを軽減させる。

この2点の取り組みや効果が目標であり、これ以上の結果は望めません。

東洋医学の○○療法で治します!〇〇運動痛みが治る!
股関節の痛みの原因は実はこういう理由で起きている!(医学的説明に反する考え)

呆れるほどの大嘘です。

運動は炎症を増加させない内容で個々により選択内容が変わります。単純に一種類の理論による運動のみではまず対応は不可能です。かなり軽い股関節の痛みならそれでもいいのですが・・・ということは?その程度なら運動は何をしてもいい状態と判断できるレベルですね。痛みが強いほど一つの理論による運動のみでは効きませんし逆に悪化もさせます。

股関節には問題が無く骨盤の歪みが原因で?背骨の歪みが原因で?体内の気の流れが悪いから?悪霊がついているから?筋肉が硬いから?(筋肉のみの問題のような説明)、歩き方や姿勢が悪いから、他の理由も合わせ民間療法に行くと分けの分からない理由で説明する人がいますが・・・そう考えるのは本人の勉強不足であり解らないのも仕方ないのですが、そういう考えはあくまで妄想です。

皆さん自身が正しいこと間違ったことをきちんと理解し判断できないと?カルト教団の信者の様に騙されてしまうのですね。

股関節変形の進行具合の確認・急性痛の強い時期は薬剤の処方など、変形性股関節症の保存療法で経過をみることを希望する人は特に痛みをコントロールすることが重要です。
日々の股関節の痛みを軽減させる、日常生活での活動範囲の拡大・維持が目標のはずです。股関節変形と痛みの状態についてDrの指導をきちんと受けながら現在の状態では保存療法を継続してよいか?きちんと確認しながらリハビリを取り組んでください。

あなたの股関節は残念ですが日々悪化の方向に徐々に進む可能性は大きいのです。変形が大きく進まなくとも股関節の軟部組織に炎症が小さく持続しているのですから、普段の症状が安定してきても軽度の痛みは持続しているでしょうし、痛みが完全に消えることはほとんど無いと思います。

痛みがあると歩行や立位時間を抑制し股関節を動かすことが減ってしまう。痛みが一旦落ち着いて動きが良くなってくると股関節の運動をサボってしまう。咽もと過ぎればなんとやらではありませんが、多くの患者様でこの傾向はみられます。
あなたの保存療法はあなた自身が主役です。あなた自身が変形性股関節症について適切な対策を継続的に取り組んでいかなければ効果はありません。

変形性股関節症では手術を嫌がる人は多いですし、動かずに股関節へ負担をかけないと変形の進行は遅くなるのでは?と考え日常生活での活動量を大幅に減らしている人もみられます。
人生は一度です、手術を嫌がるあまりに手術を遅らせたいという願いで日常生活での活動(歩行など)を抑制し過ぎるのはもったいない気がします。日常の活動(運動量)を抑制すれば変形の進行が確実に止まるのであれば私も大幅な活動量の抑制には賛成です。残念ですが日常生活の活動量を大きく抑制すれば本当に変形を遅らせられるのか?何も証明はされていません。

日々の生活の質(QOL)を考えた時に、やはりあなた自身が責任を持ち手術をするかの判断をしなくてはいけません。手術により劇的に痛みが改善することがあります。人工関節なら痛みは無くなりますし自骨での臼蓋形成や骨切りなどは大幅に痛みが軽減します。長い期間に渡り痛みを我慢して生活し、最終的に手術をしたら痛みが大きく改善し、なぜ早く手術をしなかったのか?と後悔する患者様も多くみてきました。

初期の段階では自骨での手術などを行えば股関節変形の進行を遅らせることに繋がるのですが、痛みなどの自覚症状が少ないので単純に痛みが弱くて動けるから手術は必要ないと考えて早期に手術をせず、10年程度で変形が進み結局は骨切りや人工股関節の手術を行うことになる場合もあります。

痛みがどうしても我慢できなくなってから手術をするという考えが?正しく無い場合もあることを知っていてください。数十年先を見通して、今の股関節の状態なら痛み症状は少ないが早期に自骨での手術などを行う方が関節を長期間良い状態で保てて、人工股関節手術はしないですむか、しても1回ですむ可能性が高いなど、素人目では手術は必要なさそうな時期での手術が患者様の利益に繋がることもあるのです。

誰もが近くの整形外科などで初診をされていると思いますが、セカンドオピニオンとして変形性股関節症の手術症例の多い専門医に診てもらうことは大切です。痛みが強く手術をを決断する遅い段階で診てもらうのではなく、痛みは少ないけど関節面の状態から早期に自骨での手術が予防としても適応の場合があるので、早期に専門医に診察を受けておくことをお勧めします。

どんなに大金持ちでも時間は買えません。強い痛みで苦しんだ1日1日は取り返せません。手術は嫌だという思い込みだけで手術を遅らせることは賛成できません。仕事が出来る範囲の痛みでは保存療法での経過観察で良いと思われますが、若い方では仕事に少しでも支障が生じて来るレベル(収入が無くなり生活していけない)に近づけば手術は考えるべきだと思います。Drとしっかり話し合い、自分の幸せ・家族の幸せ(あなたの苦しんでいる姿を見ている家族も辛いと思います)のために手術をする適切な時期を考え判断していただければと願います。

最後に繰り返しますが、自分の希望により保存療法で経過している人は一生に渡りリハビリの終了はありません。リハビリをサボって痛みが早期にぶり返してもそれは自分の責任ですよ。本当に手術をしなくて長期的に関節を良い状態で持たせたい、痛みを小さな範囲で維持したいと願うなら。あなた自身が主に取り組むリハビリは必ず継続してください。継続は力なり!これが本質です。


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