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怪我と止血

健康工房 11

怪我と止血

血管は構造的に5種類に分類されます。大動脈・細動脈・毛細血管・細静脈・大静脈ですね。組織学的には血管壁は内皮細胞・弾性線維・膠原線維・平滑筋の4種類の組み合わせです。

動脈は酸素を沢山含み全身へ血液を送り、静脈は二酸化炭素を多く含み心臓へ血液を返送する仕事を行います。全血液量のうち全身の静脈・細静脈には血液の60%が存在し、動脈と細動脈には15%、毛細血管には5%、肺血管には12%、心臓には8%の血液があるようです。静脈には多くの血液が貯まっていることが分かりますが、特に内臓や皮膚の静脈に多く貯蔵されています。

血管が傷害を受けると出血を起こし、これを止める反応を止血と呼びます。血管に傷を生じた部分は敏速に止血が起こらないと人間は困りますよね。血が出っぱなしでは困ります。

出血では血管攣縮(けっかんれんしゅく)・血小板血栓・血液凝固の3つの反応により止血を起こします。転んで膝をすりむいた時や包丁で指を切った時などは出血します。しばらくすると止血されますが、どのような反応なのだろう?

血管が傷害を受けると血管の壁に傷が入りますよね?当然その傷口から血液が漏れ出します。これが出血ですね。血管の壁に傷が入るとすぐに血管壁の平滑筋は収縮します。この反応を血管攣縮(けっかんれんしゅく)と言います。意外じゃないですか?筋肉だけじゃなく血管も縮んだりするのですね〜

血管攣縮は数分から数時間続き、他の止血機構が働き始めるまでの止血の主役を担います。これは組織傷害による痛み刺激による反射により起こると考えられています。血管が縮んで頑張っていると、傷の部位へ血小板が集まってきて血管攣縮を増強させるようです。

血小板が傷のある血管壁に接着することを血小板接着といいます。接着後に血小板は突起を伸ばしお互いに接触し化学物質が放出されます。この時相を血小板からの放出反応といいます。放出反応が起こることで血管攣縮が持続し傷害部位からの出血を減少させているのです。

血小板から放出された化学物質によりたくさんの血小板が粘着され、血小板の塊が出来ていく。血小板が集まる反応を血小板凝集といい、この集まった血小板の塊を血小板血栓というのです。血管の傷が小さければ血小板血栓のみで止血が可能だそうですよ。

私たちの血液は怪我をして出血した時にはしだいに固まりますが、血管内では固まることはありません。血液の凝固過程を血液凝固と一般的に言われますね。

傷のついた血管壁には血小板が速やかに粘着して凝集し血小板血栓を作ることで傷口をふさぎます。ここまでの反応を1次止血というようです。1次止血に続いて血液凝固反応によりトロンビンという物質が作られ、血小板の凝集をさらに進めフィブリンを形成する反応を2次止血というようです。

1次止血の主役は血小板です。正常血管であれば血小板が血管壁に粘着することはありません。これは血管壁の電気的性質やプロスタグランジンI2やEDRFなどの抗血栓性物質の作用などが働くためのようです。

いったん血管に傷がつくと上記内容により、血小板が粘着・凝集して血小板凝集塊が形成されるのでしたね?血小板の止血において重要なのは、血小板減少症や血小板機能異常で血小板に問題があると出血傾向が見られることからも明らかです。血液中の血小板が少なければ、血管壁が傷ついたときに傷口に粘着・凝縮する血小板が少なく、血小板血栓が作られるのに時間がかかり出血が止まりにくい状態となりますし、血小板数は正常でも粘着能力・凝集能力が低下していても出血を止めにくくなります。

2次止血では血液が組織因子を出している傷害血管壁と接触すると血中の凝固第Z因子と組織因子が結合し、傷害局所において血液凝固反応が始まります。いったん血液凝固が始まると凝固因子が連鎖的に反応してトロンビンが作られます。トロンビンは血小板を活性化し凝集させると同時に血小板周囲のフィブリノゲンをフィブリンへ変えます。荷物を運ぶ時もネットをかぶせたりして荷崩れしないように固定しますが、それと似た働きをフィブリンが行います。フィブリンは血栓に網目状のネットをかぶせるようにしてしっかりと固定します。

正常な血液凝固にはビタミンKが体の中に十分存在している必要があります。ビタミンKは直接的に血液凝固に関わっていないのですが、プロトロンビンなどを作るのに必要なビタミンのようです。ビタミンKは大腸にいる腸内細菌によって合成される脂溶性のビタミンです。基本的には体内で生成されるため欠乏することはほとんどありませんが、抗生物質を長く飲んでいる人では腸内細菌の減少を起こすこともあり、また抗生物質の種類によってはビタミンKの作用を直接妨げるものがあるようです。授乳中のお母さんでビタミンKが不足していると乳児はビタミンK欠乏性出血症になり、便が黒くなったり頭蓋内出血を起こしたりすることがあるようです。

私たちの血管内では毎日小さな傷害を繰り返しており、小さな血栓は日々たくさん形成されています。この血栓が作られてばかりではすぐに血管が詰まってしまいそうですね?血管が詰まると困るので血栓は役目が終わると常に溶解されて問題とならないようになっています。これを線維素溶解といいます。

血管内での血液の凝固を防ぐ物質も血液内に含まれています。不適切な凝固を防いでいる代表的な抗凝固物質はヘパリンで、動物の細胞から抽出したヘパリンは開胸手術中などにも使用されるそうです。

上記のように血管内で血液凝固を防ぐ働きがあると分かりましたが、それでも血管内で血液凝固が起こことはあります。動脈硬化や外傷などで血管壁が凸凹になってくると、凸凹の面に接着する血小板の粘着性を強くするそうです。血流が遅くなり過ぎてもその部位の血液凝固因子の濃度を上げて血液を凝固しやすくします。

外傷のない血管で起こる血液凝固は血栓症と言われます。血栓は解けずに残ったものは血流に乗って血管内を流れていきます。この様な血栓や空気や細胞破片などが血流に流れ出したものを塞栓といいます。血栓による塞栓は静脈で出来やすく、肺に流れていくことが多いので肺塞栓症なんかが多く、医療ドラマなどでも良くこの名前が聞かれますね。肺が詰まっちゃうと血液を送っている先の心臓に影響するので右心不全となり急死の原因ともなります。

動脈壁にできた血栓が外れて流れちゃうと末梢動脈にも塞栓を起こします。脳卒中・腎不全・心筋梗塞などなど・・・

怖いですね〜
怪我をした時に出血をしますが、体内の血液量20%を急速に失うと出血性ショック状態になると言われています。30%を失えば危険な状態であり50%を失うとほぼ死に至るとそうです。個人差はありますが体内の血液量は約4〜5リットルほどでしたよね?4リットルの20%でも800mlになるので結構な血液量です。ペットボトル1.5本で見るとそんなに多くないようにも見えますが、実際地面などに水を800ml撒いてみると水はかなり広がり多量に見えますね。包丁で指を少し深く切っても血液がボタボタと流れますが、800mlを撒き散らした量に比べるとたいした量の出血ではないので、しょうしょう深く切っても落ち着いて止血してくださいね。

毛細血管からの出血は傷口からにじみ出るように出血します。例としては転んだときの膝小僧からの出血がそうですね。包丁で指を切ってしまった時の出血は静脈性出血で、静脈からの出血は暗紅色の血液が湧き出るように持続して出血します。ざっくり切れると動脈まで傷つけてしまい、鮮紅色の血液が勢いよく吹き出すように流出します。静脈は二酸化炭素を多く含むので血液の色が暗い赤、動脈は酸素を多く含むから明るい赤ですね。

止血方法としては直接圧迫止血法・間接圧迫止血法・止血帯による止血法などがあります。直接圧迫止血法は日常の怪我で起こる出血を止める基本的な止血法です。ちょっとザックリ切れた時に傷口を直接タオルやガーゼを使って圧迫し止血する方法で、タオル・ガーゼの上から手で圧迫を続けるか包帯を巻き圧迫します。出来れば傷口は心臓より高くした方が良いでしょうね。普段怪我した時は皆さん直接圧迫法を行われていると思いますが、ハンカチなどで圧迫していてもジワジワにじみ出てくるとすごく怖い感じがしますが、ジワジワと時間をかけてハンカチなどににじみ出ている状態では出血量はまだ少ない方なので、慌てる必要はありません。落ち着いて形成外科か外科の病院に行きましょう。傷口を縫うか固定しておかないとね!

間接圧迫法は直接圧迫法では止血が不十分な場合などに傷口より心臓に近い部分を圧迫し傷口への血液の流れを減少させます。例えば前腕や手首あたりの傷で出血が多ければ、肘や脇の近くを両手で圧迫したりする方法です。

止血帯による止血法は直接・間接止血法では止血できない場合の方法で普段の怪我ではほとんど行うことの無い止血ですね。大きい怪我で大量の出血がある場合に行います。出血部より心臓に近い部分を対象に、布をネジネジに巻いた物や紐などで強く縛ります。傷口は必ず心臓より高くしてくださいね。止血時間を記録して、約30分に一度は緩めることを忘れてはいけません。緩めないと血液が流れないので患部が壊死する危険性があるのです。

ちなみに鼻血が出た時の対処法は鼻をつまんで下を向き、口で呼吸を行いひたいから鼻にかけて濡れタオルなどで冷やすと良いようです。小学生くらいの子供はよく鼻血を出しますが、これは鼻の一部に血管が集中している部分があり、その血管が切れやすいためだそうですよ。成長と共に血管は切れにくくなり鼻血は自然と出にくくなっていくようです。

私は、あまり鼻血は出たことが無いけどね。(-_☆)Vぶい  

 


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